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華陽ニュース

ニューノーマルにこの一品38 気候変動対応①王子HD

【ニューノーマルにこの一品】

 「ニューノーマル」という言葉は新型コロナウイルス下での生活や仕事の新しい様式を表す言葉として使われていますが、近年、私たちの生活や考え方に影響を与え、変えてきたものには、海洋汚染の深刻化による脱プラの動きや、SDGs、ESG、ダイバーシティ等、さまざまなものがあります。
 その、様々なもので形作られる「ニューノーマル」に、紙で貢献できる製品とは、の観点からの取組みをご紹介いたします。

38 気候変動対応①王子HD

 日本製紙連合会が「環境に関する自主行動計画」を制定したのは1997年1月(2012年に現在の「環境行動計画」へと引き継がれ継続)。
 パリ協定や持続可能な開発目標=SDGsが採択された2015年、京都議定書が採択された1997年12月より早くから、日本の製紙各社は地球温暖化対策に業界を挙げて取り組み、様々な工夫を積み重ねると同時に、時代に合わせ目標や取り組みのアップデートを繰り返してきました。
 そのひとつである気候変動対応について、王子ホールディングスの取り組みを、「王子グループ統合報告書2023」の「気候変動の緩和・適応」からご紹介致します。

基本的な考え方 ①環境と調和した企業活動を展開し、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献することを基本理念とする「環境憲章」を1997年に制定。
②「環境憲章」に基づく気候変動緩和への対応として、「ネット・ゼロ・カーボン」を中核とする「環境ビジョン2050」を2020年に策定。
③「環境ビジョン2050」のマイルストーンとして「環境行動目標2030」を策定。温室効果ガス(GHG)排出量を2030年に2018年度比で70%以上削減する目標を設定。
対策 温室効果ガス(GHG)のネット排出量(実排出量からCO₂純吸収量を引いたもの)を2030年に2018年度比で70%以上削減する目標の達成のため
・GHG実排出量の削減
・森林によるCO₂純吸収量の拡大
を推進。
2022年度のネット排出量は2018年度比16.5%削減。
実排出量削減のための取り組み ①工場で定期的に省エネルギー会議を開催して検討したり、省エネ投資を実施するなどして、エネルギー効率の改善に取り組むことで、エネルギー消費原単位を減らし、実排出量の削減につなげる。
②黒液、廃材、樹皮などを燃料とすることでこれまでも再生可能エネルギー利用率を高めてきたが、さらに利用率を向上するため
1)石炭使用量の削減
  石炭専焼ボイラ8基を2030年までに全廃。石炭混抄ボイラについても燃料構成の変更での石炭使用量削減を検討。
  移行段階としてガスへの燃料転換を進めるが、将来的には水素、アンモニア、合成メタンの燃料利用を検討。
2)太陽光発電設備の設置
 工場屋根や遊休地に自家用太陽光発電設備を設置。2022年には王子ネピア江戸川工場新倉庫、2023年には王子コンテナー栃木工場に導入。
を進める。
森林によるCO₂純吸収量拡大のための取り組み ①2030年度までに約1,000億円を投じ海外生産林面積を40万haまで拡大する方針。
②海外植林事業で早生樹の植林を実施。林木育種にも継続的に地道に取り組み、開発された優良系統を植林することで森林の成長量を高め、CO₂の吸収・固定を促進している。
③国内の王子の森でも定期的な人工林の伐採・再植林を実施し、CO₂吸収量を拡大。
その他 産学官がカーボンニュートラルの取り組みや排出量取引等について議論・実践する枠組み『GXリーグ』(2023年5月本格稼働)に参画。2020年12月には「気候関連財務情報開示タスクフォース」に賛同し、本タスクフォースの推奨に従って気候関連のリスクと機会の分析、財務に与える影響、指標や目標、戦略と対応などの情報開示を行っている。

 同社の環境に対する取り組みは「気候変動対応」の項目に限っただけでも多岐にわたっており、製紙産業が環境配慮に徹した業界であることを示しています。

※上記戦略は2023年9月発表の王子グループ統合報告書2023に基づくものです。

※文章中、敬称略