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紙の市況(2024.4)詳細 4月10日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.イムラ・王子 ベトナム・SLP社の株式取得

 株式会社イムラと王子マネジメントオフィス(王子HD100%子会社)は3月27日、共同でベトナムの紙パッケージ等製造販売企業、SONGLAM TRADING AND PACKAGING PRODUCTION JOINT STOCK COMPANY(=SLP社)の発行済み株式の一部を取得する契約を締結したと発表しました。イムラは新たな成長エンジンの創出のひとつとして、王子は海外事業のさらなる拡大の一環として、経済成長著しい東南アジアでも特に高い成長が見込まれるベトナムにおいて、パッケージ分野で20年以上の経験を持つSLP社の株式取得を決めたとしています。
 株式譲渡実行日は2024年5月下旬予定とのことで、取得後はイムラが55.0%、王子マネジメントオフィスが25.0%、合わせて80%のSLP社の株式を取得することになると明らかにされています。



【その他の市況/状況】

1.古紙在庫が減少

 3月28日付の日本経済新聞紙上にて、古紙在庫が減少したと報じられています。関東製紙原料直納商工組合が32社分をまとめたもので、2月末の古紙在庫が1月末比で13.4%減少したとのこと。2か月連続の減少で

・国内製紙の生産がやや回復
・一部古紙問屋が円安で輸出を強化

したことが影響していると記事では指摘されています。


2.ENEOS C重油価格を下落で決着

 4月3日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSと大口需要家が進めていた1~3月期の高硫黄C重油の価格が2023年10~12月期比10%の下落で決着したと報じられています。原油相場の下落などを反映したもので、製紙のボイラー燃料などとして使われる高硫黄C重油の価格が下落に転じるのは4四半期ぶりであると記事では伝えられています。


3.2月積みパルプ輸入価格が下落

 4月6日付の日本経済新聞紙上にて、北米産N‐BKPの2月積み価格が前月積み比2%下落したと報じられています。南米産L‐BKPは同横ばいで、ともに2か月連続とのこと。中国で紙類の需要が停滞していることから原料パルプの調達に慎重姿勢が見られ、対日相場に波及したと記事では伝えられています。


【ESG、SDGs等関連】

1.大王製紙 廃棄物減少の取り組みを積極推進

 大王製紙は3月29日、3月30日の「ごみゼロ国際デー」によせて、同社の経営理念の4つの柱のひとつ「O:地球環境への貢献」に沿った活動の一部を紹介しています。
 循環型社会の実現に向けた取り組みのなかから、廃棄物の削減について

難処理古紙の利用促進 フィルムなどの異物が混入していてリサイクルが難しい難処理古紙を、同社独自の技術で「古紙」と「それ以外のフィルムなど」に分別。「古紙」は製紙原料として、排出された残渣は発電用リサイクルボイラーの燃料として活用。
板紙への難処理古紙配合率は2022年度14.2%。2030年度に30%を目標に、新たな種類の難処理古紙の発掘や、難離解古紙・雑がみを使用可能な設備の導入検討などを進めている。
廃棄物排出ゼロに向けた取り組み 紙製品の製造時に発生する廃プラスチックなどを燃料として、古紙の再生過程で発生する無機薬品を再生填料として活用。ボイラー焼却灰はセメント原料やコンクリートブロック、再生土に再利用するなどして、三島工場の廃棄物再利用率を99.9%の高い水準に保っている。
マテリアルリサイクル 衛生用紙などの製造過程で発生する生産ロスや端材をグループ会社が製造する紙製猫砂に活用。また、エリエール商品の製造工程で発生するフィルムロス等を回収し、商品の製袋フィルムに再利用する取り組みを開始。
プラスチックリサイクル率の向上に貢献 グループのダイオーエンジニアリングがプラスチック選別機を製造・販売。廃自動車や廃家電などから発生する廃プラスチックの選別に使用され、リサイクル率向上に貢献。

 同社は1993年に「DAIO地球環境憲章」を制定、事業活動を通じた環境問題解決に積極的に取り組んでおり、今後も、地球環境と調和した持続可能な脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会の実現に向け、環境に配慮した事業活動を進めていくとしています。


2.レンゴー バイオベンチャー企業を子会社化

 レンゴーは4月3日、株式会社Biomaterial in Tokyo(以下、bits)の発行済み株式の60%を取得し、同社を子会社化したと発表しました。bitsはバイオマスを活用したSAFなどの生産技術やCORSIA(国際航空のためのカーボンオフセットと削減のための枠組み)認証取得などに強みを持ちレンゴーグループ会社と提携した第二世代バイオエタノールの生産実証事業において重要な役割を担っており、今回の子会社化で

・bitsの経営基盤の安定性の向上、技術承継の支援
・研究開発面における連携の深化
・bitsのバイオマス資源活用技術の発展を通して、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速

といったことを目指すと、レンゴーはその意義を説明しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.TOPPANエッジ スマホの写真を証明写真に加工できるサービス

 TOPPANエッジは3月29日、スマホで撮影した写真を証明写真に加工してコンビニでプリントできるサービス「スマートコンフォト™」の提供を開始したと発表しました。公式サイトに掲載された発表によると、

背景 証明写真の撮影において、証明写真機は高機能・高品質のメリットがある一方、料金が高く設置場所が限られるなど、利用者には利便性が低く、管理者にとってはメンテナンスなどの諸経費が負担。
スマホで撮影しコンビニでプリントするサービスの利用は、利用者自身で品質を確認する手間、証明写真提出される企業・団体における不備の確認や差し戻し・再申請が負担、といったデメリットがあった。
「スマートコンフォト™」の特長 ・AIによる自動品質チェック機能を搭載。明るさやピンボケ、顔のサイズなどをチェックしNGとすることで、公的書類申請時の撮影不備を軽減し、高品質な証明写真の撮影が可能。
・全国約30,000店舗のファミリーマート、ローソンに設置されたマルチコピー機で、24時間365日プリントが可能。今後順次拡大予定。
・会員登録や専用アプリのインストール不要。顔写真データはコンテンツ番号発行後14日間で自動削除。
・証明写真として使用可能な範囲でトリミング・背景色変更・美肌加工が可能。
・証明写真機の4分の1程度の価格

 同社は今後、対応店舗拡大や機能拡張などでサービス利用者を拡大するとともに、検定協会や地方自治体・公共団体の証明写真撮影の推奨サービスとしての定着を図ることで、2028年度までに15億円以上の売上を目指すとしています。


※文中敬称略
※文章は2024年4月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。