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紙の市況(2024.4)詳細 4月20日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子HD 欧州包装資材加工会社を買収

 王子ホールディングスは4月16日、フィンランドに本社を置く包装資材加工会社Walki Holding Oy社を買収し完全子会社化したと発表しました。Walki社はサステナブル包装資材に特化した加工会社とのことで、

・リサイクル性とバリア性を兼ね備えた紙ベースの環境配慮型包装資材が主力製品で、EU規制に適合。
・今回の買収で王子HDは原材料から包材加工までを一気通貫で提供する事業構造を確立

等が子会社化の背景とのこと。
 また、Walki社の原紙加工技術や製造ノウハウをパッケージング事業に組み込むことで、現在の主力事業拠点の東南アジア、インド、オセアニア市場においても環境配慮型包装資材の技術力、製造力、総合提案力を強化してサプライターとしての存在感を高めていくと、同社は意義を説明しています。


【その他の市況/状況】

1.大王製紙 高透明度CNF水分散液をラインナップに

 大王製紙は4月11日、透明度の高いCNF(セルロースナノファイバー)の製造技術の開発に成功し、新たに高透明度CNF水分散液「ELLEX‐C(エレックスクリア)」を同社のCNF製品のラインナップに追加したと発表しました。同社サイトの発表によると、

「ELLEX‐C」の特長 ・新技術の開発で繊維幅は3~4ナノメートルと微細化、高い透明度を実現
・従来法に比べ、より環境にやさしい薬品や製造技術、より省エネルギーで生産性の高い製造方法を採用
製品への採用 富士紡ホールディングスの機能性繊維加工「memory cotton🄬」の防縮・防シワ剤の材料として採用。「ELLEX‐C」を用いることで、生地の色を変えずに寸法安定性を付与し、ホルムアルデヒドを含まない防縮・防シワ加工を実現。

 今回の採用以外でも高透明度を生かした化粧品、塗料、インキ等の意匠性が要求される用途や工学系材料用途への展開が期待できるとして、同社は今後も用途開発を加速していくとしています。


【ESG、SDGs等関連】

1.国際紙パルプ ISCC PLUS認証を取得

 国際紙パルプ商事は4月9日、持続可能な製品に関する国際的な認証のひとつの「ISCC PLUS認証」を取得したと発表しました。同社サイトの発表によると

ISCC PLUS認証 国際持続可能性カーボン認証。企業の扱うバイオマス由来の製品が、原料の調達、製造、出荷の各段階で適切に管理されていることを証明する国際的な認証。
今後の展開 同社東京本社、関西支店、中部支店でISCC PLUS認証製品の販売が可能に。認証分を割り当てた食品用フィルムの取り扱いを2024年3月より開始。

 同社は2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロを目標に掲げており、今回の認証取得により、規格に準拠したバイオマス製品の取り扱いを拡大し、環境負荷低減に向けた取り組みを進めていくと表明しています。


2.日本製紙 木材チップ専用船で「掻き出しロボット」トライアル実施

 日本製紙は4月12日、日本郵船株式会社、知能技術株式会社、岩国産業運輸株式会社と共同で、木材チップ専用船の船倉で木材チップを掻き出す業務にロボットを使う遠隔操作トライアルを4月5日に実施したと発表しました。船倉の隅などに溜まってショベルカーやクレーンなどで荷揚げができないチップに関しては従来、作業員の方がスコップやフォークなどを使った人力で掻き出し作業を行っていますが、

・高さ10メートルほどの船倉内を上り下りする必要がある
・船倉内が低温・高温になりやすく、酸欠のリスクもある
・作業員の高齢化による将来的な人員不足の懸念

等の課題があるとのこと。
 現場作業を機械化することで日本製紙は作業環境の改善や労働安全性の向上を目指していますが、単なる改善ではなく、持続可能な社会を実現するために必要な課題の解決と位置づけ、今後も取り組んでいくと表明しています。


【印刷、製品、その他関連】

1.大日本印刷 環境負荷低減建材・カード

 大日本印刷は4月16日と17日、環境負荷を低減する建材とICカードの提供開始を発表しました。同社サイトの発表によると

建材 マンションや各種施設等の室内ドアや収納・内装に使う化粧シートで、表面コーティング層のコート剤にバイオマス原料を一部使用した新製品を開発。従来品と変わらない機能を保ちつつ、バイオマス原料の使用で環境負荷の低減を図れる製品として、生活者の環境意識の高まりに対応。
ICカード 非接触対応ICクレジットカードのプラスチック部分全体をリサイクル材にした新製品の開発に成功。2024年4月より販売開始。従来品と比較してカード1枚当たりライフサイクル全体で約19.5gの二酸化炭素排出量を削減する効果があると説明。

 同社は新製品の販売で脱炭素と持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。


※文中敬称略
※文章は2024年4月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。