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紙の市況(2024.6)詳細 6月10日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.日本製紙他2社 紙コップの水平リサイクルを実現

 日本製紙は5月30日、日本航空株式会社(JAL)、東罐興業株式会社とともに、紙コップの水平リサイクルを実現したと発表しました。公式サイトのニュースリリースによると、

内容 対象のJAL機内で分別回収した使用済み飲料用紙コップを新たな紙コップに再生する「紙コップto紙コップ」の水平リサイクルを実現。
日本製紙によると、紙コップを紙コップに再生する資源循環は国内初の取り組み。
再生された新しい紙コップは環境月間に合わせ6月1日より10日間程度(在庫なくなり次第終了)、羽田発のJAL国内線運航便でお客様に提供。
背景 JALグループと日本製紙グループは2022年12月から使用済み紙コップの分別回収とリサイクルを実施。
従来は段ボールなどに再生していたが、
・お客様のご協力のもと、JAL機内での分別回収の精度が向上
・日本製紙富士工場に食品・飲料用紙容器専用リサイクル設備を新設
・東罐興業の製造技術が進歩
等により、紙コップから紙コップへの水平リサイクルが実現。
リサイクルの流れ ①お客様に協力頂き、対象JAL機内で使用済み紙コップを分別回収
②日本製紙グループにて再資源化
③東罐興業にて新たな紙コップとして再生
再生紙コップは古紙パルプ25%配合。古紙パルプの一部に機内で使用された紙コップを含んでいる。

 今回の再生紙コップの提供は期間限定ですが、今後も使用済み紙コップ分別回収対象路線や再生紙コップ提供路線の拡大を検討するなど、循環型社会の実現に向けて継続的な取り組みを推進していくと同社は表明しています。


【その他の市況/状況】

1.製紙用パルプの対日価格が上昇

 6月4日付の日本経済新聞紙上にて、製紙用パルプの対日価格が上昇していると報じられています。北米産N‐BKPの4月積み対日価格は3月積み比7%上昇、南米産L‐BKPの4月積み対日価格は同4%上昇し、ともに2023年春程度の高値水準となっているとのこと。

・中東情勢の混乱の影響で、欧州でアジアからの紙類の輸入が減り、域内生産が増えてパルプの需要も増加
・欧州では紙・板紙の需要自体が復調傾向
・フィンランドの今春の運輸関連の大規模ストライキがパルプの出荷に影響
・米国でも景気が堅調で板紙などの出荷が好調
・米国で住宅関連の回復遅れから、副産物である木材チップの供給が停滞
・北米・南米のパルプメーカーが欧米への供給を優先し、中国や日本向け価格で強気姿勢

といった背景があり、円安進行も相俟って日本向けパルプ価格が上昇していると記事では分析しています。
 中国の動向については

・足元のパルプ需要は停滞しているものの、中長期では増加傾向
・チップからの一貫生産体制を整えてパルプ調達を絞る動き

等があり、今後の価格動向は不透明との声も伝えられていますが、メーカーの事業形態の違いによって現在のパルプ高は業績プラス要因にもコストアップ要因にもなると、記事では指摘されています。


【ESG、SDGs等関連】

1.レンゴー 環境への取り組みを強化

 レンゴーは6月5日、「脱炭素社会の形成」「循環型社会の形成」「水リスクの管理」の3つの重要課題への取り組みをさらに強化するため、2030年度に向けた環境目標「エコチャレンジ2030」の指標・目標を見直したと発表しました。従来「化石エネルギー起源二酸化炭素排出量削減」としていたものを「温室効果ガス排出量削減」に拡大したり、水使用量の削減目標を新たに追加するなどの、従来よりさらに意欲的な目標を提示しています。合わせて環境投資金額も概算700億円に引き上げたと発表しており、持続可能な社会の実現と同社グループのさらなる価値向上を目指して「エコチャレンジ2030」の目標達成に向けて取り組みを進めていくとしています。


2.王子HD 「王子の森・自然学校」の参加者を募集

 王子ホールディングスは6月3日、2024年度の「王子の森・自然学校」を2024年8月に開催すると発表しました。「王子の森・自然学校」は全国の小学4年生~6年生を対象に、森を保有し、木を植え、育て、使用するという循環を学べる「森のリサイクル」編と、古紙から紙を再生する「紙のリサイクル」編の2つの内容を提供する、オンライン環境学習プログラムです。2004年に始まった「王子の森・自然学校」は当初は北海道や静岡の同社の社有林と工場を活用したプログラムでしたが、2020年は延期、以降、オンラインでの開催に変更となって続いてきた経緯があり、未来を担う子どもたちに紙は環境に優しいものであると理解して頂き、同社の”森を育て、森を活かす”環境保全に対する姿勢や思いを次世代につなぐ貴重な機会であるとして、今後もこうした環境教育面での社会貢献に努めていくと、同社は明らかにしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.大日本印刷 昇華型フォトプリンターのメディアの梱包を紙製に切り換え

 大日本印刷は5月23日、昇華型フォトプリンター向けに自社で製造しているインクリボンや用紙などフォトメディアの梱包材をプラスチックから紙に切り替えると発表しました。同社サイトのニュースリリースによると、

内容 写真やシール、証明写真などを印刷する用途の昇華型フォトプリンターの、インクリボン・用紙等フォトメディアの梱包材を、石油由来のプラスチックから、植物由来の再生可能資源である紙に変更。
2024年5月から日本で生産するフォトメディアの梱包材を切り替え、海外生産拠点にも順次展開。
変更による効果等 ・梱包材による二酸化炭素排出量を約69%(年間生産量換算で約45トン)削減
・紙を用いた簡易梱包にすることで、開封作業の簡便性を向上
・物流の効率化、保管場所の省スペース化なども可能に
・梱包の自動化で、プラスチックと同じ品質とリードタイムを実現

 同社はこの切り替えや自動梱包をの検討を2022年から進めてきたとのことで、フォトメディアの各製造拠点で梱包材用のプラスチックを削減することで、環境負荷の低減をさらに進め、脱炭素社会の実現に貢献していくとしています。


※文中敬称略
※文章は2024年6月7日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。