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華陽ニュース

紙の市況(2024.8)詳細 8月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.製紙8社 第1四半期決算発表

 大手製紙8社は8月14日までに、2025年3月期第1四半期(2024年4月1日~2024年6月30日)の連結業績を発表しました。各社サイトに掲載された決算短信によると、

 業績について各社は

王子HD プラス要因 ・白板紙・包装用紙の需要回復
・家庭紙の価格修正影響で減った販売数量の回復
・大人用紙おむつの販売数量増
・ベトナムに段ボール新工場立ち上げ
・円安
・ニュージーランドグループ会社の一部復旧
・政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益を計上
マイナス要因 ・2024年9月で国内事業から撤退する子供用おむつの減収
・海外でのパルプ市況の悪化
・海外での段ボール原紙の市況悪化
・国内のグラフィック用紙の減少傾向継続
日本製紙 プラス要因 ・インバウンド需要増で業務用家庭紙の需要回復
・ヘルスケア製品の需要堅調
マイナス要因 ・グラフィック用紙の需要減継続
・国内で物価高による個人消費の落ち込み、生活防衛意識の高まり
・オーストラリアグループ会社のグラフィック用紙事業撤退
レンゴー プラス要因 ・連結子会社の増加
・板紙・紙加工関連事業で販売量の増加
・工業樹脂製品の需要回復
・運送事業の採算改善
・新規連結に伴う負ののれん発生益を計上
マイナス要因 ・固定費の増加
大王製紙 プラス要因 ・価格改定効果の継続
・包装用紙が産業分野の回復基調や脱プラ・特殊分野・輸出増等で販売数量・金額増加
・家庭紙で新製品や高付加価値品の投入等による販売堅調
・家庭紙で価格改定の浸透取り組み
・ペットケアブランドが注目
・海外ではブラジル・タイで販売金額増、中国はフェミニンケア商品の販売拡大
マイナス要因 ・チラシ・パンフレット等国内メディア用途の紙の一層の市場縮小
・修繕のタイミングによる固定費増
・前年同四半期に政策保有株式売却益や受取保険金等を計上していた反動減
北越コーポ プラス要因 ・紙容器・包材事業の受注拡大
・木材事業で外部受注増
マイナス要因 ・海外子会社のパルプ販売価格の下落
・運送費の高騰
・円安
三菱製紙 プラス要因 ・グループ組織再編による労務費削減
・印刷用紙の輸出増
・市販パルプの輸出販売拡大
・蓄電デバイス用セパレータ、リライトメディア、エアフィルター等の販売金額増
・テープ原紙は国内外とも堅調
・包装紙で脱プラ・減プラ需要が堅調
マイナス要因 ・印刷用紙の国内需要減継続
・水処理膜基材で中国市場における競争激化等
・化粧板原紙で輸出向け需要減少
・インクジェット関連、ノーカーボン紙、PPC用紙の需要減
・ドイツ事業でフレンスブルク工場売却に伴う販売減
中越パルプ プラス要因 ・包装用紙・衛生用紙や輸出案件の拡販
・売電価格の下落で一部発電設備を停止、売上高は減少もコスト圧縮で同事業は増益
・紙断裁選別包装・紙運送事業の取扱量が増加
マイナス要因 ・グラフィック用紙の需要減退
・大型修繕工事実施などによる固定費の増加
・設備トラブル等による生産不調
特種東海製紙 プラス要因 ・環境関連事業のさらなる拡大に注力、前第2四半期より連結した資源再活用分野のトーエイ株式会社が売上高に寄与
・国内向けの特殊印刷用紙で昨年実施した価格改定効果が継続
・特殊機能紙で海外向け一部製品の需要が増加
・トイレットペーパーで価格改定、ペーパータオルで価格改定浸透と新製品提供効果で売上高増加
マイナス要因 ・国内物価高による買い控え等の影響で段ボール等包装材の需要全体が低調
・特殊印刷用紙で国内向けの需要減少継続

等を挙げています。
 8社とも同期間の事業環境については、原燃料価格の高止まり、円安基調、地政学リスク等、先行き不透明な状況が続いていたと記述しています。


【その他の市況/状況】

1.レンゴー セロファン・ビスコパールが土壌生分解性認証取得

 レンゴーは8月9日、同社が製造・販売しているセロファンとビスコパールの両製品が、土壌中での生分解性を証明する国際認証「OK biodegradable SOIL」を取得したと発表しました。土壌中で2年以内に90%以上生分解するか、基準物質(セルロース)に対して90%以上の生分解度を示す条件をクリアし、かつ、分解生成物の生態への安全性も証明されたことから認証されたとのこと。両製品は既に海水中での生分解性を証明する「OK biodegradable MARINE」認証を取得しており、国際認証を取得するのは今回で2回目となります。
 両製品は森林認証やバイオマスマークの認定も取得しており、同社は両製品の生産設備の増強を進め、今後とも環境に優しい製品の開発と安定供給に努めていくとしています。


【ESG、SDGs等関連】

1.KPPグループHD 「リラックマXスポGOMI」大阪府大会の応募を受け付け

 KPPグループホールディングスは8月8日、同社が主催する「リラックマXスポGOMI」大阪府大会の応募受付を開始したと発表しました。同社サイト等の発表によると

スポGOMI 決められたエリア内・制限時間内でチームワークでごみを拾い、ごみの量と質でポイントを競い合うスポーツ。2008年に一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブが提唱。
リラックマXスポGOMI 国民的キャラクターの「リラックマ」と「スポGOMI」がコラボレーションしたイベント。KPPグループHDは創立100周年記念事業の一環として「リラックマXスポGOMI」を本社・支店がある6都市を舞台に開催。

 大阪府大会は2024年9月8日開催で募集期間は2024年8月28日23:59までとのこと。同社は全てのステークホルダーが楽しみながら社会貢献活動をすることができるイベントであるとして参加を呼び掛けています。


【印刷、製品、その他関連】

1.大日本印刷 出版印刷事業を子会社に承継

 大日本印刷株式会社は8月8日、同社の印刷出版事業を吸収分割により同社完全子会社の株式会社DNP書籍ファクトリーに承継させることを決議したと発表しました。サイトに掲載された発表によると、

目的 昨今の出版印刷事業が置かれている厳しい経営環境を鑑み、意思決定の迅速化及び部門間連携の強化を図り、市場環境の変化に適切に対応することが可能な事業推進体制へと移行するため。
方法 吸収分割により同社出版印刷事業を同社完全子会社の株式会社DNP書籍ファクトリーに承継。同日、株式会社DNP書籍ファクトリーを存続会社、同じく同社完全子会社の株式会社DNPメディア・アートを消滅会社とする吸収合併を行い、出版印刷事業の製販一体体制を構築。株式会社DNP書籍ファクトリーの商号は「株式会社DNP出版プロダクツ」に変更する予定。
本吸収分割効力発生予定日 2025年4月1日予定

 なおこの吸収分割は同社と同社の子会社が当事者であるため、同社の連結業績に与える影響は軽微であると同社は発表しています。 


※文中敬称略
※文章は2024年8月16日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。