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紙の市況(2024.9)詳細 9月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.丸住製紙が価格改定発表

 
 丸住製紙は8月30日、印刷・情報用紙の価格改定を発表しました。

対象品種 印刷用紙、情報用紙
改定幅 現行価格より+5%以上
改定時期 2024年11月1日出荷分より

 各社は原燃料の高止まりや物流2024年問題への対応、労務費の増加等を要因として挙げ、値上げに理解を求めていますが、グラフィック用紙の需要が下がり続けるなか、今回の値上げがどう需給に影響するかにも注目が集まりそうです。
 

2.三菱製紙が停機発表

 三菱製紙は8月30日、高砂工場の抄紙設備2機を停機すると発表しました。同社サイトの発表によると、

対象設備 高砂工場 4号抄紙機 高砂工場 10号コーター
主要生産品種 情報用紙原紙
特殊紙
圧着ハガキ
インクジェット用紙
停機時期 2024年12月末予定 2024年9月末予定

 生産最適化に向け高効率マシンへ生産集約を進める一環として、老朽化した対象2機を停機することで、固定費の削減と生産効率の改善につなげると、同社は停機の狙いを説明しています。
 

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.日本製紙School POP🄬 採用エリアが拡大

 日本製紙は8月30日、同社が製造販売する学校給食牛乳用容器、School POP🄬の採用エリアが、2024年夏休み明けから拡大すると発表しました。新たに北海道で導入され、既に導入済みの大阪府・熊本県では供給エリアが拡大するとのこと。School POP🄬はストローがなく、使い捨てプラスチックの削減に貢献しながら、開けやすさ・飲みやすさを向上させた学乳容器で、同社はさらなる採用リアの拡大に向けた取り組みを加速していくとしています。
 
【その他の市況/状況】

1.7月末古紙在庫が増加

 8月31日付の日本経済新聞紙上にて、関東製紙原料直納商工組合まとめの32社分の7月末古紙在庫が、3か月ぶりに前月末比増となったと報じられています。段ボール・新聞・雑誌3品合計の在庫量は前月末比13.3%増、段ボール古紙のみでは同29.9%増となったとのこと。発生増によるものとのことですが、在庫率をみればまだ適正を下回っている段ボール古紙に比べ、新聞・雑誌古紙の在庫率は適正水準を上回っており、紙製品の需要の低迷を反映していると記事では分析しています。
 
 

2.王子ファーマ 第一種・第二種医薬品製造販売業許可を取得

 王子ホールディングスは9月5日、子会社の王子ファーマ株式会社が東京都より「第一種医薬品製造販売業許可」と「第二種医薬品製造販売業許可」を取得したと発表しました。王子ファーマは木質由来の「硫酸化ヘミセルロース」を医薬品として製品化するために設立された子会社で、木質由来の「硫酸化ヘミセルロース」を用いた血液凝固阻止剤には、豚由来の既製品に対して、環境負荷や人畜共通感染症リスクの低減が期待されているとのこと。今回の取得により王子ファーマは処方箋医薬品およびOTC医薬品(処方箋なしで購入できる一般医薬品)の製造販売が可能となるとのことで、王子グループはメディカル・ヘルスケア領域においても社会貢献に取り組んでいくとしています。
 

【ESG、SDGs等関連】

1.日本製紙 使用済み紙コップをトイレットペーパーにリサイクル

 日本製紙は8月30日、長野県・北アルプス南端のリゾートホテル「休暇村乗鞍高原」で使用した紙コップについて、2024年9月より回収してトイレットペーパーにリサイクルする取り組みを開始すると発表しました。防水のためプラスチックが張り合わされた紙コップは従来古紙回収禁忌品として使い捨てられていましたが、日本製紙が開発した再生紙繊維を取り出す技術によって再資源化が可能になったとのこと。将来的には紙コップからエコバッグなどにアップサイクルすることも視野に入れ、資源循環の推進と二酸化炭素排出量の削減につなげることを目指すと、同社は取り組みの意義を説明しています。
 

2.コアレックス信栄 渋谷区と「災害時における紙製品等の供給協力に関する協定」を締結

 日本紙パルプ商事は9月6日、グループ会社で再生家庭紙製造のコアレックス信栄株式会社と渋谷区が9月5日に「災害時における紙製品等の供給協力に関する協定」を締結したと発表しました。この協定により、災害時、コアレックス信栄はトイレットペーパーやティッシュペーパー等の物資供給協力要請が渋谷区よりあった際は可能な範囲で物資提供の協力を行うとのこと。コアレックス信栄はこれまでも災害時に被災地へのトイレットペーパーの提供等の社会貢献活動や、備蓄に関する啓蒙活動なども実施しており、今後も国・自治体と連携を図りながら災害時の支援活動を進めていくとしています。
 

【印刷、製品、その他関連】

1.『紙エール デザインウインドウ』、「2024日本パッケージングコンテスト」のジャパンスター賞を受賞

 日本紙パルプ商事は8月29日、同社と株式会社イムラの共同開発品『紙エール デザインウインドウ』が「2024日本パッケージングコンテスト」のジャパンスター賞(経済産業大臣賞)を受賞したと発表しました。サイトに掲載された発表によると、

ジャパンスター賞
経済産業大臣賞
公益社団法人日本包装技術協会主催の日本パッケージングコンテストにおいて、保護や機能性等に加え、経済性や環境配慮等が総合的に評価された、優れた包装に対して贈られる、同コンテスト最高位の賞。
紙エール
デザインウインドウ
透明化用に開発された白色クラフト紙の一部に特殊加工を施して、中が見えるようにした包装袋。窓をつくる砕にプラスチックやグラシン紙を貼り合わせる必要がないため、脱プラスチックに貢献でき、リサイクルもできる。透明部分への印刷も可能。
今回の受賞ではリサイクル性やデザイン性が高く評価された。

 日本紙パルプ商事グループは今後も包装分野での紙化や脱プラスチックの提案を推進するとともに、持続可能な事業活動を実践していくとしています。

※文中敬称略
※文章は2024年9月7日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。