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華陽ニュース

紙の市況(2024.9)詳細 9月20日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.北越コーポレーションが機能材の価格改定を発表

 北越コーポレーションは9月10日、機能材製品の価格改定を発表しました。

対象品種 機能材製品(品種ごとに個別にご案内)
改定幅 品種ごとに個別にご案内
改定時期 2024年11月1日出荷分より

 同社は機能材製品についても世界情勢、原燃料価格の高止まり、物流経費の増大が影響しているとして、価格改定に理解を求めています。
 

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子・レンゴー 2024日本パッケージングコンテスト入賞製品を紹介

 王子ホールディングスとレンゴーは、「2024日本パッケージングコンテスト」において、王子グループは11作品、レンゴーは8作品が入賞したことを発表しました。各々の公式サイトの発表によると、

王子HD 『セーラー万年筆 ふでDEまんねん』
 (セーラー万年筆・イムラと共同受賞。単一紙素材で中身の万年筆が見える透明加工を施した、リサイクル可能な
  紙パッケージ。ジャパンスター賞・日本貿易振興機構(ジェトロ)理事長賞を受賞。)
『大改善!!!全てを兼ね備えた「住宅用下方放出型自動消火装置ケース」』
 (モリタ宮田工業と共同受賞。パッケージの改善で中身の分かりやすさ、注意が必要な部分に無意識に触らない構造、
  作業効率アップ、脱プラ、固定のための資材数の減少を実現。包装技術賞/適正包装賞を受賞。)
『エコパッケージ花火』
 (若松屋など5社と共同受賞。完全脱プラスチック包装などで紙1.8トン、プラスチック0.8トンの資材を削減。
  包装部門賞/日用品・雑貨部門賞を受賞。)
『キャットパズルボックス』
 (シンコーなど4社で共同受賞。キャットハウスを猫が好む段ボール素材で製造。連結可能なパズル形状でキャットタワーなど
  購入者が自由に組み合わせられ、100円ショップで販売と安価。包装部門賞/日用品・雑貨部門賞を受賞。)
 
その他、『紙エールデザインウインドウ』『720gUDエコペット』『バイオ OPS 容器 蓋(マスバランス方式によるバイオマス割当ポリスチレン容器)』『Bee スター1000』『天井吊形エアコンの梱包材接着レス化』『強度も安心なアメリカンロックでハイプル化』『補給用フェンダーカートンの包装改善』で各賞を受賞。
レンゴー 『ポストインカウンターディスプレイ』
 (オール紙製で郵送できるカウンターディスプレイ。広告主はクラシエ。包装技術賞/ロジスティクス賞を受賞。)
『アサヒ スーパードライ エコフレカートン』
 (アサヒビールと共同開発。運びやすさ、開けやすさ、取り出しやすさ、処分のしやすさなどを実現したパッケージ。
  包装部門賞/飲料包装部門賞を受賞。)
『段!極まる”Bright Press”効果』
 (段ボールの表面にくっきりと凹凸を付けられる加工技術”Bright Press”を開発。印刷やニスの組み合わせでインパクトのある
  デザイン表現が可能で、製造時の工程数を減らしエネルギーの節約にも貢献。包装部門賞/贈答品部門賞を受賞。)
『JA茨城むつみ 軽トラック型ビッグアート什器』
 (広告主はJA茨城むつみ。28個の段ボールケースを積み上げると軽トラックのような什器になり、産直の鮮度感や
  圧倒的な存在感を伝え、イベントを盛り上げられる。道具を使わず組み立てられ、使い終わったら畳んで保管でき、
  繰り返し使える点も好評。包装部門賞/POP・店頭販売包装部門賞を受賞。)
 
その他、『気分で選べる コーヒーカプセルストッカー』『片手でやさしく『ぺたんとロック🄬』』『スティック型掃除機 環境配慮パッケージ』『店舗用エアコン室外機用オール段ボール天トレイ』で各賞を受賞。

 入賞作品は10月23~25日開催の「東京国際包装展(東京パック2024)」にて展示と告知されています。
 

2.レンゴー 南極地域観測隊へ段ボールを寄贈

 レンゴーは9月11日、第66次南極地域観測隊へ物資輸送用段ボールを提供したと発表しました。同社は1956年の第1次隊から毎回継続して段ボールを提供しており、今後も段ボールの提供を通じて南極観測隊の活動を力強く支え続けていくとしています。
 
【その他の市況/状況】

1.8月家庭紙店頭価格横ばい

 9月12日付の日本経済新聞紙上にて、8月の家庭紙の店頭価格が前月比横ばいだったと報じられています。東京紙商家庭紙同業会の調べによるもので、横ばいは2か月連続とのこと。夏場は需要が弱含む時期も、南海トラフ地震に関する臨時情報(巨大地震注意)を受け備蓄の動きが出るなど、需要が価格を下支えしたと記事では分析しています。 
 

2.8月パルプ価格が下落

 9月14日付の日本経済新聞紙上にて、製紙用パルプの8月積み対日価格が下落したと報じられています。南米産L‐BKPが前月比14%、北米産N‐BKPが同4%下落となったとのこと。ブラジル大手パルプの新工場稼働、中国の需要鈍化などが南米産L‐BKPの価格下落の要因となり、北米産N‐BKPもその影響を受けたと記事では分析しています。
 

3.栗田工業 製紙工程向け予兆診断サービスを本格展開

 栗田工業は9月12日、製紙工程の水質データを分析することで欠点(異物の付着などにより紙製品に生じる穴や斑点などの障害)の発生による品質低下やそれに伴う操業障害などを事前に予測し、その原因の推定を可能にする予兆診断サービスの本格展開を9月に開始したと発表しました。本格展開に先立つ複数の顧客での先行導入では欠点の発生数を約4割低減でき、製紙工程での蒸気の使用量も従来比で削減できる見込みとのこと。なお、新サービスは10月9~11日開催の第67回‐2024紙パルプ技術協会 高崎年次大会の講演・展示会で紹介される予定と同社は告知しています。
 
【ESG、SDGs等関連】

1.王子HD 国内社有林の経済価値評価を実施

 王子ホールディングスは9月11日、林野庁の手法をもとに実施した、同社の国内の「王子の森(約18.8万ヘクタール)」の経済価値が約5,500億円という試算結果となったと発表しました。土砂流出・崩壊防止価値が年2,750億円、水源涵養(森林土壌で降水を蓄積・浄化して洪水・渇水を防ぐ役割)価値が年2,040億円、生物多様性の保全価値が年430億円、大気保全・保健休養価値が年280億円と算出しています。
 同社は特に生物多様性の重要度が高いと推定される北海道猿払村の「王子の森」で自然資本の価値を測り定量的に評価するプロジェクトを開始したとも発表しており、自然資本会計の時代に向け、これからも、ネイチャーポジティブ経営を進化させていくと表明しています。
 

2.北越コーポ JOGMECのCCS事業に係る設計作業等を受託

 北越コーポレーションは9月17日、石油資源開発・三菱ガス化学・東北電力とともに、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS事業に係る設計作業等」公募において、令和6年度の東新潟地域におけるCCS事業に係る設計作業等の受託契約をJOGMECと締結したと発表しました。公式サイトの発表によると、

CCS 「二酸化炭素の回収・貯留」を表す用語。「2050年カーボンニュートラル」の実現に資すると考えられているCCSの事業化に向け、JOGMECは先進的CCSの取り組みへの支援を2023年度より開始しており、2024年度は東新潟地域のプロジェクトを含む9案件が候補として選定された。
東新潟地域 新潟県が進める「新潟カーボンニュートラル拠点開発・基盤整備戦略」の対象エリア。この地域での2030年までのCCS事業開始を目指し、製紙工場、化学工場、火力発電所から分離・回収した二酸化炭素をパイプラインで貯留地点に運び、圧入・貯留する技術やコスト等の事業性調査を2023年度に実施した。2024年度はそれに加え、CCSバリューチェーン全体の設計作業や、貯留予定地での試掘のための諸作業を進める予定。
北越の担当 自社工場のバイオマス燃料由来二酸化炭素の分離回収設備に関する設計作業等を担当。

 4社は同地のCCS事業の実現と、地域の特色を生かした脱炭素燃料や環境価値などの付加価値を創出する事業を目指し、「2050年カーボンニュートラル」の実現に積極的に挑戦していくとしています。
 

3.TOPPAN 化粧シートをバイオマス化

 TOPPAN株式会社は9月17日、家具や什器等の表面に貼る化粧シートで、重量の最大65%にバイオマス由来原料を用い製造時の二酸化炭素排出量を従来比約19%低減できる新製品を開発したと発表しました。バイオマス原料にはサトウキビの非可食部分を用い、食料用途との競合を排しながら、課題だった耐久性、耐傷性、意匠表現も従来の石化由来原料化粧シートと同等を実現したとのこと。同社は今後もバイオマス由来の化粧シートの更なるバイオマス比率の向上と材料のバイオマス化を進めながら、他の環境配慮型材料との融合・組み合わせで製品を開発し、社会課題の解決に貢献するとしています。
 
【印刷、製品、その他関連】

1.DNP ホテル等の書店開業を支援するサービス

 
 大日本印刷は9月11日、ホテルなど、書店業以外の事業者が自社サービスと連携させた書店を開業する支援を行いサービスを開始すると発表しました。公式サイトの発表によると、

狙い 国内書店が減少するなか、書店業以外の事業者で、本が人を惹きつけ留める力を活用した自社サービスの付加価値、リピート率、滞在時間の向上を図るニーズが高まっている。仕入れや収益率の問題から参入が難しい書店開業を支援することで、国内の書店減少や書店のない自治体の増加による課題解決に貢献することも狙う。
第一弾 サービス導入第一弾として、「定山渓 第一寶亭留 翠山亭」に2024年9月19日オープンの「風呂屋書店」の開業を支援。宿泊者以外も約2,500冊の書籍を閲覧・購入できる。

 同社は宿泊施設のほか、サービス付き高齢者向け住宅、飲食店、オフィス、ビジネスラウンジ、リゾートマンション等に向けても同サービスを提供し、人と本が出合う場の創出につなげていくとしています。

※文中敬称略
※文章は2024年9月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。