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華陽ニュース

紙の市況(2024.10)詳細 10月10日更新分

【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.東京国際包装展 各社出展を発表

 10月23~25日開催の「2024東京国際包装展(東京パック)」に各社が出展を発表しています。各社の公式サイトの発表によると、

王子HD 『GREEN INNOVATION ‐次のフロンティアへ‐』がテーマ。
サステナブル包装資材のトータルパッケージングプロバイダーとして行っている
・紙を使う環境配慮型パッケージを紹介する『紙化ソリューション』
・環境配慮型パッケージング事業を紹介する『グローバルソリューション』
・紙製品の再資源化の取り組みを紹介する『リサイクルソリューション』
を中心に、その他、液体容器、機能性軟包装、商品物流での最適化包装、デジタル印刷&デジタル加飾、2024日本パッケージングコンテスト入賞作品を展示・紹介予定。
日本製紙
お客様の課題やニーズを「問」に変換し、それに対する「答」として商材やパッケージソリューションを提示。
国内外/日本製紙グループ全体の課題解決力をアピール、協力会社との連携で素材開発から提案、加工、供給まで一貫して対応し、ブース内に商談コーナーを設置することで、会期中でも迅速なご提案が行えるフレキシブルな体制を整える。
レンゴー 「パッケージから始まる美しい環境と暮らし」をテーマに、「環境」と「暮らし」の2大ゾーンをメインに構成。
「環境」ゾーンでは生分解性など機能が注目のセルロース関連製品をはじめとしたさまざまな環境対応パッケージを、
「暮らし」ゾーンでは店舗や通販で使われ暮らしを支えるソリューションを展示・紹介。
省力化に寄与する新たな段ボールへの印字技術を今回初出品。
特種東海製紙 特種東海製紙グループのMATERIAL(紙素材)のご紹介とそれらを使用したFORM(パッケージ形状)に関する展示を行う。

 包装に関する最新情報が一堂に集まる国際総合包装展とのことで、各社とも来場を呼び掛けています。
 
 
【その他の市況/状況】

1.関東の古紙在庫が2か月連続で増加

 10月2日付の日本経済新聞紙上にて、関東の8月末の古紙在庫が前月末比プラスとなったと報じられています。関東製紙原料直納商工会32社分のまとめによるもので、2か月連続で前月末比増となったとのこと。在庫率の低下が報じられていた段ボール古紙も前月末比17.6%の増加となっており、8月後半の台風の影響で流通が滞ったものの、原紙生産が停滞したことで出荷が仕入を下回ったと、在庫率回復の要因について指摘しています。
 
 

2.高硫黄C重油価格下落

 10月8日付の日本経済新聞紙上にて、7~9月期の高硫黄C重油のENEOSと大口需要家の価格交渉が下落で決着したと報じられています。4~6月期比1%の下落となったとのことで、原油価格の下落を映し2四半期ぶりの引き下げとなったと記事では伝えられています。 
 

3.王子ネピア 新トイレットロールにリサイクル固形燃料由来の電力利用

 王子ホールディングスと王子ネピアは10月1日、同日より九州エリアで新製品「ネピア ネピネピ トイレットロール2倍巻12ロール RefF(リーフ) シングル/ダブル」を発売すると発表しました。新製品はユニ・チャームが展開する水平リサイクルプロジェクトRefFに参画したもので

RefF(リーフ) ユニ・チャームが展開する、使用済み紙パンツ・紙おむつの水平リサイクルのブランド名。「Recycle for the Future」の頭文字を取ったもの。
「使用済みの紙パンツを捨てないみらい」に向けリサイクルに取り組む考えに、同じく使用済み紙パンツ・紙おむつ排出量増加問題への取組検討を進めていた王子ネピアが賛同し、今回のプロジェクト参画に至った。
新製品の関わり 使用済み紙おむつの回収、素材として再生、工場で利用、新しいおむつに再生、という水平リサイクルのなか、素材としての再生段階で生まれる固形燃料(RPF)を利用した発電による電力を新製品の生産時の電力の一部として利用する。
固形燃料の量と生産されたトイレットロールの量を厳密に管理し、当該の固形燃料の電力を利用して生産された商品のパッケージにRefFマークを表記する。

 
 王子HD・王子ネピアは「人と地球に、ここちいい。」のタグラインのもと、RefFプロジェクトへの参画を通じて、使用済み紙おむつの資源循環を推進し、社会課題解決に向けて貢献していくと表明しています。

4.大王製紙CNF水分散液「ELLEX‐S」が室内の抗菌等空気改善塗料に採用

 大王製紙は9月26日、同社のセルロースナノファイバー(CNF)水分散液「ELLEX‐S」が、ハードプロテクト株式会社の室内用抗菌等空気改善塗料『Satoyama Coat(サトヤマコート)』の添加剤として採用されたと発表しました。同社サイトの発表によると、

『Satoyama Coat
(サトヤマコート)』
「空気をキレイにする見えない壁紙」をコンセプトにハードプロテクト株式会社が開発した室内用塗料。いたどり、よもぎ、柿の葉、茶の木由来のポリフェノール成分が入っていて、壁や天井に塗布することで空気中に含まれる有害物質を吸着・分解する効果があると紹介されている。
「ELLEX‐S」の効果 「ELLEX‐S」の配合で塗料の粘度が増し、これまで使用が難しかった箇所にも塗布可能になった。加えて、塗料の定着性向上にもつながったと評価。

 同社は2025年度にCNF複合樹脂の商用プラント稼働を計画しており、生産能力を引き上げてCNF事業の拡大を目指すとしています。
 
 
【ESG、SDGs等関連】

1.大王・レンゴー 「一次データ流通基盤」共同実証実験に参画

 大王製紙とレンゴーは9月27日、ユニ・チャームが呼び掛けた温暖化ガス(GHG)排出量算定のためのデータ基盤構築の共同実証実験に参画すると発表しました。両社サイトの発表や9月28日付の日本経済新聞記事によると、

目的 GHG排出量の算定に必要となる一次データを共通のプラットフォーム上で流通させることを目的とした実証実験。製品ごとの原材料調達から廃棄までに出る二酸化炭素の総排出量である「カーボンフットプリント」の開示を進める狙い。
一次データ 自社製品を製造する際の消費電力などの自社で測定・収集したデータや、取引先から聞き取った自社に関連する排出量のデータ等。
流れ 実証実験に参画する資材メーカーが日用品各社に提供している各々の原材料の製造工程や使用原料についてのGHG排出量を自社システムに入力。日用品各社は今回開発されたプラットフォームを通じて自社製品の排出量算定に必要な素材の排出量情報のみを取得する。
素材メーカーと問い合わせた日用品メーカー間でのみ保存される分散型の仕組みの採用で、データの秘匿性を確保しているとされている。

 実証実験の効果が確認できれば、同業他社にどの素材を使っているかを推測させるようなデータが漏れることを防ぎながら、排出量算定のための手間を大幅に省いて、実態に即した排出量をよりスムーズに算出できるようになるとの期待が寄せられています。
 

 
【印刷、製品、その他関連】

1.TOPPAN 軟包装に製版・印刷技術で偽造防止機能

 
 TOPPANは10月4日、ラベルを貼り付けるのではなくパウチに直接偽造防止の隠し絵柄を付与する「セキュリティ軟包装パッケージ」を開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、

背景 化粧品やサプリメントなどの高価格帯商品で模倣品による被害が世界中で拡大している。
真贋を見分けるため、ホログラムなどの真贋判定ラベルを貼り付ける方法があるが、複製が困難でセキュリティ性が高い反面、ラベルの製造や貼付けといった工程の発生で運用コストの高さが課題だった。
万線潜像 「モアレ現象」を利用したTOPPANの偽造防止技術。特殊なシートを重ねると隠れた文字や画像が浮かび上がる仕組み。超高密度な画像で構成されるため、コピー機などでの複製は極めて困難とされる。
新開発内容 「万線潜像」技術を、パウチを生産する工程でデザインとして印刷できるように開発。
パウチの「オモテ面」の透明な部分に、「ウラ面の内側」に印刷した特殊な模様を重ね合わせると隠し絵柄が浮かび上がる仕組みで、検証用のフィルターを必要とせず、消費者が自分で正規品か模倣品かを判断できるようにした。
ホログラム等のラベルを作成・貼付する工程を省略できることで、低コストでのセキュリティ機能付与が可能。

 同社はサンプル提供を10月から開始するとともに、「2024東京国際包装展」にサンプルを展示する予定であると発表しています。

※文中敬称略
※文章は2024年10月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。