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華陽ニュース

不定期配信 源氏物語の紙2

光源氏の恋人のひとり、六条御息所。亡き東宮との間に姫宮を授かっている高貴な方ですが、次第に源氏の足が遠のき、姫宮が伊勢の斎宮になる際に一緒に伊勢についていくことで光源氏との恋を終わらせます。気位が高く、嫉妬深い性格と思われがちなようですが・・・

第12帖「須磨」

 「明石」の巻で、明石入道の娘、明石の君と文通を重ねる光源氏。ついに明石入道のお膳立てで明石の君の住まいを訪ねます。「ほのかなるけはひ、伊勢の御息所にいとようおぼえたり」、初めて会う明石の君のほのかな気配は、伊勢に下ったかつての恋人、六条御息所を思わせるものでした。
 ところでこの六条御息所、「明石」の前の巻「須磨」で、須磨に隠棲する源氏にお見舞いの手紙を送る様子が描かれています。源氏はいろいろな人と手紙のやりとりをしていますが、御息所の手紙は「言の葉、筆づかひなどは、ひとよりことになまめかしく、いたり深う見えたり」、言葉遣いや筆跡が他の人よりずっと優美で、思慮深く思えます。
 この手紙に御息所が用いたのが「白き唐の紙」。中国から輸入された、高級な料紙でした。紙にも墨の色にも気を使った、見るべき風情のあるお手紙に、源氏は別れの経緯を思い返し、少し後悔するのでした・・・ 

 御息所という高貴で雅な人を表現するのに用いられている「白き唐の紙」。源氏に軽い扱いをされた挙句、悪役のように描かれてしまったこの方ですが、決して軽々しく扱って良い人ではないということを、紫式部は「紙」の選択で表現しているのかもしれません。

※華陽紙業にて紙に関する記述がある部分を抽出し、崩して訳した文章となっております。興味がおありの方は、是非、原文でお楽しみ下さい。