不定期配信　マウスちゃんとメモリ主任のＩＴ１年生⑱

情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。

ある朝、イーさんがマウスちゃんに声を掛けます。
「マウスさん、お客様からメールが来たんだけど、文章の意味が分からなくて。ちょっと見てもらえないかな。」
「良いですよ。」
　イーさんの机をのぞき込んだマウスちゃん、別の意味で首を傾げます。
「あれ？これって、プレビューウインドウですよね？」
「あ、うん、そうだね・・・」
「メモリ主任から、メールソフトのプレビュー機能はオフにして下さいって言われてたと思うんですけど・・・」
「・・・・・・」

「そうですよ。規程にもそう記載しています。」
　確認に行ったマウスちゃんに、メモリ主任がうなずきます。
「最近は添付ファイルを開いて感染したり、リンクから情報を盗まれたりする例が多いのでそちらを注意しがちなのですが、メールのなかには開いただけで感染するタイプのものがあるのですよ。そういうメールはプレビューを開いただけでも感染するので、メールソフトのプレビュー機能はオフにするよう、規程に記載しています。初期状態ではプレビュー機能がオンになっている場合が多いので、総務が最初にメールソフトの設定する場合はプレビュー機能をオフにしていますが、それを知らずにオンに戻してしまったのかもしれませんね。」
「開いただけで感染・・・怖いですね。」
「プロバイダーさんの対策やウイルス対策ソフトの導入で、開いただけで感染するタイプのメールが届くことは少なくなったという話ですが、気をつけるに越したことはないと思いますよ。」
「分かりました。」
「ところで、その、オフにしてあるプレビュー機能をオンに戻してしまったというのは、いったい誰・・・」
「あ、えっと、今ちょっと立て込んでる時間帯なので！有難うございました！」

　メモリ主任の追求を強引に振り切り席に戻ったマウスちゃん。イーさんに話を伝えて設定を変更します。
「設定のここにプレビュー機能の選択があるのでここをオフにして・・・あと閲覧ウィンドウもオフにすると表示されなくなりますから・・・はい、これで大丈夫です。」
「有難う、マウスさん・・・」
　イーさんのお礼の声には元気がありません。
「言い訳すると、僕がオフをオンにしたんじゃないんだよ。こっちの方が便利だぞって勝手に変えられちゃって、戻せなくて・・・」
「分かります。メモリ主任にもイーさんの名前は言ってませんから。」
「有難う・・・でもメモリ主任にはバレてるような気がする・・・・・・」
　いつものメモリ主任を思い返すと、まさかと笑い飛ばすこともできず、背筋の寒さを覚えるマウスちゃんなのでした。