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華陽ニュース

不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生 20

情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。

今日は社内清掃の日。イーさんは古新聞をまとめていたはずですが、気がつくと何かを熱心に読んでいます。
「片づけてるときに新聞や本を読み返しちゃうのってあるあるですよね。何か面白い記事、載ってました?」
「あ、マウスさん。この新聞の頃は、連日、情報漏洩の記事が載ってたんだなあって。」
「ああ、元の会社の仕入価格情報を転職先に不正に持ち出したって記事ですね。この事件のちょっと前にも、元の会社の技術情報を持ち出して同業種の会社にって事件がありましたね。」
「それって部品の方?別の部材の方?この頃、似たような記事が続けて載ってて・・・」
「ありましたね。どちらも不正競争防止法違反でした。」
「不正競争法防止法って、有名ブランドのロゴなんかをまねて違反になるってイメージの法律だったんだけど、情報漏洩も対象なんだね。」

「営業秘密の漏洩は不正競争防止法の対象なのですよ。」
 同じく社内清掃中のメモリ主任がいつの間にか傍にいて、説明してくれます。
「この新聞の頃、話題になった事件のように、仕入価格や重要な技術情報などが同業他社に漏れれば、その情報を得た会社は有利に競争を進めることができますから。それで、不正競争防止法で、故意や重大な過失で不正に得た営業秘密の漏洩が処罰の対象になっているのです。」
「価格や技術情報は絶対漏らしちゃダメってことですね。」
「確かに倫理的にはその通りですが、不正競争防止法だけに限ると、その言い方では少し不足がありますね。不正競争防止法上の営業秘密は

・その会社の営業上、有用な情報であること
・秘密情報として管理されていること
・公然と知られていない情報であること

という3つの条件を満たしている必要があります。ですから、例えば、自社の製品の核となる技術情報が必要な人しか閲覧できないように厳重に管理されていて一般に知られていない場合は『営業秘密』となりますが、同じ情報が、メンテナンス上の必要性などから自社サイトに掲載されているような場合は、少なくとも不正競争防止法上の『営業秘密』には当たらないことになりますね。」
「社外秘の価格表は営業秘密だけど、自社のECサイトに掲載されている価格は営業秘密にはならない、とか?」
「価格や技術情報に限りませんよ。例えば、顧客リストのようなものでも、条件を満たしていれば営業秘密として認定される場合があります。」

「もちろん営業秘密ではないからと言って、その情報が保護されていないというわけではありません。例えば、重要技術情報などはたとえ自社サイトで公開されていたとしても特許法で守られている場合がありますし、コンピュータープログラムなどが著作権法で守られている場合もありますね。」
「いろいろな法律があって難しいですね・・・」
「要は『不正に』あるいは『無許可で』情報を持ち出さず、許可を取って持ち出した情報でも、許可を得た利用法以外では利用しない、ということです。」
「なるほど。法律関係なく、それが基本ということですね。」
 そろそろ古紙回収のトラックが来ますから、と伝えてくれたメモリ主任にお礼を言って振り返ると、イーさんが青い顔で個人スマホを見つめています。
「どうしたんですか?」
「・・・今まで気軽にパシャッてしてきたんだけど・・・・・・」
 ひょっとしてこれって・・・と呟くイーさんから目をそらし、聞かなかったことにしようと思うマウスちゃんなのでした。