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華陽ニュース
不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生 28
情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。
困り顔でスマホを見つめるイーさん。「どうしたんですか?」と尋ねて画面をみせてもらったマウスちゃんも「ああ・・・そのニュース・・・・・・」と困り顔になります。
「次々にいろんな不具合が判明してますよね。」
「まあ、新しいことをしようとするときってこんなものかも知れないけど、怖いよね。」
「システムを直さないと、って言われたら、私たちは待つしかないですしね。」
「入力ミスも多いみたいだよ。結局は人間のミスって話になるのもなんだか主旨と違うというか・・・」
「・・・そう言えば」
マウスちゃん、以前、メモリ主任に教えてもらった言葉を思い出します。
「『フールプルーフ』っていう言葉があるんだそうですよ。」
「フールプルーフ?」
「絶対に入力ミスや操作ミスは起こるっていう前提で、入力ミスや操作ミスをしたらシステムが止まったり、そもそもミスになる入力や操作を受け付けないようにしたりっていう風に、最初からつくっておくことだそうです。例えば、決まった数字以外を入力したらエラーが出てそれ以上入力できなくなるとか、権限がない人はボタンを押せないようにするとか。」
「ああ。よくあるね、そういうの。」
「ちゃんと蓋が締まってないと洗濯機が動かない、っていうのも入るそうで、別にITに限った話じゃないってメモリ主任は仰ってましたけど。」
「信頼性設計、と呼ばれる手法のひとつなのですよ。」
話し込む二人に声をかけたのはメモリ主任でした。
「メモリ主任!・・・信頼性設計、ですか?」
「はい。システムの信頼性を実現するために、いろいろな手法があるうちのひとつです。」
「フールプルーフ以外にはどんなものがあるんですか?」
「例えば障害が発生したときにまず安全を優先して事故を防ぐ『フェールセーフ』とか、障害が発生した部分を切り離すなどして稼働させる『フェールソフト』なども手法のひとつですね。」
「安全を優先するか、システムを止めないことを優先するか、ですね。」
「ほかにも、『フォールトトレランス』や『フォールトアボイダンス』・・・」
「ま、待って下さい!『フ』ばっかりで混乱してきました!」
「用語を覚えようとすると混乱するかもしれませんが、手法自体はマウスさんもイーさんも、日常の仕事で使っていると思いますよ。」
「え?」
「例えば、お客様からご注文をうかがう際に注文書を使って商品明細や納期などの聞き漏らしを防ぐとか、見積書を入力した際に異常値がエラーで表示されて入力ミスを防ぐなど、いろいろ工夫をされていますよね。用語はそういった工夫を分類して名前を付けただけということです。」
「なるほど。逆に、用語をヒントにしてもっとほかの工夫を考えていくこともできそうですね。」
納得するマウスちゃんの隣で、思わずという風にイーさんが問いかけます。
「あの・・・ひょっとしてメモリ主任なら、今回の問題についても解決策を考えておられるのでは・・・」
イーさんの言葉にメモリ主任は苦笑します。
「私が思い付くくらいのことは、もう皆さん、とうに思い付いておられますよ。・・・それより」
メモリ主任がちらりと腕に目を向けます。
「お二人とも時間は良いのですか?営業部は確か会議の予定では?」
「え?・・・あ!」
「うわっ!!」
慌てて会議室に向かいながら、絶対忘れるんだからアラームをセットしておくべきだった、と、自分が怠ったフールプルーフ対策を悔やむ二人なのでした。