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華陽ニュース

紙の市況(2023.7)詳細 7月7日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.北越、紀州の色上質の廃色・変更を発表

 北越コーポレーションは6月30日、紀州の色上質の廃色・格差変更・色相変更を発表しました。

【紀州の色上質】

廃色 「アマリリス」を、在庫なくなり次第販売終了
格差変更 「黒」の格差を、★4つから★5つに変更。2023年8月21日より適用。
色相変更 使用染料の変更により、「りんどう」の色相を変更。変更後の色名は「りんどうN」として従来色と区別。2023年7月より生産を開始し、「りんどう」の在庫が無くなり次第、順次、「りんどうN」を販売。

 色相や価格変更を伴う変更となりますので、対象色のご使用前のご確認・お問い合わせをお願い致します。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.王子HD 紙素材のスキンパック開発

 王子ホールディングスは6月28日、NASCO株式会社と共同で、紙素材使用の環境配慮型スキンパックを開発したと発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 トレーとバリアスキンフィルムによって食品を真空密着包装する「スキンパック包装」で、王子HDが専用台紙を提供し、NASCO社が環境配慮型スキンパックとして販売。
特長 ・従来プラスチックトレーを使用していた部分を特殊加工した台紙に替えることで、プラスチック使用量を最大約90%削減。
・スキンパック包装が可能で、食品の鮮度保持時間が長くなり食品ロスを削減することが可能。
・台紙への両面印刷が可能で、視覚効果を高めた販売形態が可能。
採用 2023年3月に株式会社ネクサスの直営店「肉の匠中むら屋」の精肉包装に採用。

 同社は今後も環境配慮型素材や製品の開発を通して持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。


2.レンゴー サン・トックスと三井化学東セロの合併を決議

 レンゴーは6月29日、同社と株式会社トクヤマの合弁会社であるサン・トックス株式会社と、三井化学の子会社である三井化学東セロ株式会社の合併などを決議したと発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 三井化学東セロが現在営んでいる事業のうち、包装用ポリオレフィン系フィルムや発泡シート等からなる「パッケージソリューション」のみをサン・トックスとの経営統合対象とし、その他の事業を新会社に吸収分割したうえで、三井化学東セロを存続会社とし、サン・トックスを吸収合併する形で経営統合。統合後に存続会社の商号を「アールエム東セロ株式会社」に変更し、アールエム東セロの株式をレンゴーが取得して同社を子会社化すること等の内容の統合契約を締結することを、6月29日に決議。
期日 吸収合併効力発生日や株式取得日、商号変更日は2024年4月1日を予定。
目的 プラスチックフィルム業界を取り巻く環境の急速な変化に対応し、サン・トックスと三井化学東セロの高収益化、環境対応型新製品の開発加速、海外での事業拡大を推進する観点から。

 同社はこの統合で軟包装事業により一層注力していくと表明しています。


3.レンゴー子会社 四川省に新会社設立

 レンゴーは6月30日、同社子会社のトライウォール社が100%出資子会社を通じて中国・四川省に新会社を設立し、工場の稼働を開始したと発表しました。公式サイトの発表によると、

新会社名称 特耐王博正包装科技有限公司
所在地 中国四川省遂寧市
事業内容 重量物及び一般段ボールのシート、ケースの製造・販売
出資者 トライウォールグループ100%

 今後のさらなる経済成長が期待される四川省に新拠点ができたことで、拡大する周辺地域の需要を取り込み、多様化、グローバル化する包装ニーズに応えるとともに、事業の一層の拡充を推進していくと、同社は意義について説明しています。


【その他の市況/状況】

1.針葉樹チップ価格が上昇、広葉樹チップは下落

 6月30日付の日本経済新聞紙上にて、針葉樹チップの国際価格が上昇していると報じられています。北米産の対日価格が2022年春の価格に比べ1~2割上昇しているとのこと。

・北米で住宅需要が低迷。木材の生産が減り、副次的に生産されるチップの発生も減少。
・山火事などによる供給網の混乱
・環境保護意識からの伐採規制の強化傾向
・円安

などの背景から製紙会社の原料費は高止まりしており、針葉樹チップを主に使う包装用紙やティッシュペーパーといった紙製品価格も下がりにくい状況が続くのではと記事では分析しています。
 一方、印刷用紙などの主原料となる広葉樹チップは、中国の需要減少が影響しており、契約形態などによって差はあるものの下落傾向であると記事では伝えられています。


2.ENEOS 産業用C重油が値上げで決着

 6月30日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSと大口需要家が進めていた4~6月期の産業用C重油の価格が引き上げで決着したと報じられています。製紙会社がボイラー用燃料として使う高硫黄C重油は2023年1~3月期比で1%の上昇となったとのこと。円安や重油の海外相場の上昇を映したものと記事では説明されています。


3.王子の紙製吸音シリンダーがトンネル工事に採用

 王子ホールディングスは6月28日、同社が清水建設と共同開発した紙製吸音シリンダーが、清水建設参画の共同企業体が施工する中央自動車道 新小仏トンネル工事に採用されたと発表しました。紙製吸音シリンダーは王子HDと清水建設が共同で取り組む、土木現場の仮設資材に紙素材を活用するソリューション『KAMIWAZA』の開発の一環で、従来の木材製吸音装置と比べ

・大幅な軽量化で設置時や撤去時の作業負荷低減
・工事完了後には古紙としてリサイクルされ、段ボールなどに再生

と、トンネル工事時の発破掘削の騒音を抑える性能を有しながら、環境にも配慮した製品となっているとのこと。
 同社は今後も環境配慮型素材や製品の開発を推進し、持続可能な社会の実現に取り組んでいくと表明しています。


4.丸住製紙 CNFの粉末を製品化

 丸住製紙は6月30日、同社独自開発のCNF「ステラファイン🄬」の粉末を製品化し、従来の液状に加えラインナップを増強したと発表しました。今回発売の粉末品は再分散性に優れ、従来の液状と同程度の透明性・粘性が発現する特徴があるとのことで、

・溶媒中のCNF固形分濃度を調整しやすい
・液状と比べ容積・重量が小さく、輸送コストを抑えることができる
・水への再分散性に優れているため、分散剤などが不要

と、粉末を使用するメリットを説明しています。
 同社は引き続き研究開発を進め、新たな可能性の探求を続けていくとして、サンプル提供・購入を希望される方の連絡を呼び掛けています。


5.大王製紙 木材チップ船のバイオディーゼル燃料試験航行実施を発表

 大王製紙は6月30日、日本郵船と傭船契約を結ぶ木材チップ船「DAIO AUSTRAL」にバイオディーゼル燃料を補給して、愛知県の衣浦港からベトナムのカイラン港までの試験運行を実施したと発表しました。バイオ燃料は廃食油などを原料としているため燃焼時の二酸化炭素排出量が実質ゼロとみなされ、石油由来燃料の代替が期待されているとのこと。大王グループは調達先や燃料供給先と協働で供給網全体での二酸化炭素削減に取り組み、2050年のカーボンニュートラル実現を目指していくとしています。


【印刷、製品、その他関連】

1.大日本印刷 長瀬産業と二酸化炭素排出量コンサルティングサービス開始

 大日本印刷は7月4日、長瀬産業株式会社とともに、化粧品等の製品のライフサイクル全体における二酸化炭素排出量のコンサルティングサービスを開始すると発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 製品の生産、利用、廃棄までの二酸化炭素の総排出量を示す「カーボンフットプリント」を算定するために必要なデータの収集方法や算定ロジックの確立などについて支援。大日本印刷が持つパッケージに関する知見、長瀬産業が持つ化学品原料に関する知見などの強みを生かし、内容物からパッケージまで含めた製品全体の、より正確なカーボンフットプリントの算定を実現。
背景 企業に二酸化炭素排出量の可視化の仕組みづくりや情報開示が求められる状況となるなか、カーボンフットプリント算定に向けたデータ収集や仕組みづくりには専門のノウハウが必要で負荷も高いため、現状は業界平均等のデータから推定する方法が主流で、正確な実態が把握しにくく、排出量削減の施策の効果を算定結果に反映できないという課題があった。

 医薬品・化粧品業界などに提供し、製品の二酸化炭素排出量の算定と削減を支援するこのサービスを通して、企業とともに製品のライフサイクル全体でのカーボンニュートラルの実現に向けた様々な改善に取り組んでいくと、同社は今後の展開を説明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年7月5日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。