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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話44 紙とSDGs・ESG①

「おはようございます、シート先輩。・・・どうされたんですか、朝から難しい顔をされて。」
「おはよう、コマキさん。実は姪に、『紙屋さんはSDGsのことはどう考えてるの?』って質問されて。」
「最近の小学校はSDGsの勉強もするのですよね。私も使い捨てのプラスチックの袋のことで甥に叱られたことがあります。」
「前からリサイクルとか減プラとかの話はしてたんだけど、『SDGs』って言われると、どこから話をするべきかと・・・」
「順序立てて話をするなら、『SDGsとは』からでしょうか?」

「『SDGs』=『持続可能な開発目標』だよね?みんなが今後も地球で暮らし続けていけるように、環境問題とか貧困とか不平等とか、その障害になる課題を解決していきましょうっていう。」
「そうですね。その課題解決のために2015年の国連で17の目標が決められました。」
「①貧困②飢餓③健康と福祉④教育⑤ジェンダー平等⑥水とトイレ⑦エネルギー⑧働きがいと経済成長⑨産業と技術革新の基盤づくり⑩人や国の不平等⑪住み続けられる街づくり⑫つくる責任つかう責任⑬気候変動⑭海の豊かさ⑮陸の豊かさ⑯平和と公正⑰パートナーシップ、に関する目標だね。その目標を達成するための169の具体的な目標も決められていて、2030年が達成期限とされている。」
「そうですね。ちなみに『持続可能な開発報告書2022』では、日本は④⑨⑯は達成しているとされていますが、その他は未達で、特に⑤⑫⑬⑭⑮⑰では重大な課題が残っているとされています。」
「まだまだってことか。」

「で、製紙とSDGsの関わりはというと」
「日本製紙連合会が2021年3月に発表した『Towards2030 SDGs目標に対するワーキンググループ検討結果』という報告書によれば、2020年7月から2021年3月にかけて、19の製紙メーカーが参加した「SDGsワーキンググループ」で、紙パルプ業界の重要課題とSDGsの関わりの整理や、各社の取り組みに関するアンケート、その取りまとめなどが行われています。そのうえで、紙パルプ業界が今でも実施していること、今後取り組みを深化していくことが、8つのSDGs目標に貢献していて、今後、より貢献していける目標であると分析されています。」

紙パルプ業界の取り組み 該当するSDGs目標
揮発性有機加工物(VOC)の排出抑制や大気、水質規制の管理強化など。 「③すべての人に健康と福祉を」
「⑪住み続けられるまちづくりを」に貢献。
「死亡災害ゼロ」に向け具体的な施策を実践。 「③すべての人に健康と福祉を」
「⑧働きがいも経済成長も」に貢献。
「2050年までの温室効果ガス排出ゼロ」にチャレンジし、関連技術の研究や導入の検討などを実施。 「⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
「⑨産業と技術革新の基盤をつくろう」
「⑬気候変動に具体的な対策を」に貢献。
古紙利用率目標65%を2025年度までに達成することで高度なリサイクルシステム社会維持に貢献。 「⑨産業と技術革新の基盤をつくろう」
「⑪住み続けられるまちづくりを」
「⑫つくる責任つかう責任」に貢献。
違法伐採や不法伐採、不法輸入木材や木製品の不使用を徹底。 「⑫つくる責任つかう責任」
「⑮陸の豊かさも守ろう」に貢献。

(※『Towards2030 SDGs目標に対するワーキンググループ検討結果 報告書』より一部抜粋、華陽紙業にて編集)


「製紙業界にとって、自分たちの取り組みで社会貢献出来て、社会からも期待されている目標が③⑦⑧⑨⑪⑫⑬⑮だってことだね。」

「大前提として、私たちは『紙パルプ産業は資源循環型産業だ』と知っていますが、それは伝わっていますか?」
「うーん・・・今まで原料の話とか燃料の話とかをしてるから、伝わっていると思いたいけど・・・」
「まだ不十分かもしれないということですね。それも絡めて姪御さんに話をしてはどうでしょうか。」
「・・・『それは知ってる』とか『叔父ちゃん、くどい』とか、また言われたりしないかな・・・」
「・・・『また』・・・?・・・・・・」

※文中、敬称略