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華陽ニュース

不定期配信 マウスちゃんとメモリ主任のIT1年生32

情報の重要性が増す昨今、弊社では情報セキュリティについて、その意義や情報を共有する取り組みを続けています。
担当チームが社内向けにまとめた資料などを基に、軽い読み物を不定期でお届けできればと思いますので、ご笑覧頂ければ幸いでございます。

 席に戻ってきたイーさんの様子に不審を覚えたマウスちゃん。「あれ?なんかチョコの匂いしませんか?」と鎌をかけると、イーさんの様子がさらにおかしくなります。
「やっぱり・・・お菓子食べちゃったんですね、イーさん。」
「何で分かるの?!」
「分かりますよ・・・『健康診断の結果がひどい!僕がお菓子食べそうになったら止めてね!』ってイーさんに言われたの、昨日だったと思うんですけど?」
「うう・・・ごめんなさい・・・」
「まだありますよね。出して下さい。」
「うう・・・なんでそれまで分かるの・・・」
 2人のやり取りに営業部の数人がうつむいて肩を震わせる中、
「マウスさんは鋭いですね。私にもその能力が欲しいところです。」
 2人に声がかかりました。

「メモリ主任!・・・え?私の能力ですか?」
「はい。マウスさんの鋭さがあれば、情報漏洩に備えていなくても兆しにすぐに気づいて対処できそうです。」
「いやいや!そんな超能力みたいなものじゃないですよ!」
「そうですか?いずれにせよ、私にはそのような能力はないので、地道に備えるしかないのですが。」
「地道に備えるっていうと・・・」
「そうですね。以前、マウスさんと『不正のトライアングル』についてお話したのは覚えておられますか?」
「えっと・・・不正の実行が可能な『機会』があって、不正を行う『動機』があって、不正行為を行う自分を『正当化』できれば不正行為は実行される、っていう考え方でしたっけ?」
「正解です。その『不正のトライアングル』に基づいて犯罪が発生するのを防ぐ考え方のひとつに『状況的犯罪予防論』というものがあるのですよ。」
「つまり・・・『機会』と『動機』と『正当化』を事前に潰してしまうということですか?」
「その通りです。

・物理的に不正を実行しにくい状況をつくる
・不正行為を実行すると見つかる状況をつくる
・不正行為を行っても割に合わない状況をつくる
・不正行為をしようという気にさせない状況をつくる
・言い訳を許さない状況をつくる

という5つの観点から不正行為に至る『機会』『動機』『正当化』を無くして犯罪の発生を予防するという考え方ですね。」

「情報を守るということだと、具体的にはどういった対策がそれに当てはまるんですか?」
「例えば、『ある特定の情報には決まった場所からしかアクセスできない』という設定にしておけば、『物理的に不正を実行しにくい状況』をつくることができますし、アクセスログのチェックを定期的に行えば『不正行為を行うと見つかる』という状況をつくることができます。また、ログのチェックをしていますよ、ということを周知することで、『不正行為をしようという気にさせない』状況をつくることができますね。」
「あ、じゃあ、総務の方から、情報漏洩の具体的な話が定期的に情報共有されるのは、『割に合わない』と思わせる状況をつくっているんですね。」
「それも理由のひとつではありますね。また、どんな行為が情報漏洩で、それを行えばどんなリスクがあるかを周知しておけば、『知らなかったから、という言い訳を許さない』状況をつくることもできます。」

 そう言った後、イーさんに微笑みかけるメモリ主任に、イーさんだけでなくマウスちゃんもびくりと肩を震わせます。
「イーさんの今回の課題解決のためにも、状況的予防論が使えると思いますよ。例えば、イーさんが間食を控えているという話を全社的に広めて、マウスさん以外の方でも見かけたら注意できるようにするとか、次の健康診断で数値が悪化していたら罰則を設けるなど。レシートを提出して頂いて、買った物を明らかにするのも有効かもしれませんね。」
 イーさんだけでなく、営業部全員の顔から血の気が引いていくなか、メモリ主任は軽く目を伏せます。
「ですが、家族でもない私たちがそこまでするのは行き過ぎというものですよね。すみません、イーさん。・・・総務としても仕事仲間としても、イーさんのお体が心配だったものですから。」
「そんな・・・メモリ主任がそこまで僕のことを心配して下さってたなんて・・・!・・・僕、やっぱり頑張ります!」
 早速他の部の皆さんにもお願いしてきます、と走っていくイーさんの背中を見ながら、メモリ主任が「皆さんがイーさんのようなら、総務の心配事も減るのですが」とつぶやきます。
 それ、ホメてませんよね、チョロいって聞こえるのは私だけですか?と思いつつも、メモリ主任の『心配』が自分の方に向くのを防ぐため、口をつぐんで仕事に戻る営業部一同なのでした。