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ニューノーマルにこの一品44 気候変動対応⑦特種東海製紙

【ニューノーマルにこの一品】

 「ニューノーマル」という言葉は新型コロナウイルス下での生活や仕事の新しい様式を表す言葉として使われていますが、近年、私たちの生活や考え方に影響を与え、変えてきたものには、海洋汚染の深刻化による脱プラの動きや、SDGs、ESG、ダイバーシティ等、さまざまなものがあります。
 その、様々なもので形作られる「ニューノーマル」に、紙で貢献できる製品とは、の観点からの取組みをご紹介いたします。

44 気候変動対応⑦特種東海製紙

 長野県・山梨県との県境にほど近い静岡県井川地区に井川社有林を有する特種東海製紙。南アルプス国立公園や南アルプスユネスコエコパークを含む同地の環境保全に長年取り組んでいる同社の、気候変動対策の一部をご紹介致します。

環境憲章 2010年に制定。
「地球に優しい企業活動」を基本とし、事業活動と環境との調和を図り、環境保護と企業の発展の両立に努める、を基本理念とし、資源の保護や有効活用、環境配慮製品の提案・提供、環境保全活動への積極的な協力、グループ社員の環境意識の高揚と継続的な環境活動の推進、といった4つの基本方針を定めている。
環境対策 2011年 三島工場サポートセンター内の冷房ついて、井戸水を冷媒に利用するシステムを導入。
使用電力を導入以前の空調システムと比べ10分の1程度に削減。
2012年 三島工場で10号バイオマスボイラーが稼働。稼働前の重油ボイラーと比較して
年間7,000キロリットルの重油の削減と二酸化炭素排出量年間2万トンの削減を実現。
現在はRPF専焼ボイラーとして運用。RPFは古紙と廃プラスチック由来の固形燃料。
2013年 三島工場に太陽光発電設備・風力発電設備を設置。工場敷地のスペースの有効活用と再生可能エネルギーによる環境負荷低減を両立。
2014~15年 赤松水力発電所の更新工事を実施。約16,000世帯分の年間使用電力量に相当する電力を発電。合わせて隣接する社宅跡地を公園に整備。
2019年 三島工場でガスエンジン発電機の運転を開始。二酸化炭素や窒素酸化物の量が少なく硫化酸化物のばいじんが発生しない天然ガスを燃料として使用し、
二酸化炭素排出量年間約7千トン削減を目標に運転管理。
井川社有林 概要 1895年に同社創業者のひとりの大倉喜八郎氏が購入した、静岡県の最北端に位置する約24,430haの社有林。1964年に南アルプス国立公園制定、2014年に社有林全域がユネスコエコパークに登録。
自然環境に恵まれた、国内では民間が所有する最も広い1団地の森林。
基本理念・方針 『自然を守り、自然を活かす』を井川社有林の基本理念とし、自然環境の保護を最優先に全山一体管理を行いながら、自然環境の恩恵を有効活用し、地元との連携を深め地区の発展にも寄与するという長期運営方針を掲げている。
事業展開 「観光事業と森林資源を活用した事業の推進」を活用方針とし、同社グループが建設した二軒小屋ロッヂ本館・新館の営業のほか、椹島の自然ふれあいセンターや静岡県・静岡市の登山小屋等の管理を受託、運営。
大成建設との
連携協定
2024年4月、同社、グループ会社の十山株式会社、大成建設の3社で7年間の連携協定を締結。井川社有林の自然環境を保全し、利用と保全の好循環を生み出す仕組みづくりとして
・植生調査
・防鹿柵の設置
・登山者など観光客と連携したモニタリングデータの蓄積
・観光資源として活かすための社有林の自然の魅力の再発掘
・環境負荷を最小限にする滞在施設の検討
などで協力していく。

 今後リニア関連で開発が進むなど様々な変化が予想されている南アルプス地域ですが、同社の目指す「環境保護と企業の発展の両立」への活動にますます注目が集まりそうです。 

※上記は2024年7月23日時点で公表されている同社サイトのサステナビリティ関連ページ等を参考に華陽紙業にて抜粋・編集しており、その後新たに発表・実施された対策を含んでいない場合があります。

※文章中、敬称略