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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 91 見積りのお話②

【初めてこの項目をご覧になる方へ】
 この【紙のソムリエ】は、主に印刷会社の新入社員・若手社員の皆様に、気軽な読み物を通して、規格や用語など紙に関する基礎知識をお伝えすることを目的として、華陽紙業にて編集しております。
 紙の勉強中のシートくんと教育係のロール先輩、後輩のコマキさん、総務のパレット先輩などの紙に関するやり取りを気軽にお楽しみ頂ければ幸いでございます。

 前回は紙のよくある単価について教えてもらったコマキさん。見積間違いを引きずって落ち込むシートくんを励まそうと、さらに質問してみます。
「シート先輩。オフリンの場合はフォーム用紙とは計算方法が違うと仰っていましたよね。それを教えて頂けますか?」
「うん。全部がそうというわけじゃないけど、㎡単価やm単価が使われることも多いフォーム用紙に対して、オフリン用紙はキロ単価を使う場合が多いんだ。重量を計算して掛ける、っていうのは同じなんだけど、オフリンには『流れ』っていう特有のサイズがあるから、それを気をつけないといけないんだよ。」


「こういう巻取があったとして」
「先輩・・・絵が・・・・・・」
「・・・そこはおいといて。で、幅はフォームもオフリンも同じ。紙を引き出す短辺のサイズ。」
「フォームだと267とか292とか、インチに応じたサイズになるよって仰っていた部分ですね。」
「そう。フォームとオフリンに違いがあるのは長さの表し方。フォームの場合は単純で、幅があって、あとは長さがあるだけ。2,000mとか4,000mとか、何m巻いてあるかで表すんだ。これを『巻m数(まきめーとるすう)』って言うんだけどね。」

フォーム用紙のサイズ=幅(mm)X長さ(m)    例:267mmX4,000m 等

「オフリンの場合は、この長さをちょうど平判1枚分のサイズで区切ったところまでを『流れ』っていうんだ。例えば幅が765mmなら『流れ』は1085mm、とかね。」
「B判1枚分ですね。」
「そう。で、それが1万枚、平判で言うと10R分つながって1本になってるよ、っていう表し方をする。この、何R分、っていう部分を『入数(いりすう)』って言うんだよ。」

オフリン用紙のサイズ=幅(mm)X流れ(mm)X入数(R)
幅が765mm、流れが1085mm、12R分つながって1本になっている巻取は、765X(1085)X12R、という書き方で表す。

「ななろくごの、ひとまるはちごぉながれの、じゅうにれんまき、って呼んだりする。」
「1本=B全判サイズの紙が12R分、ということですね。」
「そう。ちなみにこの場合、紙の目は幅に垂直なんだ。」
「765X1085で、目は、765に垂直・・・ということは、1085に平行。つまり、B判T目の紙が12R分、ということになります。」
「そう。だから、こういう巻取を『B/T巻(びーたてまき)』って呼ぶんだよ。」
「たてまき、があるということは、よこまき、もあるということですか?」
「さすがコマキさん。例えば、幅が880mm、流れが625mmなら?」
「『A/Y巻(えーよこまき)』ということですね。」

「ただ、この流れがね、必ずしも平判とは一致しない、っていうところが厄介なんだよね。」
「一致しない、ですか?」
「例えば日本製紙さんのオーロラコート。規格の一部をみてみると、

寸法(カッコ内は流れ)
平判 A判 625X880
巻取 B巻 765X(1100)
765X(1085)※127.9g/㎡のみ
A巻 880X(1100)
880X(1085)※127.9g/㎡のみ

(日本製紙様のサイトより華陽紙業にて抜粋)

1100流れはオフリンの規格ではよくある流れなんだ。平判にはないけどね。」
「B判はともかく、A判の場合は、流れが625か1100かで、総数がかなり変わりますよね。」
「単純に考えて、仮に、880幅、入数が10Rで、流れが625と1100だとすると、

625流れ 880X625で平判と一緒なので、入数が10Rだとすると、平判10R分。
1100流れ 1100X10R/625=17,600 なので、平判換算すると17.6R分。

 流れが1100の場合は、625の場合より入数が少ない規格が多いけど、とにかくオフリン用紙を手配するときは、流れを必ず確認して計算しないと、必要本数を間違えることになるんだよね。」
「上の例の場合だと、必要枚数が30Rだった場合、625流れなら3本必要ですけど、1100流れなら2本で済む、ということですね。」
「デザインとか面付とかあるから、そんなに単純にはいかないけどね。」

「重量や価格を計算するときにも、流れが重要になってきそうですね。」
「そうだね。例えば、

米坪104.7g/㎡、880X(1100)X8R、キロ単価200円 の場合

とすると、
まず連量は

104.7X0.88X1.1X1000/1000=101.3496。
連量計算は小数点第1位を二捨三入七捨八入だから、101.5kg

となる。で、1本分の重量は、

連量101.5kg、入数8R だから、101.5X8で812kg

キロ単価200円だから、1本分の価格は、

200X812=162,400円。

になる。もし、同じ条件で、流れだけ625だとすると?」
「104.7X0.88X0.625を小数点第1位で処理して57.5kg。
 57.5X8で、1本あたり重量は460kg。
 キロ200円だから200X460で92,000円になります。」
「あくまで仮定の話だけど、流れが違うだけで約7万円の差が出ることになるね。」

「流れって銘柄で決まっているから、ベテランの方なら記憶されている場合が多いんだよね。Aっていう商品なら625、同じ微塗工でもBっていう商品なら1100っていう風に。だから、ベテランさんは流れを省略して商談されることも多いけど、それにつられないで、覚えていなかったり、自信がない場合は、必ず先輩や紙屋さんに聞くようにした方が良いよ。」
「確認が大切ということですね。」
 うなずくコマキさんですが、
「確認・・・そうだよ・・・確認が大切、なんて、一番の基本なのに・・・・・・」
 また失敗を思い出したらしいシートくんを前に、困惑を隠せないコマキさんなのでした。