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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話35 紙走る?

「おはようございます、シート先輩。すごい汗ですね。」
「おはよう、コマキさん・・・寝坊して走ってきて・・・遅刻するかと思った・・・」
「間に合って良かったですね。」
「こういう時は車が欲しくなるんだよね・・・」
「車通勤で寝坊する方が危ないような気がしますが・・・そう言えばこのところ、紙業界でも車関係のニュースをよく見かけるようになりましたね。」
「セルロースナノファイバーを車の部品なんかに使う話だよね。でもコマキさん、紙と車の関わりって、それだけじゃないって知ってる?」

「私が知っているのは、先輩が仰った、車部品などにCNFを使う話だけですね。」

CNF セルロースナノファイバー。木質繊維をナノのレベルまで細かくした素材。軽くて丈夫、変形に強い、高い透明度や粘度など、様々な特長を生かした用途開発が進んでいる。
樹脂との複合材料が車の強度を保った軽量化に活用できるとして、二酸化炭素排出量削減など温暖化対策への貢献が期待されている。
木からつくる
自然なクルマ
環境省が次世代素材のCNFを用いて軽量化を実現する車=ナノセルロースヴィークル(NCV)プロジェクトの成果のひとつとして、東京モーターショー2019に出展したもの。王子HDはCNF複合の樹脂ガラスに技術提供、日本製紙は同社のCNF強化樹脂をサンプル提供した。
レースへの参加 大王製紙がCNF事業化への取り組みとしてCNF成形体やCNF強化樹脂などをボンネット、ドア、ドアミラーなどに提供してきた電気自動車が米国レースに参戦。2022年6月、2019年以来3年ぶり2回目の参戦で、改造無制限クラスで12チーム中9位の結果で完走。使用した電気自動車の、CNFに置き換えた部分では51%の軽量化に貢献。

「他にも何か、車に関わる部分があるのですか?」
「実は燃料にもセルロースが使える可能性があるんだよ。」
「燃料?」
「セルロースを分解するとグルコース、つまりブドウ糖になるんだけど、これをエタノールに加工して燃料にできないかって研究が進んでるんだ。これまでもバイオエタノール自体を燃料にした自動車はあるし、それで電池を動かして動力にする燃料電池車も開発されてるんだけど、元の植物がサトウキビやトウモロコシで、食糧と競合するのが課題のひとつだった。セルロースからバイオエタノールを得るためにはいろいろな課題があるんだけど、実用化につながるんじゃないかって期待されるような研究例も最近報告されているんだ。」

「紙がクルマになるだけではなくて、紙がクルマを走らせるかもしれないのですね。」
「燃料電池車自体の置かれている状況を考えても、あくまで可能性としては、って話だけどね。」
「今後の研究開発に注目、というところでしょうか。」
「そうだね。でもさ、紙でできてて、紙を燃料にして走ってるなら、それはもう、紙が走ってるって言っても過言ではないよね。」
「・・・いえ、いろいろ言い過ぎだと思います・・・・・・」