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華陽ニュース
紙の市況(2022.10)詳細 10月10日更新分
【紙に関する市況/状況】
1.日本製紙 「npi抗ウイルス紙」の効果について発表 |
日本製紙は10月4日、「npi抗ウイルス紙」について、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果があることを確認したと発表しました。公式サイトの発表によると、
調査機関 | 京都府立医科大学との共同研究にて確認 |
研究内容 | ともに186.1g/㎡の一般上質紙とnpi抗ウイルス紙、それぞれの表面に調整ウイルス液を塗布し、新型コロナウイルスの生存時間を評価。 |
確認内容 | npi抗ウイルス紙の紙表面において、一般上質紙と比べて、ウイルスの生存時間が大幅に短縮されることを確認。 |
「npi抗ウイルス紙」は
・2021年12月にSIAA抗ウイルス加工認証を取得
・通常の印刷用紙と同様に印刷・加工が可能(全ての印刷・加工方式で抗ウイルス性能を保証するものではありません)
・ランチョンマット、紙ファイル、ノート、マスクケース、名刺等に使用可能
であると、同社は改めて特長をアピールしています。
2.日経42種9月末値 「紙・板紙」は前月比上昇 |
10月1日付の日本経済新聞紙上にて、景気動向に敏感な素材や燃料などの企業間取引価格を基に1970年を100として指数化した、日経商品指数42種の9月末値が発表されました。
・欧米や中国の景気減速・後退観測で原油や非鉄、鋼材などの国際市況が軟化
・中国のロックダウンの影響で経済活動が停滞し、樹脂などの需要が減退
といった海外市況を背景に、石油や非鉄、化学の指数が下落し、42種全体の指数も2か月ぶりに前月比下落に転じています。
他の品種の市況が頭打ち感を強めているのに対し、紙・板紙の9月末値は前月比7.2%と高い上昇率となっており、値上げの浸透がなお続いていると記事では分析しています。
3.大王製紙 製造残さの再利用システムを立ち上げ |
大王製紙は10月3日、お米のもみ殻やコーヒー粕など、原材料から必要な成分を取得した後に残る製造残さを紙の原料として再利用するシステム「Rems(リムス)」を立ち上げたと発表しました。資源の有効活用を今まで以上に推進し、SDGsの目標に貢献するとともに時事く可能な循環型社会の形成に取り組んでいくと、同社は新システム始動の目的について説明しています。
4.日本製紙 秋田工場の生産体制について検討 |
9月30日付の日本経済新聞紙上にて、日本製紙が秋田工場の抄紙機1台の廃止を検討し、同工場での洋紙の生産から撤退する意向であると報じられました。これを受け同日、日本製紙は「秋田工場の生産体制の検討状況について」と題するニュースリリースを公式サイトに掲載し、2023年度をめどとする秋田工場のN1マシンの停機と5号ボイラーの停止について具体的な検討に入ったと明らかにしています。
同社はこの検討の目的を、グラフィック系用紙事業の生産体制再編成、温暖化ガス排出量と燃料コストの削減を目的とした石炭使用量の極小化であるとしており、今後もグラフィック系用紙の生産体制については引き続き各種施策の検討を実施すると表明しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.王子・レンゴー パッケージング関連で受賞を発表 |
王子ホールディングスとレンゴーが相次いで、両社が関わった製品包装が各種賞を受賞したと発表しました。両社の公式サイトによると、
王子HD | 日本パッケージデザイン協会が主催する「日本パッケージデザイン大賞2023」において、『お米用段ボールケース』が輸送ケース部門の銅賞を受賞、ほか4点が各部門で入選。同省はパッケージデザインのプロによる、作品のデザイン性や創造性を競う競技会。 |
レンゴー | 日本包装技術協会主催の「2022日本パッケージングコンテスト」において、7部門10作品が入賞。ジャパンスター賞(経済産業省製造産業局長賞)やジャパンスター賞(公益財団法人共用品推進機構理事長賞)など。 |
レンゴーの入賞作品は10月12日から開催される「TOKYO PACK 2022」にて展示されると同社は発表しています。
【その他の市況/状況】
1.北米産パルプが下落 |
10月4日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの9月積み日本向け輸出価格が前月比で下落したと報じられています。下落に転じるのは2021年11月以来で10か月ぶりとのこと。中国向け需要の低迷が背景とのことですが、円安の影響もあって価格自体はなお高い水準が続いており、この程度の下げ幅ではコスト減にはつながらないとの製紙会社の声も記事では伝えられています。
2.古紙在庫 低水準続く |
10月4日付の日本経済新聞紙上にて、古紙の8月末在庫が前年比5%減少となったと報じられています。9か月連続で前年比マイナスが続いており、段ボール古紙では秋からの段ボール原紙の値上げを前にした駆け込み需要の影響で適正水準を大きく下回る在庫率となったと記事では伝えています。
【印刷・製品関連】
1.絵本人気高まりの報道 |
9月29日付の日本経済新聞紙上にて、出版不況のなかでも絵本の人気が高まり、単価が上昇していると報じられています。記事によると、
市場・平均単価の伸び | 出版科学研究所の調べによると、2021年の絵本の推定販売金額は2011年比18%上昇。新刊の平均単価は同9%上昇。 |
背景 | ・緻密な筆致や幻想的な画風など、芸術性の高い絵本が増加。贈り物やインテリアとしての需要も。 ・世相を反映した多様な題材を扱う作品の増加などで、大人の読者が増加。 |
作品の多様化で大人に読者層が拡大し、消費拡大につながっていると記事では分析しています。
※文中敬称略
※文章は2022年10月6日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。