【紙のソムリエ】番外編シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話⑨紙袋はいかが？

2020.08.07

「お帰りなさい、シート先輩・・・て、え？大丈夫ですか？」
「助けて、コマキさん・・・お弁当が落ちちゃう・・・」
「とりあえずお弁当をお持ちしますから・・・はい、持ちました。手を放しても大丈夫ですよ。」
「ありがとう、助かった・・・落とすかと思った・・・」
「袋に入ってないお弁当を素手で持って、営業カバンと資料カバンを持ったらそうなりますよ。一体どうしてこんなことに？」
「コンビニでお昼ご飯買って、お弁当温めてもらってから、エコバッグ持ってないことに気づいたんだよね。事務所までくらいなら大丈夫かなと思って素手で持ったんだけど、お弁当が思いのほか熱くて・・・」
「レジ袋に入れてもらえば良かったのでは？」
「有料になったでしょ？レジ袋って、お弁当食べた後にそのごみを入れて捨てちゃうことが多いけど、その度に３円とか５円とかごみ箱に捨ててるのと同じだな、と思ったらもったいなくて。」
「確かに。ではエコバッグを持ち歩くしかないですね。」
「エコバッグかあ・・・お弁当が水平に入る、マチの広いのってなかなか見かけないんだよね・・・」
「そうですか？百均にも売ってるみたいですよ？でも、使いづらいようなら、紙の手提げ袋はいかがですか？」

「手提げ袋？」
「百貨店なんかで買い物をすると、ちょっと前までマチの広い手提げ付きの紙袋をもらえることがありましたよね。そういうものを再利用するのはいかがでしょう？紙だから折り畳めますし。衛生面が気になるなら、自分で作ってみるのも良いかもしれませんね。」
「作るの？」
「はい。おうちにある包装紙などを再利用するのも良いでしょうし、原紙が欲しければ当社にもありますし。」
「包装用紙か・・・ちなみにコマキさん、包装用紙の分類と特徴は覚えてる？」
「大きく分けると未晒か晒かに分けられますよね。」

未晒包装紙	漂白していない、未晒クラフトパルプを使用する包装用紙。紙の色は茶色で、印刷の美しさなどの装飾性はあまり求められないが、重量物を包むのにも耐えられる丈夫さが求められる場合が多い。
晒包装紙	漂白した晒化学パルプを使用する包装紙。印刷や箔押しなど、丈夫さと同時に装飾性も求められる場合が多い。

「この未晒包装紙と晒包装紙の中が、用途や特徴によってもう少し詳しく分類されています。」

未晒包装紙
重袋用両更クラフト紙	セメントや米、農産物など、重量物を入れる袋などに用いられる包装用紙。強度が重視される。
一般両更クラフト紙	茶色い袋や包装紙、粘着テープの原紙などに使われる包装用紙。単に『両更クラフト』と呼ばれる時はこれを指す場合が多い。
特殊両更クラフト紙	一般両更クラフト紙よりやや明るい茶色の包装紙。『半晒クラフト』と呼ばれることが多い。封筒や袋などの原紙として使われる。
その他未晒包装紙	果実袋や封筒などに使われる『筋入クラフト』や片面に艶がある『片艶クラフト紙』などがある。
晒包装紙
純白ロール紙	片面に光沢がある白くて丈夫な包装用紙。包装紙や袋のほか、日めくりカレンダーの原紙などにも使われる。
両更晒クラフト紙	艶のない、白い包装用紙。包装紙や袋、封筒などの原紙に使われる。
片艶晒クラフト紙	片面に艶のある、白い包装用紙。包装紙や手提げ袋などに使われる。純白ロールより紙力を上げる配合となっている。
その他晒包装紙	包装のほか伝票など事務用途にも使われる『薄口模造紙』や、色クラフト紙などがある。

「包装用紙は強度が必要だから、印刷・情報用紙と違って針葉樹パルプが使われていることが多いそうですね。」
「広葉樹パルプが配合されているものもあるけどね。コマキさんがイメージしている百貨店の手提げ袋は、片艶晒クラフトが使われている、高級品や化粧品なんかの袋かな。」
「艶のない両更晒クラフトが使われているものもありますし、半晒クラフトが使われた茶色い袋もありますね。」

「紙製で、華やかな印刷で、小さく折り畳める、っていう製品があるのはご存じですか？そういうものを持ち歩かれるのもいいかもしれませんよ。」
「そういう製品ならノベルティにも良いかもしれないね。コストの問題はあるけど、紙製なら、２、３回使って捨てることになっても海洋汚染にはつながらないし。」
「ノベルティのエコバッグだと、お客様の囲い込みにも良いかもしれませんね。」
「あ、そうか。『これに入れて下さい』って見せるときがあるから。」
「他社だと使いづらい、というのはあるかもしれません。」
「良いね、お弁当用紙袋（手提げ付き）！お弁当を素手で持って熱い、っていうこともなくなるし。」
「・・・エコバッグがないからって素手で熱いお弁当を持って帰る人は少ないとは思いますが・・・」
「・・・・・・」