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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話⑰本文用紙

「コマキさん、これお願いして良いかな?」
「はい、大丈夫です。お客様への見積書の作成ですね。・・・本文用紙を3種類ご提案するのですね。」
「そう。いろいろ提案してって言われたから、3種類くらいはね。」
「私、本文用紙と言えば書籍用紙かと思っていました。」
「うーん、それはいろいろかな。何の本文用紙かってこともあるからね。」

「何の本文用紙か、ですか?」
「冊子の中身の用紙、には違いないけど、冊子にもいろいろあるでしょ?書籍なのか、報告書なのか、カタログなのか。文字が多いのか、写真を際立たせたいのか。こだわりか、価格か。本文用紙として一般的に使われるものだけでも

用紙 説明・用途等
書籍用紙 書籍の本文用として開発された紙。クリーム系統の色味が多い。
嵩高紙 従来の用紙より低密度で厚みがある用紙。冊子を軽くしたり、ページ数が少なくても厚みを出したりすることができる。
マットコート紙 光沢を抑えた塗工紙。グロスより厚みがあり、不透明度も高く、光沢を抑えてある分、文字などは読みやすい。
グロスコート紙 光沢のある塗工紙。画像部分の再現性が高い。
アート紙 グロスコート以上の光沢で、豪華さや美麗さなどが求められる冊子に用いられることが多い。
上質紙 論文や報告書など、文字が主体となるものに使用されることが多い。
中質紙・更紙 不透明度が高い。
ファンシーペーパー デザイン性が高く、特有の風合いが必要な冊子などに使用される。

なんかがすぐに挙がるけど、他にも、アートポストとか、板紙が使われることもあるよ。」
「印刷・出版用紙であれば何でも、という感じですね。」
「本文用紙に求められている特徴は

・印刷再現性
・裏抜けしない
・作業適性
・読みやすさ
・めくりやすさ
・品質の安定性

というところかな。それが満たされていれば、あとは、訴求ポイントとか価格とか、それぞれの冊子で重視される点によって選択が変わってくるよ。」

「あと、紙を調達する観点からいえば、調達しやすいかどうかも重要なポイントだと思うよ。」
「調達ですか?」
「出版社さんみたいに何十トン別注で、とかなら心配ないんだろうけど、一般的な印刷だと、数か月に一回、何R単位、っていうお仕事も多いよね。一般在庫が少ない製品を最初に選んでしまうと、調達に時間がかかる場合もあるし、廃判のリスクもある。似た紙がなくて初版と再版で用紙の色が違う、となってしまうと売れ行きに影響が出る場合もあるから、仕上がりや価格といった面のほかに、入手しやすいか、代替製品があるか、とかも最初に考えて提案した方が良いと思うよ。とはいえ、一番大切なのはお客様が満足して下さるかどうかだから、どんな紙に決まってもどう安定供給するかを考えるのが仕事なんだけどね。」

「そういった様々な要素を考えたうえでの、3種類の提案なのですね。」
「価格重視か、印刷再現性か、作業適性か。それぞれのポイントで考えて、選び抜いたつもりだよ。」
「そう言えば、3種類の価格を提示されると、真ん中のものを選びやすいと言いますよね。先輩のおすすめはどれなのですか?」
「・・・真ん中の。」