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紙の市況(2021.6)詳細 6月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.日経42種5月末 「紙・板紙」前月比横ばい

 6月1日付の日本経済新聞紙上にて、日経商品指数42種の5月末値が約13年ぶりの高水準となったと報じられています。日経商品指数42種は素材等の企業間取引価格を基に1970年を100として指数化したもので、5月末値は2008年7月以来の200ポイント超え、前月比で2.4%、前年同月比で24.2%の上昇で、非鉄資材や鋼材、木材などの国際的な価格上昇を反映しているのが上昇要因と記事では分析されています。
 紙・パルプは151.187と前月から横ばいの指数となっていますが、昨年比では2.7%上昇した値を保っています。


2.日本製紙 バイオマスマテリアル事業推進本部を新設

 日本製紙は6月1日、6月29日付でバイオマスマテリアル事業推進本部を新設すると発表しました。公式サイトの発表によると、

内容 6月29日付でバイオマスマテリアル事業推進本部を新設。事業転換推進室、バイオマスマテリアル販売推進部、バイオマスマテリアル・コミュニケーションセンターの3部で構成。
担当事業 セルロースナノファイバーをはじめとする新素材製品について、新市場開拓や外部機関との連携強化、既存商流を活用した新規事業の立ち上げの迅速化等。

 同社は2030年の目指すべき姿等を明らかにした「2030ビジョン」とその実行計画である「中期経営計画2025」を策定・作成済みで、マーケットに柔軟・迅速に対応できる体制を構築し、計画の必達とビジョンの実現に向けた取り組みを加速していくと表明しています。


3.日本製紙 岩沼工場の全抄紙機の稼働が再開

 日本製紙は5月31日、2021年2月13日の福島県沖を震源とする地震の影響で稼働を一部停止していた岩沼工場の全抄紙機が5月30日、稼働を再開したと発表しました。3月に稼働を再開した3号抄紙機、4月に稼働を再開した1号抄紙機に続き、4号抄紙機が5月30日稼働を再開し、全ての抄紙機の再稼働を完了したと、経緯についても発表しています。


4.特種東海 食品容器用紙を新発売

 特種東海製紙は5月31日、食品容器用紙の新発売を発表しました。公式サイトの発表によると、

名称 TT‐BARRIER DELI
特長 食品に直接触れる用途に使用できる、機能性とデザイン性を兼ね備えた紙素材。
①食品の油分・水分を適度に吸って、サクサク食感を保つ「クリスピー」2色
②食品の油分・水分を保つ「ジューシー」2色
③バリア性を備え、色味も選べる6色のシリーズ
の3シリーズを用意。
規格 「クリスピー」2色、「ジューシー」2色、パール、シルバーの6アイテムは800㎜X1100㎜。
シャンパンゴールド、トマトゴールド、ピーチゴールド、フレッシュゴールドの4アイテムは790㎜X1100㎜。
厚さは全て#300。
1束=50枚。
全アイテム、耐水・耐油性、製函適性を備えており、「クリスピー」2色のみ、吸水・吸油性を備えている。
利用シーン ・食品テイクアウト用のボックスとして
・オードブルやローストチキン等、食品に触れるトレイとして
・タルトやスイーツなどの台紙として

 環境負荷低減のためパッケージを紙製にすることを考えている企業の方などに注目してほしいと、同社は公式サイトの発表で呼びかけています。


【板紙 国内の紙の市況/状況】

1.レンゴー 新物流倉庫を竣工

 レンゴーはは5月31日、かねて住友商事と共同で建設していた物流倉庫が同日、竣工したと発表しました。公式サイトの発表によると、

名称 レンゴー株式会社 淀川流通センター・中央研究所
場所 2018年3月末に閉鎖した、同社淀川工場の跡地。
全4階建てのうち、1階全体と2階の一部を同社が区分所有。1階に淀川流通センターを新設、1・2階の一部に中央研究所を移転。
稼働 今後、設備の設置工事などを行い、本年9月に稼働開始予定。

 淀川流通センターは約2万トンの板紙製品が収容可能で、倉庫管理システム・トラック誘導システム・自動リフトの導入で更なる物流の効率化を進め、同社グループ最大の物流拠点であると同時に、ホワイト物流も推進していくと同社は表明しています。


【その他の市況/状況】

1.三菱製紙 10枚入り三層不織布マスクを発売

 三菱製紙は6月7日、同日より三層不織布マスクの10枚入りの販売を開始したと発表しました。既に50枚箱入りのタイプを発売していましたが、コンパクトな10枚袋入りが欲しいとの要望に応えラインアップに追加したとしています。
 安定品質・安定供給に加え、長時間の着用に応える肌触りの良い不織布や太く柔らかな耳紐を採用している点は箱タイプと同様としており、袋タイプは同社の楽天市場店でも購入可能と発表しています。


2.古紙輸出先 ベトナムが上昇

 5月29日付の日本経済新聞紙上にて、古紙の輸出先としてベトナムが存在感を増していると報じられています。

・中国の古紙輸入全面禁止に伴い、ベトナムが最大の輸出先に。
・コロナ禍でベトナムでも電子商取引が活況。
・ベトナムは製造コストが安く、中国から多くの生産拠点が移動。衣料品や電子部品などのパッケージとして段ボールの需要が拡大。
・同社の段ボール原紙市場は年10%ペースで成長。

となっており、段ボール原紙工場の新増設も続いていることから古紙の需要が増加しているとのこと。
 ただ、同国でも環境規制の観点から、雑誌や雑紙などが混ざったミックス古紙については21年末に輸出を禁止することが決定されており、今後の動向について同国の古紙政策の行方に注目が集まっていると記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.使い捨てプラ製ストロー・スプーン等に削減義務

 6月5日付の日本経済新聞紙上にて、「プラスチック資源循環促進法」が4日、参院本会議で可決し、成立したと報じられています。プラスチック製品の製造、廃棄物回収、再資源化、と資源循環を一層促進するための法律で、これまで使い捨てのプラスチック製ストローやスプーンなどを無償で提供してきた飲食店や小売店などには、有料化や代替素材への転換などが義務付けられるとのこと。
 飲食店や小売店のなかには、既にプラスチック製品を見直す企業も出てきており、同記事や各社のサイトなどの情報によれば

すかいらーくHD ・ストローを必要とされるお客様には、トウモロコシ原料のストローを提供
・竹割りばしの包装をプラスチックから紙に変更
・テイクアウトや宅配用カトラリーをバイオマスプラスチックに変更
ANA 今年8月より、エコノミークラスの機内食主菜容器をバガス素材に順次変更。

等が既に実施中、あるいは実施が決定しているほか、コンビニ各社でも切り替えや検討が進んでいるとされています。
 製紙各社も近年、プラスチックに代わる紙素材の開発に注力しており、

王子HD 外部からの酸素や水蒸気などの侵入を防ぐ、紙製バリア素材「SILBIO BARRIER」等
日本製紙 ・内容物の劣化を防ぐ紙製バリア素材「シールドプラス」
・無菌充填豆腐の容器にも採用された、無菌常温容器「NS‐FUJIパック」 等
大王製紙 ・紙製ナイフやスプーンとして必要とされる剛性を持つ「エリプラペーパー」
・「エリプラペーパー」に耐水性・耐油性を持たせた「エリプラ+(プラス)」 等
特種東海製紙 紙の技術で高付加価値パッケージ用紙を提案する「TT‐PACKAGE」シリーズ

等、各社が様々なラインアップを用意して持続可能な社会の構築への貢献を目指しています。


※文中敬称略
※文章は2021年6月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。