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華陽ニュース

紙の市況(2021.10)詳細 10月10日更新分

【洋紙 国内の紙の市況/状況】

1.北越コーポ 新潟工場2号抄紙機停機を発表

 北越コーポレーションは9月28日、新潟工場の2号抄紙機を2022年6月をもって停機することを発表しました。国内需給バランスの適正化を図り、高効率操業とコストダウンで洋紙事業の競争力を強化するためと、停機の理由を説明しています。
 新潟工場2号抄紙機は書籍用紙や中質紙などの非塗工印刷用紙を抄造している年産42,000トンの抄紙機で、生産品種は他抄紙機に移行される予定ですが、該当品種のみならず他品種でも供給や在庫に影響を受けるものがあるとみられ、注意が必要です。


2.10~12月産業天気図 「紙・パルプ」は小雨続く

 9月27日付の日本経済新聞紙上にて、同社が主要30業種の2021年10~12月期の業況を天気図としてまとめた、10~12月産業景気予測が掲載されました。

紙・パルプ 「小雨」予測を継続。ワクチン接種の広がりからイベントや旅行需要の拡大への期待が高まり、チラシ需要が増える可能性。企業活動が回復しオフィス用紙が回復することにも期待。一方、政府はペーパーレス化をさらに進める機運で、逆風となる可能性も。
広告 「薄日」予測。年末商戦に向け企業の広告宣伝に拡大の機運。マス広告は回復傾向で、インターネット広告も引き続き市場をけん引する。新型コロナウイルス感染拡大による屋外大型イベントへの影響が懸念材料。
全体 新型コロナウイルスのワクチン接種者を対象にした行動制限の緩和に期待が集まり、「旅行・ホテル」「外食」等が改善の予測。一方、東南アジアでの感染拡大で部品の調達網に乱れが生じている「自動車」では、半導体不足の影響もあり減産が相次ぎ、影響を受ける「化学・繊維」は「薄日」から「曇り」へと悪化すると予測されている。

 政府が検討する今秋の行動制限の緩和に期待する非製造業は改善、部品調達の停滞や半導体不足の影響を受ける製造業は悪化、とコロナ禍が未だ色濃く影響を与えている様子がうかがわれます。


3.日経42種9月末 「紙・板紙」前月比上昇

 企業間取引価格を基に1970年を100として指数化した日経商品指数42種の9月末値が、10月1日付の日本経済新聞紙上に掲載されました。42種全体の数字は前年同月比25.2%上昇、原料高や円安の影響で、鋼材、石油、非鉄の価格が上昇し、全体の指数を押し上げたと報じられています。
 紙・板紙は前月比2.2%上昇、前年同月比では7.5%の上昇とのこと。中国での段ボール原紙需要の増加から原料である段ボール古紙の価格が上昇しており、指数に影響を与えているものと思われます。


4.「PaPiPress」が紙コップ蓋に採用

 王子ホールディングスは10月4日、同社のパルプモールド製品「PaPiPress」が2021年6月よりANAグループの国際線エコノミークラスの機内で提供される紙コップの蓋に採用されたと発表しました。ANAグループが推進する環境負荷低減のための「環境配慮型素材への変更」方針に合致するものとして、紙素材の「PaPiPress」が高く評価されたとのこと。
 プラスチック代替素材への関心が高まるなか、同社は「PaPiPress」「シルビオバリア」等環境配慮型製品の開発を積極的に行い、持続可能な社会の実現に貢献していくと表明しています。


5.日本と三菱商事のグループ会社で合弁会社を設立

 日本製紙は10月4日、同社のグループ会社と三菱商事のグループ会社が新合弁会社を設立することで合意したと発表しました。公式サイトの発表によると、

概要 日本紙通商株式会社(日本製紙グループ)と三菱商事パッケージング株式会社(三菱商事グループ)板紙事業及び担当組織を統合し、新会社を設立することで合意。
目的 紙代理店として商品開発力やきめ細かい対応力に強みを持つ日本紙通商と、商社として多様な調達・販売先を抱える三菱商事パッケージングが板紙事業を統合することで、川上・川下両方の強みを併せ持つオンリーワンの産業用紙流通企業を目指す。
設立年月日 2022年4月1日予定

 国内産業用紙市場は今後も安定的な需要が見込まれる一方、二酸化炭素排出量の削減やデジタル化など企業価値向上が不可欠として、今回の統合によりバリューチェーン最適化を実現し、ここではできなかったことにチャレンジしていくと、同社は統合の背景を説明しています。


【板紙 国外の紙の市況/状況】

1.王子 インドの段ボール製造販売会社の株式を取得

 王子ホールディングスは10月4日、インド北部の段ボール製造販売会社Empire Packages Private Limitedの発行済み株式の80%を取得したと発表しました。王子HDは既にインドに3か所の段ボール工場を有していますが、デリー以北地域に強い顧客基盤を持つEmpire社を買収することで、インドにおける段ボール事業のより一層の拡大を目指すと、株式取得の意図を説明しています。


【その他の市況/状況】

1.ENEOSのC重油 3四半期連続で上昇

 9月30日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが大口需要家と交渉していた7~9月期の産業用C重油の値上げが決着したと報じられています。原油価格の上昇や海外での低硫黄重油価格の上昇を反映したもので、製紙各社がボイラー燃料用として使う高硫黄C重油に関しては前四半期比9%の上昇で決着したと記事では伝えられています。


【印刷・製品関連】

1.2020年度企業広告費が下落

 9月29日付の日本経済新聞紙上にて、2020年度の企業の広告費が19年度比で13.2%減少したと報じられています。日経広告研究所の調べによるもので

調査対象 非上場の大手企業を含む3,285社の広告宣伝費を調査。新型コロナウイルスの影響で幅広い業種で広告宣伝費の減少が確認された。
業種 業種別で最も広告宣伝費が大きいサービスは19年度比2.4%の減少。2、3、4位の小売業、自動車、電気機器は減少幅が2桁となった。

 2ケタの減少は11年ぶりで、リーマン・ショックの影響を受けた2009年以来であると記事では伝えています。


※文中敬称略
※文章は2021年10月6日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。