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華陽ニュース
紙の市況(2022.2)詳細 2月20日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.製紙大手 第3四半期決算出揃う |
製紙大手各社の2022年3月期第3四半期(2021年4月1日~2021年12月31日)連結業績が2月14日までに出揃いました。各社が公式サイトに掲載した決算短信によると、
あわせて中越パルプ工業、特種東海製紙の2社は2022年3月期通期の業績予想の上方修正を発表しています。
原燃料価格の高騰や物流経費の上昇など、厳しい経営環境が今後も続くとしながらも、中越パルプは販売数量の増加に伴う工場稼働率の向上、特種東海は海外向け一部製品など特殊機能紙の想定を超える好調があったとし、また両社とも経費見直しやコスト低減が寄与したと上方修正の要因を説明しています。
2.大王製紙 『エリプラシリーズ』ブランドを立ち上げ |
大王製紙は2月2日、環境にやさしい「紙」の新ブランドとして『エリプラシリーズ』の立ち上げを発表しました。公式サイトの発表によると、
内容 | 脱プラ・減プラ商品として展開してきた既存製品を『エリプラシリーズ』として統一。地球環境に配慮した製品を用途別に展開することで、顧客に分かりやすく製品を選んでもらう狙い。 |
ラインアップ | 「プラスチック代替」カテゴリーとして、『FSエリプラペーパー』『FSエリプラ+(プラス)』『FSエリプラ+(プラス)ナチュラル』を、 「フィルム代替」カテゴリーとして『FSエリプラヒートシール』『FSエリプラヒートシールナチュラル』『FSエリプラヒートシールバイオ』『FSエリプラヒートシール+(プラス)』『FSエリプラヒートシールライト』『FSエリプラライト』『FSエリプラ耐水紙ラベル』 の10品種を用意。 |
環境性能 | 紙由来なため ・原料が再生産可能 ・カーボンニュートラル ・優れた生分解性 ・優れたリサイクル性 という環境優位性を有する。 |
同社は引き続き環境にやさしい商品の生産・販売を通じて、持続可能な社会へ貢献していくと表明しています。
【板紙 国内の紙の市況/状況】
1.日本製紙 オーストラリアに新工場の報道 |
2月9日付の日本経済新聞紙上にて、日本製紙が2023年6月にもオーストラリアに段ボールの新工場を建設する計画であると報じられています。飲料向けや通販が堅調な段ボール需要を取り込むためとしており、オセアニア地域で12か所目の工場になると記事では伝えらえれています。
【その他の市況/状況】
1.日本製紙 大竹市と古紙リサイクルシステム |
日本製紙は2月17日、大竹市との間で古紙リサイクルの循環型システムの構築について合意し、売買契約を締結したと発表しました。公式サイトの発表によると、
仕組み | ①家庭から出される段ボール・雑誌・新聞・雑がみ古紙を大竹市リサイクルセンターが回収 ②日本紙通商が譲り受けリサイクル向けに処理 ③日本製紙大竹工場・八代工場で段ボール原紙や新聞用紙などに製紙原料として活用 |
狙い | 地域住民とのネットワークを持つ行政と紙のリサイクル技術を持つ同社が協力することで、長期にわたる安定的な資源調達と、総合的な古紙リサイクルの循環型システムの構築を目指す。 |
時期 | 2022年4月から回収古紙を原料として利用する予定。 |
同社は今回の取り組みを、新たなリサイクルの輪を構築し、古紙リサイクルシステムの維持拡大につながるものと位置づけ、今後も持続可能な循環型社会の実現に向けて取り組んでいくと表明しています。
2.北米産パルプ価格が上昇 |
2月18日付の日本経済新聞紙上にて、北米産針葉樹さらしクラフトパルプの日本向け輸出価格が上昇したと報じられています。1月積み価格は前月積み比9%上昇しており、値上がりは9か月ぶりとのこと。
・昨年11月の西武の豪雨・洪水や年末の寒波などの影響で、カナダの物流の混乱が継続
・物流混乱により、パルプメーカーが受注を制限
・パルプ供給が減少するとみた投機筋の買いが膨らみ、上海市場のパルプ先物価格も上昇
などの背景があるとのことで、カナダからの出荷遅れは3月いっぱいまで継続するとの、あるパルプメーカーの見方も報じられています。
北米産パルプ価格の上昇は国内家庭紙メーカーの収益を圧迫するとして、記事は家庭紙の追加値上げの可能性に触れるメーカーの声も紹介しています。
【印刷・製品関連】
1.凸版印刷 電子レンジ対応の紙トレーを開発 |
凸版印刷は2月15日、高い密封性を有し電子レンジ対応が可能な紙製一次容器を開発したと発表しました。同社の公式サイトの発表によると、
名称 | 「ピタッと紙トレー」※同社登録商標 |
特長 | 食品用一次容器のトレー部分を紙化。 ・一般的なプラスチックトレーと比較してプラスチック使用量を約90%削減(同社算定)。 ・包材製造時に排出する二酸化炭素を約49%削減(同社算定)。 ・容器表面に印刷できるため、外装・外箱などの二次包装の省略が可能 ・紙素材に森林認証紙使用可能 ・高い密封性を有するため、液状や水分を多く含む加工食品やチルド食品にも使用可能 ・高いバリア性の付与も可能 ・耐熱性の付与で電子レンジ加熱可能 ・スタッキング可能な形状で製函納入に対応 ・専用のシールヘッドと組み合わせれば一般的なトレーシーラー活用可能で、導入時初期投資を抑制 |
用途 | MAP包装のチルド食品や電子レンジ対応の冷凍食品の一次容器 |
今後の展開 | 2月15日よりサンプル出荷開始。2023年春、本格販売開始予定。 |
同社は価値あるパッケージで社会に貢献する「TOPPAN S‐VALUE Packaging」を掲げており、その一つである、環境負荷の低減と循環型社会の実現につながる「ちきゅう」に価値ある「サステナブル バリュー パッケージ」の一環として「ピタッと紙トレー」を開発したと説明しています。
※「ピタッと紙トレー」「S‐VALUE」「サステナブル バリュー パッケージ」は凸版印刷の登録商標です。
※文中敬称略
※文章は2022年2月18日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。