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紙の市況(2023.2)詳細 2月10日更新分

【紙に関する市況/状況】

1.王子HD 第3四半期決算を発表

 王子ホールディングスは2月3日、2023年3月期第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表しました。サイトに掲載された決算短信によると、

 要因について同社は

プラス要因 ・コロナ禍で停滞していた経済活動の再開による需要の回復
・パルプ市況の上昇
・価格修正
・印刷用紙で輸入紙が減少し国内品に代替需要
・徳島県でバイオマス発電所が2022年12月に稼働
・段ボール原紙・段ボールが主に東南アジア・インドで好調な販売と値上げの浸透
・マレーシアで2021年10月に段ボール原紙の新マシンが稼働
・ブラジルで増強・増設した感熱紙設備が2022年1月に稼働
マイナス要因 ・原燃料価格高騰

等を挙げており、原燃料価格高騰の影響の大きさがうかがわれる分析となっています。


【板紙・パッケージに関する市況/状況】

1.レンゴー 第3四半期決算を発表

 レンゴーは2月7日、2023年3月期第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表しました。サイトに掲載された決算短信によると、

 要因について同社は

プラス要因 ・製品価格の改定
・連結子会社の増加
マイナス要因 ・原燃料価格の上昇

等を挙げており、板紙・紙加工関連事業や重包装関連事業などでは原燃料価格の高騰が大きく影響したものの、軟包装関連事業や海外関連事業では増収増益となったと報告しています。


2.パリ五輪でも段ボールベッド

 2月6日付の日本経済新聞紙上にて、2024年開催のパリ五輪・パラリンピックの選手村でも段ボールベッドが採用される運びとなりそうだと報じられています。同大会組織委員会とオフィシャルサポーター契約を結んだ寝具メーカーのエアウィーブが寄贈に向けた話し合いを始めているとのことで、気候変動への配慮を掲げるパリ大会の方針と合致したとのこと。段ボールはフランスで生産され、大会終了後はフランスで再利用される計画だと記事では伝えています。


【その他の市況/状況】

1.ENEOSが産業用C重油価格の値下げを表明

 2月1日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが高硫黄C重油の1~3月期価格を2022年10~12月期比で18%安くすると表明したと報じられています。高硫黄C重油は製紙メーカーのボイラー燃料などに使われるもので、原油価格の下落と足元の円高傾向が要因と記事では伝えられています。


2.北米産パルプの1月積みが横ばい

 2月7日付の日本経済新聞紙上にて、北米産パルプの1月積み日本向け輸出価格が12月積み比横ばいとなったと報じられています。中国のパルプ需要が依然低迷していることが影響と記事では伝えられていますが、春節が明ければ同国の需要を徐々に回復するのではとの見方も紹介されており、今後需給が締まる可能性についても記事では言及されています。


3.家庭紙の店頭価格が一部値上がり

 2月8日付の日本経済新聞紙上にて、1月の家庭紙の店頭価格が一部の品種で値上がりしたと報じられています。東京紙商家庭紙同業会のまとめによるもので、製紙大手各社の1月からの値上げが一部で浸透したとの指摘が紹介されています。2月以降も店頭価格は上昇する可能性がありますが、プライベートブランドなど安価な商品に購入がシフトする動きもあると記事では伝えられています。


4.日本製紙 勇払バイオマス発電所が稼働

 日本製紙は2月2日、双日と共同設立した発電事業会社で進めてきた勇払バイオマス発電所の設備が完成し、同日より営業運転を開始したと発表しました。燃料は主に海外調達の木質チップ、パームヤシ殻とともに、北海道内で発生する林地残材等の未利用木材とのことで、同社は、二酸化炭素排出量低減につながる木質バイオマスのエネルギー分野への活用を進め、事業拡大、電力の安定供給、地元・北海道の発展に寄与していくと表明しています。


【印刷・製品関連】

1.日本製紙 新開発事業に関する動きを相次いで発表

 日本製紙は2月1~6日に、木質資源を活用した製紙以外の事業の動きを3件発表しています。公式サイトの発表によると、

紙糸 同社の変性セルロースを配合することで、抗ウイルス・抗菌・消臭性能を備えた紙糸を、トスコ株式会社、株式会社島精機製作所と共同開発。従来の紙糸が持つ吸水速乾性、吸放湿性、ドライタッチといった特徴を有し、医療・介護やスポーツ分野の用具、寝具、衣料などでの利用を想定。2023年2月16日から愛知県一宮市で開かれる「第20回ジャパン・ヤーン・フェア」でサンプル展示される予定。
EVバッテリー用素材 電気自動車のリチウムイオンバッテリーの材料のひとつとなるCMC(カルボキシメチルセルロース)の供給体制の強化のため、2022年9月にハンガリーに製造販売子会社を設立。新工場を建設し、2024年12月に稼働させる計画。欧州で急速に拡大するEV用リチウムイオンバッテリー需要に対応。
SAF 住友商事、Green Earth Instituteと、木質バイオマスを原料とするバイオエタノールの商用生産などに向けた共同検討を開始することで合意。国産材を使った国産のSAF(持続可能な航空燃料)の実現といった、エネルギーに関する様々な課題の解決につながる可能性もある。

 日本製紙は自社を「総合バイオマス企業」と位置付けており、「木とともに未来を拓く」をスローガンに、バイオケミカル分野でも脱炭素社会の構築や地球温暖化対策に貢献していくと表明しています。


※文中敬称略
※文章は2023年2月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。