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華陽ニュース
紙の市況(2024.8)詳細 8月10日更新分
【洋紙 国内の紙の市況/状況】
1.北越・三菱が値上げ発表 |
北越コーポレーションは8月5日、三菱製紙は8月7日に製品価格改定を発表しました。
対象品種 | 白板紙(特殊白板紙、高級白板紙)、キャスト紙 | 印刷・情報用紙 |
値上げ幅 | 現行製品価格の10%以上 | 現行製品価格の5%以上 |
実施時期 | 2024年10月1日出荷分より | |
改定理由 | 昨今の世界情勢リスク、原燃料価格の高止まり、物流経費の増大など |
対象製品 | 白板紙全般 | ・白板紙以外の紙素材事業製品全般 ・情報用紙全般 |
値上げ幅 | 現行価格+10%以上 | 現行価格+5%以上 |
実施時期 | 2024年10月21日出荷分より | |
改定理由 | 原燃料高止まり、2024年物流問題対応のためのコスト増、人件費増等 |
大手製紙では既に王子製紙が印刷・情報用紙全般の2024年7月1日からの値上げを発表しています。
2.王子エフテックス・特種東海が値上げ発表 |
特殊紙などでは王子エフテックスが7月24日、特種東海製紙が8月1日に製品価格改定を発表しています。
対象製品 | 全製品(フィルム製品含む) |
改定幅 | 個別にご案内 |
実施日 | 2024年9月出荷分より |
改定理由 | 昨今の不安定な世界情勢、為替相場の円安定着による原燃料価格の高止まり、物流2024年問題対応での物流コスト上昇、人手不足に対応する委託費用見直しや待遇改善など |
対象製品 | 特殊紙全製品 |
改定幅 | 現行価格より10%以上(製品によって異なります) |
実施日 | 2024年10月1日出荷分より |
改定理由 | 円安の進行等による原材料価格の上昇、燃料価格や物流費の上昇、人員確保等に伴う労務費負担の上昇、特殊紙需要のさらなる減少 |
各社とも自助努力だけではコストアップ分を吸収するのは困難として、価格改定への理解を求めています。
3.日本製紙 グループ生産体制再編成 |
日本製紙は8月7日、グラフィック用紙事業の生産体制再編成と事業構造転換を目的とした停機と家庭紙事業展開について発表しました。同社サイトの発表によると、
対象設備 | 白老工場 8号抄紙機 | 八代工場 N2抄紙機 | 八代工場 9号ボイラー |
生産能力 | 64千トン/年 | 232千トン/年 | ‐ |
生産品種 | 上質紙・晒クラフト紙 | 新聞用紙 | ‐ |
停機予定時期 | 2025年9月末 | 2025年6月末 | 2025年11月末 |
停機理由 | ・加速するグラフィック用紙の需要減少に対応 ・GHG排出量削減 |
・白老工場の残る生産設備において、グラフィック用紙以外の製品の拡大を図る ・八代工場では輸出を中心とした家庭紙事業を2027年度をめどに開始する見通し |
停機する抄紙機で生産している製品は引き続き生産を継続する計画として、同社は引き続きのご愛顧を呼び掛けています。
4.王子HD チューエツの株式を売却 |
王子ホールディングスは8月6日、同社100%子会社で印刷・加工品・包装・不動産の事業を手掛ける株式会社チューエツの全発行株式を、千葉県で印刷・食品等の事業を手掛けるタイヘイ株式会社に売却すると発表しました。2024年8月2日に決議し、同日に株式譲渡契約を締結したとのこと。同社は売却の理由について、事業ポートフォリオ転換を進めるなか、チューエツの主力事業である印刷事業を積極的に拡大展開するタイヘイの下での事業運営が最適と判断したと説明しています。
【板紙・パッケージに関する市況/状況】
1.サンカヨウ使用のパッケージが採用 |
王子ホールディングスは8月2日、王子マテリアが生産する包装用紙「サンカヨウ」を使用した紙パッケージが国内大手万年筆メーカーの新製品の包材として採用されたと発表しました。同パッケージは「サンカヨウ」を原紙として株式会社イムラと王子マテリアが共同開発したもので、プラスチックフィルムを貼り合わせること無く、中身が見える透明加工を実現したもの。使用後は分別しなくても紙としてリサイクルでき、プラスチック使用量の削減にもつながると、王子ホールディングスは同パッケージの特長を説明しています。
【その他の市況/状況】
1.6月末古紙在庫が減少 |
7月30日付の日本経済新聞紙上にて、関東製紙原料直納商工組合まとめの6月末古紙在庫(32社分)が前月末比16.7%減となったと報じられています。減少は2か月連続で、円安を背景とした段ボール原紙や原料古紙の輸出増や、発生量の減少などから在庫率が低下していると記事では伝えられています。
2.ENEOS 高硫黄C重油価格を引き上げ |
8月6日付の日本経済新聞紙上にて、ENEOSが高硫黄C重油の7~9月期の価格を4~6月期比5%引き上げると表明したと報じられています。円安や重油の海外相場上昇を反映したもので、2四半期連続の引き上げとなると記事では伝えられています。
3.北越 大王と製品ラウンド輸送を開始 |
北越コーポレーションは7月31日、大王製紙グループ会社のダイオーロジスティクスのトラックを活用した「岐阜県可児市~新潟県新潟市~中部エリア」間の製品ラウンド輸送を大王製紙とともに開始したと発表しました。大王製紙が可児から新潟・北陸地区に輸送したトラックの帰り便に北越・新潟工場の製品を積み中部地区に輸送するもので、7月31日、ダイオーロジスティクスのトラックが新潟工場製品を積込出発したとのこと。7月23~25日には北越の鉄道コンテナの帰り便で大王製品を輸送するテストも実施されており、引き続き提携効果の拡大を目指していくと同社は説明しています。
【印刷、製品、その他関連】
1.四国中央市発足20周年特別企画プレゼントに書道パフォーマンス用紙 |
日本紙パルプ商事は8月6日、同社グループ会社の株式会社ゴークラが販売する「(天)書道パフォーマンス用紙」が、四国中央市発足20周年特別企画のプレゼントとして採用されたと発表しました。同社や四国中央市のサイトの発表によると、
四国中央市 発足20周年 |
同市は2004年4月1日に2市1町1村が合併して誕生。2024年4月1日に市発足20周年を迎えたのを記念して、今年度は、市民とお祝いをし、四国中央市を全国に広めるための様々な記念事業を実施中。 |
紙のまち | 四国中央市は「パルプ・紙・紙加工品製造業」の製造品出荷額が全国1位の「紙のまち」。2008年から『全国高校書道パフォーマンス選手権大会(書道パフォーマンス甲子園)』を開催し、ゴークラも協賛会社となっている。 |
「(天)書道パフォーマンス用紙」 | 1,550mX50m巻の片艶晒クラフト紙。書道パフォーマンス甲子園で使用されるほか、ゴークラで販売、四国中央市のふるさと納税返礼品にも採用されている。 |
記念プレゼント | 市発足20周年特別企画として、書道パフォーマンス甲子園の第17回予選に参加した全国32都府県109校に、「(天)書道パフォーマンス用紙」をプレゼント。届いた梱包段ボール箱をキャンバスにして、四国中央市について「調べて」「書いて」「撮った」作品を応募すると、応募学校のなかから7作品程度にもう1本プレゼントする『もう1本プレゼントキャンペーン』も実施中。 |
今年2月には四国中央市をアピールする市の花が「ミツマタ」に決定しており、10月には記念イベントとして「日本一の紙の博覧会」も計画されていると、四国中央市サイトには掲載されています。
※文中敬称略
※文章は2024年8月8日現在、新聞記事などを基に華陽紙業にて編集しております。実際の動向についてはお客様にて総合的にご判断頂きますよう、お願い申し上げます。