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華陽ニュース
不定期配信 源氏物語の紙3
明石での暮らしを終え、都に戻る光源氏。同じ頃、伊勢に下っていた六条御息所も姫宮の斎宮交代に伴って都に帰ってきますが、急な病で明日をも知れぬ身となってしまいます。心配なのは娘の姫宮のこと。父親も既に亡くなっているため、頼りになるのは源氏だけですが、娘が源氏の恋の相手にされてしまったら・・・と苦悩します。釘を刺された源氏はむっとしながらも、妹のように、娘のように面倒をみます、と請け負うのですが・・・
第14帖「澪標」
六条御息所が亡くなり、葬儀を立派に執り行う光源氏。四十九日もまだな、ある雪の荒れた日。姫宮は大丈夫かなあ、と思い立ってお手紙を送ります。使うのは「空色の紙の、くもらはしき」、曇ったようなぼんやりとした空色の紙に、若い人の目にとまるようにと気を使って歌を認めます。
自分でお返事するのは気が進まないなあ、と思いながらも周りの女房達に急かされて返事を書く姫宮が使うのは「鈍色の紙の、いとかうばしう艶なるに」、良い香りがする優美な様の、濃いグレーの紙に「降り続ける雪のように悲しみ暮らしています」と歌を書き送ります。特に優れてはいないものの愛らしく品がある筆遣いに、源氏は以前垣間見た姫宮の後姿を思い起こすのでした・・・
使う紙で哀悼を表現して気を使っているのね、と見るか、四十九日も済んでいないんだからそっとしておいてあげた方が・・・と見るか、皆様はどちらの感想を抱かれるでしょうか。
※華陽紙業にて紙に関する記述がある部分を抽出し、崩して訳した文章となっております。興味がおありの方は、是非、原文でお楽しみ下さい。