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不定期配信 源氏物語の紙6

帝の御前でどっちが良い絵を持ってるか決着を付けましょう=「絵合わせ」が行われることになる少し前、前斎宮が入内して「斎宮の女御」と呼ばれるようになったころ。絵を描くのが上手な、美しい斎宮の女御に惹かれ、帝はたびたび女御の部屋を訪問されるようになります。これを聞いて心穏やかではないのが弘徽殿の女御の父、権中納言。負けず嫌いで派手好きな彼は、当代の絵の名人を次々召し抱え、またとない傑作を描かせるのですが・・・

第17帖「絵合」②

 このとき彼が使わせるのが「二なき紙ども」、絵もまたとないものであれば、紙も二つとない逸品を用意して、次々と見事な絵を完成させ、帝を弘徽殿の女御のもとに誘います。貸出お断り、という彼の態度に苦笑して、源氏も斎宮の女御のもとに見事な絵の数々を届けさせ、ついにそれが帝の御前での絵合わせ勝負につながりました。
 左右に分かれ、源氏の弟の帥の宮を審判に絵合わせが行われますが、勝負がつかずやがて深夜に。最後の1枚に源氏が出してきたのは、自身が須磨で描いた絵日記でした。当時の情景に心情が伝わる歌などがついている絵日記は誰の心にも深い感銘を与え、絵合わせは源氏方の勝利で決着がついたのでした。

 このときの絵日記を書いているものと推測されるシーンが12帖の「須磨」に出てきます。「つれづれなるままに、いろいろの紙を継ぎつつ、手習をしたまひ」、暇にあかせて、手元のいろいろな紙を継ぎ合わせて、手すさびに須磨の情景などを描き散らしている、というものです。同じ個所に絵を描く素材として「めずらしきさまなる唐の綾」も出てきますので、絵合わせに勝利した絵がどちらに描かれたものかははっきりしませんが、お金も人もたっぷり使って準備された権中納言の絵が、源氏の趣味のスケッチに負けた、という構図をはっきりさせるなら、「ニなき紙ども」対「いろいろの紙を継ぎつつ」が伏線回収(?)になるのではないでしょうか。

※華陽紙業にて紙に関する記述がある部分を抽出し、崩して訳した文章となっております。興味がおありの方は、是非、原文でお楽しみ下さい。

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