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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話29 木材調達③植林と森林認証

「製紙業界が植林を頑張っていることって、どの程度皆さんに伝わっているのでしょうか?」
「どうかな。植林をしてるよ、っていうことは伝わっていても、どの程度、とか、原料を収穫するためだけじゃないってことまでは、知っている人は少ないかも。」
「どの程度、までは私も知りません・・・」
「じゃあ、今度は植林の話を確認しておこうか。」


「製紙業界が植林を頑張っている目的はふたつ。ひとつはもちろん

製紙に使う原料分を自分でつくり、森林資源を循環させて持続的に活用していくため

っていう、持続的な経営のための植林だけど、もうひとつは

生態系や生物多様性、水源といった周囲の環境を守るため

が主目的の植林も行っている。」
「環境保全林、というものですね。」
「たとえば王子ホールディングスは2020年末の時点で、海外で26万haの植林を行っているけれど、そのうちの半分、13万haは環境保全林なんだ。植林を行っておられるいくつかのメーカーさんの森林経営の方針は

王子HD 国内で民間最大規模の19万haの社有林を所有。うち、植林地は約8万haで、伐採、再植林、間伐などの保有作業を続けて持続的な森林経営を実施。
国内社有林の主目的は現在、「製紙原料の生産」ではなく、「製材用原木の育成」と「森林経営による環境貢献」
2020年度末の海外植林面積は約26万ha。うち約13万haは環境保全を主目的とする環境保全林。
国内社有林の森林認証取得率は、分収林分を除く17万haについては100%。海外植林の森林認証取得率は91%
日本製紙 2020年度末の国内社有林面積は約9万ha。その約20%にあたる17,600haが環境保全林。
2020年度末の海外植林面積は7.8万ha。ユーカリを中心とした植林を行うと同時に、生態系への影響が大きい河川沿いには原生植生を残したり、保護区を設定して動植物生息調査を行うなど、生物多様性や植林地周辺の地域社会との良好な関係づくりに配慮。
国内社有林、海外植林全てで森林認証を取得。
大王製紙 2020年度末現在、チリ共和国において約29,000haの植林を実施。2002年にFSC、2008年にPEFCの森林認証を取得。
北越コーポ 国内で約11,000haの社有林を保有。うち、岩手県と徳島県の社有林で森林認証を取得。他の社有林も含め間伐などの適切な保有作業を行い、植林~収穫のサイクルを回して持続的な森林経営を行っている。
南アフリカ共和国で2,400haの植林を実施。森林認証を取得し、10年ローテーションで植林と伐採を繰り返して、製紙原料育成を進めている。

(※各社公式サイトより華陽紙業にて抜粋・編集)

っていう具合に、製紙原料の確保に加えて、生物多様性や周辺環境の保全を考えた方針を立てて森林経営を行っておられるんだ。」
「経営している多くの社有林で森林認証を取得しておられますよね。」
「森林認証に関して言えば、森林を経営しておられる会社だけでなく、森林資源を利用する他のメーカーさんも工場や製品で森林認証を取得して認証製品を供給できるようにしているよ。十分に生育しきった樹木は炭素を吸収する量も減ってくるから、環境のためにも、適切な植林、適切な間伐などの世話、適切な伐採と再植林で持続的な森林経営を継続していくことが大切だし、それが行われているか、周辺環境や働く人にも配慮されているか、それが行われている森林の林産物を使用しているかを第三者の目で評価してもらえる森林認証は、紙業界にとって最も重要な認証のひとつだからね。」

「王子ホールディングスさんは2020年に制定された『環境行動目標2030』で、海外植林面積を2030年までに15万ha増やすと公表されていますよね。」
「日本製紙連合会さんも、国内外の植林地面積を2030年度までに1990年度比37.5万ha増の65万haにする環境行動計画を公表されているよ。」
「低炭素、脱炭素を実現するのに、植林は非常に有効な手段のひとつですよね。製紙業界が植林に力を入れていることは、もっと注目されても良いと思うのですが。」
「地道な努力に注目してもらうのが難しいのは、人間でも会社でも一緒なんだよ。だからこそ、努力を継続して、訴え続けていかないと!僕だって、いつかコマキさんの爆笑を見るために日々努力しているし!」
「え?日々の努力、ですか?・・・すみません、気づかなくて。どの辺りでしたでしょうか?」
「コマキさん・・・それ、絶対聞いちゃダメなやつ・・・・・・」