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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話33 VOC対策

「おはようございます、シート先輩。・・・ぐったりされていますね。」
「ああ、おはよう、コマキさん・・・毎日暑すぎるよね・・・・・・」
「そうですね。でも、私、夏は嫌いじゃないです。青い空も、真っ白な入道雲も、見ていると気持ちよくなりませんか?空気が汚れていない証拠のように感じられて・・・」
「確かにね。じゃあコマキさん、この『汚れていない空気』を保つのに、製紙各社の対策の継続が一役買っているのは知ってる?」
「先日伺った、排気対策の話ですか?」
「排気対策のなかでも、もう少し対象を絞った話と言えば良いかな。VOCって聞いたことない?」

「VOCというと『揮発性有機化合物』のことですね。用語は聞いたことがありますが・・・」
「簡単に言うと、大気汚染物質の一種なんだけどね。」

大気汚染物質 産業活動などにより大気中に放出される、人や農作物などに健康被害を与える化学物質。発生源には工場や事業所などの『固定発生源』と自動車、船舶、航空機などの『移動発生源』がある。
VOC 大気中でガス状になる有機化合物のこと。トルエン、酢酸エチルなど。大気中での光化学反応により光化学オキシダントを発生させたり、同じく大気中での化学反応で粒子化しPM2.5となったりする。
光化学オキシダント 窒素酸化物やVOCなどが太陽光により光化学反応を起こして発生させるオゾンなどの酸化性物質のこと。濃度が高まると光化学スモッグを生じさせ、人の健康被害の原因となるほか、農作物への被害も報告されている。
PM2.5 大気中に浮遊する、粒径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質。肺など呼吸器系への健康被害のほか、循環器系への影響も懸念されている。

「この前も話したけど、製紙各社は

・使用燃料やバーナーの変更
・脱硫装置や脱硝装置の設置
・燃焼方法の改善
・集塵装置の強化

といった排気対策で汚染物質を大気中に放出しない対策に継続的に取り組んでいる。それに加えて、VOCに関しては、

・2006年4月に改正大気汚染防止法が施行。工場等の固定発生源からのVOC排出総量について、2010年度までに2000年度比で3割程度削減する目標が定められたことを受け、製紙各社でVOC全排出量の96%を占めるトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、メタノールの5物質について排出抑制に取り組み、2010年度に2000年度比84.8%の削減を達成。
・2011年度以降は経産省産業構造審議会から示された指針に基づき、業界全体でのVOCの削減率が2010年度実績と比較して悪化しないことを目指して毎年のフォローアップ調査を実施。2013年度からは対象を5物質⇒67物質全てに拡大して取り組みを継続し、以後のVOC排出量はほぼ横ばいとなっている。

といった取り組みを続けているんだ。日本製紙連合会の環境行動計画にも、「環境リスク問題への対応」という項目で「紙板紙製品への化学物質利用によるリスクの軽減を図る」と明記されているんだよ。」

「VOCについては印刷業界でも早くから取り組みがされていて、グリーンプリンティングの認定にも組み込まれているから、製紙の取り組みより進んでいるとは思うけどね。」
「製紙業界でもVOC排出削減に継続的に取り組んでいることを分かって頂けると良いですね。」
「地道なPRあるのみ、だね。なんか元気出てきた。今日も地道に頑張ろう!・・・って・・・あれ?・・・・・・」
「大丈夫ですか、シート先輩。炎天下で大声なんか出したりするから・・・」