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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話46 液体用紙容器

「おはようございます、シート先輩。今朝はいつにも増してお元気そうですね。」
「おはよう、コマキさん。昨日、姪にほめられて。」
「ああ、紙に厳しい姪御さんですね。」
「いつもはそうなんだけど、授業で牛乳パックに関する動画を見たらしくって。牛乳パックってすごいんだね、って。」
「牛乳パックの『すごい』ところ、いろいろありそうですけど、何に感動したのでしょうね。」
「水が漏れないのがすごいって言ってたような気がするなあ。」

「牛乳パックの原紙には、印刷用紙とは違う工夫がされていますものね。」
「液体が漏れないことが大前提だからね。

・繊維の長くて丈夫な針葉樹パルプをベースに、広葉樹パルプとの配合を工夫。
・切り口からの水の染み込みを防ぐサイズ剤や、線維同士の結びつきを強くする紙力増強剤の添加量などを工夫。
・原紙の表裏両面をポリエチレンでコーティング。

等の工夫がされている。アルミ付きの紙容器と違って、牛乳パックの原紙は紙とポリエチレンの層でできているから、比較的容易にリサイクルできるのもすごいところだよね。」
「そう言えば、日本製紙連合会のサイトにも、ご家庭で牛乳パックからハガキを再生する手順が掲載されていますね。」
「鍋とかミキサーとかアイロンとか使うから『大人の人と一緒に挑戦してね』が原則だけど、日本製紙連合会が小学生を対象に募集している『手づくり絵はがきコンクール』も、牛乳パックなどを再生してつくったはがきを使うこと、が応募条件だから、小学生でもリサイクル体験できる素材としても牛乳パックは優秀ってことだと思うよ。」

「洗って開いたときに中が銀色になっている、アルミ付きの紙パックも日常ではよく見ますよね。アルミ付きの紙パックはリサイクルできないのですか?」
「アルミと紙の繊維を分離するのが難しいから、その技術を持っているところが限られているんだって。ただ、できないわけじゃないから、分別回収も住んでいる地域や近くにあるスーパーなんかによっても違う。アルミ付き紙パックは燃えるゴミにして下さい、っていうところもあれば、アルミ付き紙パックも資源として回収している自治体やスーパーもあるから、確認して下さいってことになるかな。」
「でも、飲み終わって洗って開いてみないと、アルミ付きかアルミ無しか、分からないのは困りますね・・・」
「いや、そんなことはないよ。付いている識別マークが違うからね。」
「そうなのですか?」
「牛乳パックみたいにアルミ無しでリサイクルできるものは『紙パック』マーク。アルミ付きのものは『紙』マークだから、そもそも買う時点でも区別はつくよ。まあ、アルミ付きでもアルミ無しでも、リサイクルするには中身を使い切ってきれいに洗って開いて乾かすことが前提だけどね。」

「液体用紙容器をアルミコーティングするのは品質保持のためなのですよね?」
「そう。酸素や光による劣化を防いだり、防湿性を高めたりするためだね。ただ、焼却しかできないとなると環境に負荷がかかるままだから、製紙メーカーさんでも対策をされているんだよ。」
「アルミ付きでも回収してリサイクルできるようにすること、ですね。」
「それから、アルミの代わりにフィルムを使って、アルミと同じように品質を守りながらリサイクルできるようにする紙製容器も開発されている。日本製紙さんの『ノンアルミフジパック』とかね。」

「まあ、そんな感じで、今ある牛乳パックも、進化を続ける液体用紙容器もすごいってことで、姪にも認めてもらえて嬉しかったんだよね。」
「だからいつも以上にお元気だったのですね。」
「うん。なんか、一緒に僕の好感度も上がった感じがするし!」
「え・・・それはどうでしょうか・・・・・・」

※文中、敬称略