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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話⑳包装用の紙

「コマキさん、何読んでるの?・・・あれ?そのブックカバーって・・・」
「お疲れ様です、シート先輩。ええ、このブックカバー、百貨店のギフト用の包装紙でつくったんです。綺麗な印刷なので捨てられなくて・・・」
「確かに包装用紙って紙が丈夫だから、本を持ち歩くためのブックカバーに再利用するのも良いかもしれないね。」

「包装用紙って丈夫なのですか?」
「物を入れたり、包んだり、荷重がかかる用途だから、針葉樹パルプが原料に使われることが多いんだよ。」
「針葉樹パルプの方が広葉樹パルプより繊維長が長くてしっかり絡まるから、丈夫な紙ができる、でしたね。」
「包装用紙のことをクラフト紙と呼ぶのは、丈夫なパルプが得られるクラフトパルプ化法でつくるから、っていう説も、入社時の研修でよく披露される話だよね。まあ、今は別の用紙の多くもKP法でつくられてるんだけど・・・」

「包装用紙の基礎知識の研修のときに、『茶色か白かで大きく分ける』と教えて頂きましたね。」
「そうだね。パルプを漂白していない茶色いのが『未晒』、漂白してあるのが『晒』で、大きく分けるとその二つ。」
「でも、未晒・晒のなかでも、さらに種類がありますね。」
「包むものがいろいろだからね。例えば、

用途 説明・用途・使われる用紙等
重いものを入れる お米などの農産物や肥料、セメントなど、産業用の重いものを入れる用途で使われる紙を『重袋用両更クラフト紙』と区分している。未晒の針葉樹KPが使われ、強度とともに防湿性や透気性なども求められる。
封筒 一般事務用の茶色い封筒には『特殊両更クラフト』が使われる。比較的明るい茶色であることから『半晒クラフト』とも呼ばれる。
白や色のついた封筒には『晒包装紙』に区分される両更晒クラフト紙やカラークラフト紙のほか、ケント紙、ファンシーペーパー、和紙、グラシン紙など、包装用紙に区分されない紙も多く使われている。
産業用包装紙 重袋用ほどに強度を求められない『軽包装』用として、『一般両更クラフト紙』が用いられる。包むものの性質に応じて、防湿性や撥水性が付与された製品もある。
商品用の包装紙 晒包装紙の一種で、特殊な乾燥ロールにより片面に光沢を持たせた『純白ロール』が商品用の包装紙などに用いられる。『純白ロール』は包装用のほか、小袋用や、アルミ箔を貼合するなど加工用の原紙としても用いられる。
手提げ袋 白ベースの場合は晒包装紙の一種の両更、あるいは片艶の『晒クラフト紙』、茶色ベースの場合は軽包装用の未晒クラフトが用いられることが多い。

「ほかにも薄口模造紙なんかも包装用として使われることもあるね。」

「過剰包装の見直しや、外出自粛で観光地の需要が減って、包装用紙の需要は減っているそうですね。」
「でも、一方で、海洋汚染の問題解決を図るために、包装材をプラスチックから紙ベースに見直す動きも出ているよ。バリア性を持たせて中身の品質を守る新しい紙ベースの包装材なんかも開発し採用されているし、もっとお客様にPRしていきたいね。」
「前に先輩が仰っていた、紙の『守る』機能ですね。」
「そう。紙って頼りになるんだよって。少なくとも僕よりは・・・」
「先輩・・・言って落ち込むなら、言わない方が良いのでは・・・・・・」