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【紙のソムリエ】番外編 シート先輩とコマキさんの紙に関する四方山話31 廃棄物対策

「シート先輩、5月30日って何の日かご存じですか?」
「え?・・・コマキさんの誕生日?」
「違います。5月30日は語呂合わせで『ごみゼロの日』なのです。ちなみに6月5日が『環境の日』、6月8日が『世界海洋デー』なので、この3日間を含む2週間ほどを『春の海ごみゼロウィーク』として、全国一斉清掃キャンペーンが行われているそうですよ。」
「海洋ごみ問題が注目されている今ならではの活動だね。」
「いいえ。もともと『ごみゼロ運動』というのは1975年に始まった活動だそうです。当時の豊橋山岳会会長の方の呼び掛けで『街中のゴミを拾う』活動を豊橋市が始め、それが全国に広がって、『5月30日にゴミを拾う』イベントになったとか。」
「50年近い歴史があるってことか。それはすごいね。そういえば、製紙メーカーさんの廃棄物対策も、『ごみゼロ』に近いものがあるって知ってた?」

「先日、排水処理についてお話し頂いたときに、排水から取り除いた汚濁物質の再利用について教えて頂きました。」
「『製紙汚泥』とか、『ペーパースラッジ』と呼ばれるものだね。あと、『黒液』っていうのも、製紙産業ならではの廃棄物かな。」

ペーパースラッジ 利用できず残る短繊維や薬品など、紙になる繊維が取り出された後の汚泥。脱水、乾燥、焼却工程を経てペーパースラッジ灰となったり、蒸し焼きにして炭化ペレットに加工されたりする。
黒液 木材チップを薬品で煮てパルプ化(蒸解)する際に取り除かれた、繊維の接着成分であるリグニンなど含んだ廃液。専用ボイラーで回収、燃焼され、発電や乾燥工程などに利用される。黒液中の薬品は燃焼後回収されて再度蒸解に利用される。

「廃棄物として出る紙くずと廃プラスチックは『RPF』っていう燃料に加工されたりする。」

RPF 再利用が難しい紙くずと廃プラスチックを原料とする固形燃料。Refuse Paper and Plastic Fuelという和製英語の略。

「ほかにも、チップを加工する際の木くずとか、焼却した後の灰とかも出るけど、バイオマス燃料として使われたり、セメント原料や副資材として使われたりして、なるべく埋め立てる量を減らすよう、努力が続けられているんだ。」

「製紙メーカーさんの『ごみゼロ』は、ごみを回収する『ごみゼロ』ではなく、全てを有効活用して、ごみにしない『ごみゼロ』なのですね。」
「ゼロ、までは、さすがにいってないけどね。でも、日本製紙連合会さんによると、1990年度時点で220万トン強だった廃棄物の最終処分量が、2020年度には6万9千トンまで減少していて、2025年度には6万トンを達成するように現在も努力されている。2020年度の有効利用率は98.4%になっているよ。」
「普通なら捨ててしまうようなものも使えないか工夫を重ねて、廃棄ゼロを目指すということですね。」
「廃棄ゼロか・・・実は僕にも、使いきれていない隠れた才能が!・・・とか、ないかなあ。」
「うーん・・・私たちはまず、隠れていない才能も100%使いきるように努力すべきではないでしょうか。」
「・・・・・・」