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「紙のソムリエ」 水谷美昭です。
今回は
オフ輪(オフセット輪転機/Web Offset Press)の用紙
(巻取紙)
についての基礎知識についてお話しします。 |
オフ輪は新聞、出版、雑誌等の大量印刷物に対応するために高速印刷を必要とされ1960年代より始まったようです。
その後急速に進展し設置台数も飛躍的に伸びました。
オフ輪用紙は平判用紙と規格が違い又品質的にも違う面があります。
そう言った基礎知識を下記に表示しました。 |
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平判とオフ輪(巻)の用紙品質の違いについて教えてください。 |
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オフ輪用紙の場合、オフセット印刷用紙として求められる一般品質に加えて特別の品質として高速巻取印刷作業適正と高速加熱印刷適正があります。 |
★高速巻取印刷作業適正とは片だるみ、蛇行、しわ、見当ずれ等の防止対応
★高速加熱印刷適正とはブリスター、ひじわ、折れ割れ防止対応
・ブリスターとはオフ輪の乾燥部で、インクの乾燥とともに用紙中の水分が急激に加熱され蒸発する際、塗工層とインク層に妨げられ、逃げ場を失い火膨(ぶく)れとなる現象
・ひじわとは両面に高濃度の絵柄を印刷した場合、用紙の流れ方向にに沿って発生するシワ(下記注1)
・折れ割れとは背割れとも呼ばれ、中綴じの両頁にまたがる絵柄に亀裂が入るだけでなく、ステッチ抜けにつながることもある現象 |
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巻取規格について教えてください。 |
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1. (幅)の寸法(mm) |
2. (流れ)の寸法(mm) |
主な用途 |
B/T巻 |
765 |
1085 |
B列系チラシ 他 |
B/Y巻 |
1,085 |
765 |
B4カタログ 他 |
A/Y巻 |
880 |
625 |
A4カタログ等 他 |
A/T巻 |
625 |
880 |
A5出版物 他 |
D/T巻 |
813 |
1092 |
新聞紙、チラシ等 |
※その他ベビー(383mm幅)等上記以外にもあります
※2.(流れ)寸法は巻取の連数を表示するための寸法であり実際にオフ輪1回転で印刷できる寸法ではありません |
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具体的商品(連量と巻連数)について教えてください。 |
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●オフ輪の特徴の一つに薄物用紙の印刷に適正があることが挙げられます。
ユーザーのコストダウン策には紙の連量ダウンもあり紙の軽量化が進んでいます。
但し製紙メーカーにとっては紙の軽量化は生産性がダウンする為消極的のようですが。 |
《商品事例》
下記は代表的商品です。
その他にも商品及び規格は多種(オフ輪に向かない厚紙を除き巻加工は可能)ありますが
平判と違いあらかじめ1〜2ヶ月前に発注(抄造発注)が原則である事と商品によっては
ロット(数量等)が指定になる場合があります。
常時在庫してある商品は限られていますので必要時には事前のお問合せをお願いいたします。 |
品種 |
メーカー |
品名 |
連量・寸法・巻数 |
備考 |
A3コート |
王子 |
OKコートL |
B
〈53〉 |
765×1085×12R |
※連量により巻連数は変わります
(1本重量は約500〜750kgの間)
※12R巻とは平判の全判が12,000枚つながっている状態の巻。 |
A2コート |
王子 |
OKトップコート+ |
B
〈71.5〉 |
765×1100×10R
(注2) |
微塗工1 |
王子 |
アクアライトコート |
B
〈50〉 |
765×1085×14R |
微塗工2 |
王子 |
OKソフトロイヤル |
A
〈70.5〉 |
880×1250×5.9R |
色上質 |
紀州 |
レインボーロール |
B
〈薄口〉 |
788×6000m |
(注1)ヒジワ対策用商品として王子・OKノンリンクルシリーズがあります。
(注2)本来、OKトップコート+巻 765×1085×10Rですと連量はB判(70.5)になります。
この商品は765×1100(o流れ)×10Rとなっていますので765×1100mmの寸法の平判が10,000枚つながっているという表記です。
従って本来のB判表記に換算しますと1100(mm)×10,000(枚)÷765(mm)=14,379(枚)分。
すなわち約14.4R巻相当になります。
巻取に関しては用途によりこのように表記される商品が多く見られますのでご注意を下さい。
(連量及び流れ寸歩と巻数量の関係) |
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