5ライン停止、効率化 10月、子会社に
国内製紙7位の北越製紙は27日、同10位の紀州製紙を買収すると正式発表した。10月1日付けで北越が株式交換により紀州を完全子会社化し、北越は売上高で国内6位に浮上する。王子製紙が北越に買収をしかけた2006年から07年にかけて以来の大型再編となる。景気の低迷で製紙各社の設備は過剰になっており、生き残りをかけた業界再編が再び加速する可能性がある。
北越は紀州製紙の普通株式1株に対して、北越製紙の普通株式0.195株を割当交付する。紀州の株主に支払う株式数と現在の株価をかけて計算した実質買収額は約70億円とみられる。紀州製紙は上場廃止となる。北越製紙は新社名を「北越紀州製紙」に変更する。
子会社化に先立ち、5−9月にかけて北越製紙は長岡工場(新潟県)の2生産設備、関東工場市川(千葉県)の一設備の稼動を停止し、紀州製紙も12月に大阪工場(大阪府)の二設備を停止する。それぞれ競争力の高い設備に生産を集約。北越製紙はチラシやカタログに使う印刷用紙などに注力し、紀州製紙は書籍やパンフレットに使う特殊な高級紙に特化する考え。設備の停止に伴い、北越製紙は人員の配置転換を実施し、紀州製紙は70人の希望退職を募る。
両社は4月1日に経営統合推進委員会を発足。生産や販売体制、原燃料の調達方法の見直しなどの施策を今後詰める。
北越製紙の岸本哲夫社長は27日の記者会見で「販売減少から大幅な減産を強いられている。紀州製紙は生産品目や生産地域でも理想的な補完関係にある」と強調。紀州製紙の佐々木孝行社長は「成長と永続性を考えると、特殊紙に特化する必要がある。北越製紙の技術を活用し統合効果を発揮したい」と述べた。
北越製紙は2009年3月期の業績見通しを下方修正した。印刷用紙の販売低迷に加え、紀州製紙の買収に伴って2工場の生産設備を停止することで約20億円の特別損失が発生する。連結純利益は前期比61%減の16億円(従来予想は41億円)の見通し。
紀州製紙も業績低迷で繰り延べ税金資産を取り崩し、今期の最終損益が3億円の赤字予想から54億円の赤字(前期は11億円の黒字)になると発表した。 |