|
新聞記事より、出版・印刷業界の動きに関するものをピックアップしました。 |
凸版印刷は4月、書店の店舗情報を発信するウェブサイト「本屋の歩き方」を開設する。住所などから近くにある書店を検索でき、店舗が開催するイベントやお薦めの書籍などの情報を閲覧できる。出版不況で廃業が続く中小書店の集客を支援する狙い。出版社や書店情報を持つ出版取次などにも参加を呼びかけ、開設時に500店超の情報掲載を見込む。 |
2.凸版、営業益1.7倍に 10〜12月 半導体関連が好転 |
凸版印刷の2009年10〜12月期の連結営業利益は、前年同期に比べ1.7倍の130億円前後となったもようだ。直前四半期の7〜9月期比では2.3倍。半導体市況の回復を受けて、回路原板となるフォトマスクの採算が好転。建築関連部材などの赤字子会社数も減少した。10年3月期から本格的に開始した雑誌印刷などの中国事業も収益に貢献している。
エレクトロニクス事業は回復基調が続く。半導体フォトマスクは、DRAMなどメモリー向けに需要が11月ごろから増加。液晶パネル用のカラーフィルターは「第8世代」と呼ばれる大型サイズでフル生産が続いている。拠点再編などの合理化も収益を押し上げる。
生活環境部門は、紙製の飲料缶など環境に配慮した製品が好調だ。太陽電池パネルに使うバックシートも出荷が増えている。石油化学製品など原材料価格は想定より低い水準で推移しており、利益率が改善した。
海外は中国事業が好調だ。女性誌やビジネス誌など雑誌の印刷が伸びているほか、包装材なども需要が増加している。昨年11月には北京市で新たな生産拠点が稼動し、処理能力が向上した。
一方、国内の出版や商業印刷は企業の広告宣伝費の抑制などで苦戦する。印刷需要は年度末に集中するが、例年に比べ足元の受注は弱含んでいるもよう。書店の営業を支援するインターネットサイト「本屋の歩き方」を今年4月に立ち上げるなど出版印刷のテコ入れを進めている。
09年4〜12月期累計の営業利益は前年同期比33%減の200億円程度を確保したもようだ。10年3月期通期の営業利益は前期比18%増の345億円を見込む。 |
大日本印刷は1日、書籍流通を手掛ける丸善と図書館流通センター(TRC、東京・文京、谷一文子社長)の子会社2社を経営統合し、両社を傘下に置く中間持ち株会社「CHIグループ」を設立したと発表した。
社長には丸善の小城武彦社長が兼務で就任。書店での需要予測などを徹底し、業界平均4割に達する返本率を大幅に引き下げる方針を打ち出した。
丸善は1月27日付で東証1部上場を廃止し、CHIグループが2月1日付で東証1部に上場。CHIは大日本印刷が52%を出資する連結子会社になった。
公共図書館向け配本のTRCは独自の受発注システムで返本率を13%台に抑えているが、丸善は3割台のもよう。 |
4.大日印の今期 最終黒字230億円 液晶部材好調で上方修正 |
大日本印刷は3日、2010年3月期の連結最終損益が230億円の黒字(前期は209億円の赤字)になりそうだと発表した。従来予想を30億円上回る。カラーフィルターや反射防止フィルムなど液晶パネル関連部材がけん引する。製造工程の効率化や研究開発費の抑制などコスト削減も利益を押し上げる。
売上高は前期比1%増の1兆6000億円と従来予想を据え置いたが、営業利益は従来予想を170億円上回り23%増の570億円となる見通し。
液晶パネル関連では、カラーフィルターがほぼすべてのサイズでフル生産。昨年10月には堺市で「第10世代」と呼ばれる大型サイズの工場が稼動した。反射防止フィルムは、2月以降に原料価格が引き上げられるが販売数量の増加で補えそう。
半導体の回路原版となるフォトマスクは先端品を中心に需要が回復し、構造改革の効果も出て部門黒字に転換する。包装材は食品向けが堅調。主力の出版・商業印刷は企業の広告宣伝費の抑制を受け苦戦している。
09年4〜12月期の連結決算は、純利益が前年同期比68%増の196億円。投資有価証券などの評価損が減少した。売上高は3%減の1兆1750億円、営業利益は4%増の457億円だった。新興国での価格競争のあおりで苦戦したが、ネットブック向け基板の受注が増加した。
|
1.出版21社、収益確保へ新団体 電子書籍普及に危機感 契約モデル構築めざす |
講談社や小学館、集英社など大手出版社21社は2月、一般社団法人「日本電子書籍出版協会」(仮称)を発足し、拡大する電子書籍市場への対応を急ぐ。ライバル各社が共同歩調をとる背景には、欧米で普及が先行した米アマゾン・ドット・コム「キンドル」など電子書籍端末の本格上陸に備え、著者との契約関係を見直すなど収益確保への対策が欠かせないためだ。
学研ホールディングスや新潮社、文芸春秋などが参加を予定。2月に代表理事を選出する。設立準備委員会の細島三喜事務局長(光文社)によると、紙媒体の書籍を電子化する際の文書規格の共通化や、著者や電子書籍販売サイトとの契約モデルの構築などを目指す。
新団体発足の背景には、書籍の利用について法的権利を持たない出版社の危機感がある。文化庁著作権課によると「ドイツや英国では出版社に対して利用の対価を請求する権利(報酬請求権)を認めている」。
一方、日本や米国では出版社に法的権利が無いため、契約で作家から著作権を譲り受けるしかない。このためアマゾンなどが著者と直接契約し、電子書籍配信を進めれば「版元に何も入らない」ためだ。
このまま電子書籍が普及すると出版社の経営は厳しくなり、良質の書籍を出しにくくなると見る。新団体を通じて出版各社は、手数料などの名目で収益配分を受ける契約モデルの構築や、出版社のための新しい法的権利の創設などを求める可能性が多い。
日本を含む世界100カ国で発売中のキンドル(日本語対応版は未発売)のほか、ソニーの「リーダー」など読書端末の普及を背景に、国内の電子書籍市場は2008年度の464億円から拡大が見込まれている。出版業界では電子雑誌の配信プラットフォーム作りなどでも連携の動きが進んでおり、「電子書籍元年になる」(大手出版幹部)と見る向きが多い。 |
2.月376円 1世帯の雑誌購入額 定期購読離れ進む |
総務省の家計調査によると、2009年7〜9月、1世帯が雑誌・週刊誌に支出した金額は1129円。1カ月平均で376円だ。若者の雑誌離れに景気低迷が追い討ちをかけ、2000年同期と比べると、20%落ち込んでいる・
出版科学研究所(東京・新宿)によると、09年の雑誌の推定販売部数は前年比で6.9%減。男性向けファッション誌や高級志向の女性向けファッション誌の落込みが目立つという。
有名誌の休刊も相次ぐ。09年は、10代女性向けの「Cawaii!(カワイイ!)」(主婦の友社)や、オピニオン誌の「諸君!」(文芸春秋)などが休刊となった。
一方、付録付き雑誌や、歴史など文化色の強い特集をするライフスタイル誌は健闘。定期的な購読を控え、特集や付録に応じて雑誌を買う人が増えているようだ。 |
1.電子書籍 「雑誌大」も世界販売 アマゾン、日本など100カ国 |
インターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムは5日、雑誌大の電子書籍端末「キンドルDX」を日本を含む世界100カ国以上に販売することを明らかにした。同日から自社サイトで予約を受け付け、19日から全世界に出荷する。同社はすでに、小型の「キンドル」を世界展開している。大きな画面を搭載するDXの投入で市場開拓を進める。
DXの画面サイズは9.7インチ(約24センチ)で、小型のキンドルの約2.5倍。雑誌や新聞などの閲覧に向く。無線ネット経由で電子書籍コンテンツを購入でき、端末の価格は489ドル(約4万5000円)。アマゾンの米サイトで注文を受け付けて世界に出荷する。
アマゾンは昨年10月にキンドルの世界販売を開始。これまで130カ国以上に同端末を出荷しており、「日本での販売も好調」(同社)という。電子書籍市場は拡大が見込める一方、今後は新規参入で競争も激化する見通しだ。 |
2.ビジネス誌、ウェブ特化 講談社が創刊、閲読は無料 |
講談社は8日、政治・経済分野に特化したビジネスパーソン向け新雑誌をウェブ上で創刊する。閲読は無料とし、広告で収入を得る。紙の雑誌を電子化する動きはこれまでもあったが、ウェブに特化した硬派雑誌を大手出版社が発行するのは初めて。紙媒体の書籍・雑誌の売り上げは縮小傾向が続いており、出版業界がネット事業の強化を加速する可能性がある。
創刊するのは「現代ビジネス」。政治と経済に関する独自記事や著名人コラムを載せるほか、同社が発行する「週刊現代」「フライデー」などの雑誌から政治・経済記事を抜き出して再掲する。コラム執筆陣にはジャーナリストの田原総一朗氏や元外交官・作家の佐藤優氏、政治家の舛添要一・前厚労相、蓮舫・参院議員らが内定している。
当初は誰でも無料で読めるようにし、軌道に乗ってから無料の登録会員制に移行する計画。有料記事の販売も検討する。システム構築や運営コストを抑えるため、社外のシステム上にサイトを構築するクラウド方式で運営する。
国内出版業界では日本雑誌協会加盟社が、既存の紙の雑誌の記事をウェブ上で配信する共通のプラットフォーム作りを進めている。米国ではアマゾン・ドット・コムの「キンドル」などの電子書籍端末で本や雑誌、新聞を買って読む消費者が増えている。
また米ニューズ・コーポレーションやタイム・ワーナーなどが独自の共通有料配信プラットフォームを開発するなど、ハード、ソフトの両面で電子出版を巡る動きが激しくなっている。 |
ネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・渋谷)は8日、全商品の送料を購入金額にかかわらず無料にすると発表した。3月末までの期間限定で食品や日用品、家電など全ジャンルが対象。本やCDを対象にした送料無料キャンペーンはこれまでもあったが、全面無料は2000年11月のサイト開設以来初めて。 |
韓国のLGディスプレーは14日、画面サイズが19型で本体を曲げられる電子ペーパーを開発したと発表した。タブロイド版とほぼ同じ大きさで、新聞を閲覧する用途を見込む。米アマゾン・ドット・コムやソニーが電子書籍端末やサービスの拡大を急いでいるが、画面サイズの大型化で新聞をコンテンツとして取り込む動きも激しくなりそうだ。
「イーインク」と呼ぶ特殊なマイクロカプセルを使う表示方式を採用。基板にガラスではなく曲がる素材を採用することで、実際に新聞を手にしているような質感を目指した。
重さは130グラムで厚さが0.3ミリメートル。ただ出荷先は未定としている。米国ではソニーが昨年末から電子書籍端末で一部の新聞を閲覧できるサービスを始めている。 |
5.米アマゾン 「キンドル」作家 米国外でも募集 自費出版 仏・独語に対応 |
インターネット小売り大手の米アマゾン・ドット・コムは、全世界を対象に電子書籍端末「キンドル」向けの著作を自費出版する出版社や作家の募集を始めた。米国内の出版社や作家に限って自費出版する仕組みはあったが、これを米国外にも拡大して仏語や独語にも対応する。対応言語もふやす考えだ。
アマゾンが展開するのは「デジタル・テキスト・プラットフォーム」。パソコンなどで作成した文章を投稿し、アマゾンが運営する書籍配信サイトを通じて全世界に販売できる。販売収入はアマゾンと出版社・著者が分け合う形となる。
アマゾンは2009年10月から日本を含む世界100カ国以上にキンドルの販売地域を広げており、自費出版の対象も拡大する。 |
6.電子書籍の価格 米アマゾン、一部値上げ 出版大手の要求に応じる |
米インターネット小売り大手のアマゾン・ドット・コムは1月31日、一部電子書籍の価格を12.99〜14.99ドル引き上げると発表した。従来は原則9.99ドルだったが、出版大手の英マクミランの要求にアマゾンが応じた。電子書籍市場の拡大で端末の新規参入も増え、価格を巡る駆け引きが激化している。最大手アマゾンが出版社側の要求に応じたことは大きな波紋を呼びそうだ。
電子書籍端末「キンドル」利用者向けの発表文によると、「要求価格は不必要に高い」としながらも、「マクミランの作品も提供したい」と理解を求めた。一方で「14.99ドルが適正かどうかは利用者が判断する。他の大手出版社が同じ道を歩むとは思わない」として、出版側をけん制した。
マクミランは電子版の価格が低いとして値上げを要求。反発したアマゾンが一時、同社書籍の販売を中止していた。
電子書籍市場では、3月末に多機能情報端末「iPad(アイパッド)」を発売する米アップルが、出版側に有利な条件を提示しているもようで、マクミランもiPad向け配信を表明。迎撃するアマゾンは自費出版時の収益分配を作家側に有利な条件にするなど、有力コンテンツを巡る駆け引きが激しくなっている。 |
|