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10月号 (2009年)

1)新聞記事に見る出版・書籍の
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ISO9001認証取得

おかげさまで、ミスクレーム
5/10,000以内達成!

新聞記事に見る出版・書籍の環境変化

新聞記事より、出版・印刷業界の動きに関するものをピックアップしました。
1.グーグルの書籍検索 出版大手、容認の方向 中小には「離脱」の声も
2.紙幣偽造防ぐ新技術 特殊な光で暗号読み取り 東大と大日本印刷 5年後めど実用化
3.インクジェットプリンター ウェブ画面印刷快適に キャノン 必要な部分選別
4.女性向け広告 携帯配信 米グラムメディア 集英社・小学館サイトに
5.新作漫画をネット配信 IGポート
6.「エレキ部門、黒字化も」凸版社長 今期、液晶向け回復
7.配送の箱・袋 再利用 東京23区でアスクル 梱包材、年1200トン削減
8.印刷各社、包装材が下支え 食品・医療品向け堅調 高付加価値品、不可欠に
9.文教堂 ジュンク堂が筆頭株主に 業務面も提携
10.入退室など1枚のカードで
11.凸版印刷 電子看板の設置事業 流通店舗向け 自動で試供品配布も
12.出版が変わる(上)デジタル時代の到来 端末に記事「バラ売り」も
13.出版が変わる(下)縮む書店 再編の波 提案力と「脱・返本」カギ
14.大日本印刷 丸善とTRC統合 ジュンク堂の合流も検討
15.大日本印刷 消費調査会社を傘下に NTTデータ系 販促物営業に活用
16.英有力夕刊紙が無料化 部数を2倍に 広告価値高める狙い
17.富士ゼロックス 印刷業務の受託強化 営業要員3倍の150人に

1.グーグルの書籍検索 出版大手、容認の方向 中小には「離脱」の声も

書籍の内容をネットで閲覧できる米グーグルのブック検索を巡る集団訴訟で、日本の作家や出版社を含む権利者が和解案の受け入れについて意思表示する期間が4日、期限を迎える。大手出版社は態度を正式表明せずに、和解案を容認する方向だ。一方、中小出版社や著作者団体などは離脱や異議へ動いており、対応は二分されている。
昨年10月にグーグルと米出版界などの間でまとまった和解案は、書籍のネット検索・閲覧サービスの利用者への課金や広告収入から経費などを除いた63%を作家や出版社に支払う内容。無断で電子化した書籍には一点60ドルを支払う。作家などの承諾があれば「絶版本」はグーグルが全文を公開できる。今年1月5日以前に出版された書籍などが対象で、新聞や雑誌は含まれない。
3日、都内で会見した作家の明石昇二郎氏と写真家の福田文明氏は和解案への異議申し立てを米裁判所に提出したと述べた。グーグルへの不信感から、和解案には乗れないと表明した。
中小出版社99社でつくる出版流通対策協議会によると、非加盟社14社を含む76社が和解案から離脱を決定。8月末に米地裁へ文書を送付した。中小出版社は専門書が多く電子化の影響が大きい。著者と合意して離脱を表明したり、自社が権利を有する書籍について離脱したりしている。
ただ全体で見れば離脱や異議は少数派だ。大手を含めた約460社の出版社で構成する日本書籍出版協会では「異議申し立てをしたり、作家に代わって和解からの離脱を表明している出版社はない」という。講談社は「著作権者の考え方を尊重する」として態度表明をしない。小学館や集英社も同様だ。
背景にはオンラインの出版ビジネスが将来、活性化すれば、出版社にとっても新たな収益の糸口ができるとの思惑があるとみられる。事実上の容認は和解案を「出版社や権利者にとってビジネスチャンス」(東京電機大学出版局の上村八潮局長)とみているからだ。
日本文芸家協会が3日までに作家ら約2900人に意思確認したところ、離脱を表明した会員は3人、異議申し立てはゼロだった。「米国の和解原告団が来日し、日本で流通している書籍をネット上での公開や販売の対象としないと明言したことで安心感が広がった」(同協会)という。
ただ和解に応じた上で削除や公開を一部に限ることを求める権利者も出ることも予想される。次の焦点は「10月7日の公聴会を経て最終的に米裁判所が和解案を承認するかどうか」(日本文芸家協会)に移る。

(2009年9月4日 日本経済新聞朝刊より)

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2.紙幣偽造防ぐ新技術 特殊な光で暗号読み取り

東大と大日本印刷 5年後めど実用化

東京大学の大津元一教授らと大日本印刷は、紙幣やクレジットカードの偽造を防ぐ新技術を開発した。立体画像が浮かび上がる従来の偽造防止技術に改良を加え、市販で手に入らない特殊な光を当てるときだけ読み出せる暗号を埋め込む。5年後をめどに実用化を目指す。
紙幣や商品券、クレジットカードの表面に張る「ホログラム」という偽造防止シールを改良した。ホログラムの表面に50ナノ(ナノは10億分の1)メートルという極めて小さな溝を刻む。この溝は「近接場光」という特殊な光を当てたときだけ暗号として読み取れるという。
近接場光で読み取る暗号は複雑で、簡単につくることはできない。光を読み取る装置は高価で小売店などが手に入れるのは難しいが、高度な偽造防止技術を使いたい金融機関などがこの装置を使えば、にせものかどうかを見破れる。
中国や東南アジアのグループによる組織的な偽造事件が後を絶たず、技術も向上している。大日本印刷は紙幣などの信頼性向上につながる技術として、政府や金融機関などに売り込む考えだ。

※近接場光(きんせつばこう)…通常の光より波長が極めて短い光。細い針やガラス繊維の先端に発生し、目に見える光のように遠くへ伝わらないが、微小な構造が調べられる。光学顕微鏡の分解能や半導体の性能を高める技術として応用が見込まれる。

(2009年9月6日 日本経済新聞朝刊より)

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3.インクジェットプリンター ウェブ画面印刷快適に キャノン 必要な部分選別

キャノンは8日、インクジェットプリンター「ピクサス」シリーズを刷新し、家庭用7機種を9月中旬に発売すると発表した。ウェブページから必要な部分を選んで印刷できる機能を採用し、不要な部分まで印刷してしまうなどのウェブページ印刷時の不便を解消する。写真や年賀状などに次ぐ新しい用途を打ち出すことで買い替えを促し、現在48%の国内シェアを50%に引き上げることを狙う。
旗艦モデルの「MP990」(オンライン価格は3万9980円)は無線LAN(構内情報通信網)機能を標準搭載し、米アップル社「iPhone(アイフォーン)」などからも無線で写真プリントできる。シリーズ最大となる3.8型のTFT液晶モニターを搭載し、操作性も向上した。
同時にA3用紙対応のビジネス用途向け「iX7000」(同3万9980円)も発売、SOHOなど小規模事業所向けに売り込む。
国内インクジェットプリンター市場は買い替えサイクルの長期化で縮小傾向にある。ウェブ印刷のしやすさなどを強調して買い替えを促す。家庭用7機種合計で月間35万台、ビジネス用は同5千台の生産を予定する。

(2009年9月9日 日本経済新聞朝刊より)

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4.女性向け広告 携帯配信 米グラムメディア 集英社・小学館サイトに

世界最大の女性向けネット広告メディア運営会社、米グラムメディアの日本法人(東京・港)は9日、携帯電話サイト向けに広告配信を始める。集英社や小学館などが運営する女性向け携帯サイトと提携。これらの広告枠をまとめて広告主に販売し、各サイトに広告を配信する。化粧品やファッション関連の企業を中心に1年で100社からの広告受注を目指す。
世界で事業展開するグラムメディアが携帯向けサービスを始めるのは日本が初めて。サービス開始時には人気雑誌「CanCan」の公式携帯サイトなど30サイトの広告枠を広告を出したい企業に販売する。従来よりも大きな広告枠をサイト内に設け、認知度の拡大に効果がある点を広告主に売り込む。
日本で携帯向け広告配信の経験を積み、世界でも展開する。
同時に自社運営の携帯サイトも開設する。提携各社のサイトとコンテンツを連動させるほか、独自コンテンツも提供する。
日本法人のグラムメディア・ジャパンは2008年10月に国内でサービスを開始。パソコン向けでは90サイトを束ね、月間205万人の女性利用者がいる。同社には電通や集英社、小学館などが出資している。

(2009年9月9日 日本経済新聞朝刊より)

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5.新作漫画をネット配信 IGポート

アニメ大手のIGポートは9月、これまで月刊誌で発表してきた新作漫画をインターネットで配信するサービスを開始する。配信で人気が出た作品を中心に、単行本やアニメ化を検討する。月刊誌は当面継続するが、販売部数減などで赤字が続いていることなどから今後は事業の主軸をネット配信に置く。
新サービスは「EDEN&ブレイドコミックアーカイブ」。漫画子会社マッグガーデン(東京・千代田)が監修する新作コミックを9月18日から「Yahoo!コミック」の無料マガジンコーナーで提供する。

(2009年9月9日 日本経済新聞朝刊より)

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6.「エレキ部門、黒字化も」凸版社長 今期、液晶向け回復

凸版印刷の足立直樹社長は日本経済新聞の取材で、「2010年3月期にエレクトロニクス部門の営業損益が黒字転換する可能性が出てきた」との見通しを明らかにした。同部門の従来予想は114億円の赤字。エコポイント制度を追い風に、液晶テレビのカラーフィルターなどの需要が回復しているためだ。
エレクトロニクス部門は前期、80億円の営業赤字だった。今期は液晶カラーフィルターが4〜9月期に黒字化、半導体フォトマスクは10〜12月期、遅くとも10年1〜3月期には黒字転換しそうだ。足立社長は「なお予断は許さないが、当初の想定以上に回復が早い」という。
液晶パネルはガラス基板の大きさで「世代」が分かれる。第8世代と呼ばれる大型パネル向けのカラーフィルターは7〜9月期にフル生産。第6世代は一部の顧客向けが低調だが、生産は回復基調だ。苦戦が続くと見込んでいたパソコンや携帯電話向けなど「中小型向けが予想外に好調」という。
エコポイント制度の効果や11年の地上デジタル放送への移行に伴う買掛需要の反動が懸念材料。一方、「中国市場はしばらく底堅い」とみている。
半導体フォトマスクは4〜6月期に回復が遅れていたが、7月以降は海外で基幹品向け中心に回復基調だ。国内は埼玉の朝霞工場に開発拠点を集約したことで利益率が向上。SDカードなど記憶媒体の高機能化も追い風となっている。

(2009年9月11日 日本経済新聞朝刊より)

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7.配送の箱・袋 再利用 東京23区でアスクル 梱包材、年1200トン削減

オフィス用品通販最大手のアスクルは、東京23区でネット注文をする企業全てを対象に、再使用可能な袋や箱を使ったエコ配送を実施する。段ボールなどの梱包材を年間1200トン削減し、二酸化炭素(CO2)排出量で年700トンの削減効果を見込む。将来は全国の当日配送が可能なエリアに広げる方針。
不織布の通い袋や折り畳みコンテナの通い箱を使う「ECO−TURN(エコターン)配送」の対象を、現在の一部企業での試行から拡大。14日からネットで受注し当日配送する23区の全企業を原則にエコターン配送に切り替える。通い袋は11倍の55万枚に増やす。
オフィス用品の配送には段ボールや紙袋、緩衝材などを多く使う。こうした包装材は開封後に廃棄される例が多い。同社の2009年5月期の資材使用量は8548トン。エコターンの対象企業を広げ、資材使用量を約14%減らす計画。資材使用量の削減でコストとCO2排出量を同時に減らす狙いだ。

(2009年9月12日 日本経済新聞朝刊より)

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8.印刷各社、包装材が下支え 食品・医療品向け堅調 高付加価値品、不可欠に

チラシや書籍・雑誌の市場が縮小するなか、包装材が印刷各社の業績を下支えしている。食品や医療品向けの需要が底堅いためで、包装材の堅調ぶりは周辺業界にも波及している。ただ、国内の包装材市場は成熟期にあるといわれ、足元では原材料価格が上昇するなど先行き楽観できない。
カップ焼きそばの湯きり用フタを量産中――。協同印刷が製造する部分開封フィルムは、明星食品など食品メーカーからの引き合いが増えている。フィルムを二重にして下の部分に穴を開け、上の部分をフタ代わりにする仕組みだ。従来のプラスチック製に比べて穴の位置や形を自由に設計でき、様々なデザインや用途に対応できる。
共同印刷の2009年4〜6月期の売上高は前年同期比4%減ったが、包装材を扱う部門は6%増えた。利益貢献も大きい。湯きりフタやチューブは多様な製品に採用されているが、「基本となる製品の方が同じで量産効果が大きい」(同社)からだ。4〜6月期の2ケタ近い増益になったもよう。
東京証券取引所に上場する3月期決算の印刷会社13社では、4〜6月期の経常利益が前年同期比で3割減少。その中で包装材の堅調ぶりは貴重だ。
「環境関連製品は逃してはいけない」。凸版印刷の足立直樹社長は意気込む。燃やしても有毒ガスの出ないフィルムを使った包装材や飲料向けの紙のカート缶が好調だ。カート缶は林野庁との共同研究から誕生したもので、今期から収益に貢献している。
凸版の4〜6月期の包装材を扱う生活環境部門の営業利益は11%増えた。エレクトロニクス部門が赤字、印刷部門は16%減益と苦戦する中、3四半期ぶりの最終黒字のけん引役となった。
包装材の堅調ぶりはインキなどにも波及。DICの場合、グラビアインキの4〜6月期の国内売上高は1〜3月期に比べ5%近く増えた。印刷用のオフセットインキは苦戦しているが、インキ事業全体では増益だ。
日本包装技術協会によると、2008年の包装材の出荷額は4年間で7%増えた。紙のパッケージは3%増、フィルムなどプラスチック製品は28%増だ。ただ、数量ベースでは紙製品が4年間で2%減、プラスチックが5%減るなど「国内市場は今後大きな伸びは期待できない」(矢野経済研究所の清水研上級研究員)。
足元では三井化学や三菱化学が合成樹脂を値上げするなど、原材料となる石油化学製品の価格が上昇。今後も印刷各社の業績を下支えするには、「高付加価値品へのシフトや海外展開が不可欠」と清水氏は指摘する。

(2009年9月15日 日本経済新聞朝刊・広井洋一郎記者の署名記事より)

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9.文教堂 ジュンク堂が筆頭株主に 業務面も提携

ジャスダック上場の文教堂グループホールディングスは14日、大手書店チェーンのジュンク堂書店(神戸市)が筆頭株主になったと発表した。ジュンク堂が文教堂前会長の嶋崎欽也氏から発行済み株式20.4%を取得し、持ち分適用会社とした。出版不況が続く中、書店チェーンの再編がさらに進みそうだ。
株式の異動に伴い、ジュンク堂は文教堂と業務面でも提携する。販売・在庫データを共有するほか、店舗の共同開発なども進める。
首都圏を中心に186店を展開する文教堂の業績は販売不振などが響き、2007年8月期から2期連続の赤字。今年3月には音響・映像ソフトレンタルのゲオや出版社など18社から第三者割当増資により総額4億円の資金支援を受けており、経営再建が急務になっている。
出版不況に伴い、書店チェーンは大手印刷会社主導で再編が始まっている。大日本印刷が08年8月に丸善を、09年3月にはジュンク堂を子会社化し、両社を経営統合する方向で動いている。
文教堂も大日本印刷グループと協力するとしており、陣営は一気に2000億円規模に拡大する。市場の縮小は避けられず、今後は最大手の紀伊国屋書店などの動向も注目されそうだ。

(2009年9月15日 日本経済新聞朝刊より)

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10.入退室など1枚のカードで

大日本印刷は17日、1枚のICカードでオフィスの入退室と駐車場ゲートの通過を管理できる入退場システムを開発したと発表した。オフィスでは壁に埋め込んだリーダーにかざす非接触型ICカードとして利用。乗車時は専用の無線車載器にICカードを装着し、ゲートに接近した際に認証を受け通過できるようにする。

(2009年9月15日 日本経済新聞朝刊より)

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11.凸版印刷 電子看板の設置事業 流通店舗向け 自動で試供品配布も

凸版印刷は28日、総合スーパー(GMS)などの店舗に電子看板装置(デジタルサイネージ)を設置する事業を始めると発表した。従来の大型ディスプレーによる商品宣伝だけでなく、試供品を配布する自動装置と一体で運営できる点が特徴という。
買い物客が非接触ICカード内臓の携帯電話、店舗が発行する会員カードなどをディスプレーに設置した装置にかざすと、試供品を入手できる。試供品を提供するメーカーは利用者を特定したうえで使用後のアンケートを携帯電話を通じて実施でき、消費者ニーズを細かく把握できるという。
食材や日用品メーカーが試供品の提供ごとにコストを負担する形となる。凸版印刷がメーカーから徴収する料金は1週間につき1店舗25万円から。標準的なGMSで、看板は1日6000人の目に触れ、400個以上の試供品が配布できるという。一方、電子看板を置く小売り側は販促対象になった店頭商品の売り上げの増加が見込める。
現在複数のGMSなどと協議を進めており、年度内に50台の設置を計画する。より小型の装置も開発し、3年後に500台程度を設置、年間50億円の売り上げを見込む。

(2009年9月29日 日本経済新聞朝刊より)

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12.出版が変わる(上)デジタル時代の到来 端末に記事「バラ売り」も

2兆円の出版市場が変わろうとしている。出版社・書店ともに深刻な不振に直面、コンテンツ(情報の内容)のデジタル化も急速に進む。M&A(合併・買収)など再編もにらんだ出版業界の動きを追う。

10月1日、雑誌記事の“バラ売り”が始まる。電車の中づり広告で気になる記事を1本10〜50円で購入。NTTドコモの携帯電話にダウンロードしてその場で読める。
仕掛けるのは広告企画会社タグボート(東京・港)。「an・an」(マガジンハウス)や「STORY」(光文社)など14誌で始め、10月中には30誌に増やす計画。検索機能もあり、「温泉」と入力すれば各誌の旅情報を一覧できる。
雑誌の販売部数(出版月報)は今年1〜6月に前年同期比8.1%減少した。1冊丸ごと買ってくれないのであれば「新しい読み方の提案が必要」。そんな業界の危機感が新手法を生んだ。
一方で出版社44社は来年1月、雑誌のデジタル化実験に乗り出す。講談社などが共同ポータルサイトを構築。12分野の30誌をパソコンで1カ月間有料配信し、課金方法や読者の反応を探る。シャープやインテルも参加して日本独自の読書端末を開発、2011年の実用化を目指す。
1996年をピークに出版市場は縮小が続く。昨秋のリーマン・ショックが追い打ちをかけて広告出稿は冷え切った。09年上半期の雑誌休刊は過去最高の119点で、今年は市場の2兆円割れが確実だ。出版社の数は08年度末に初めて4000社を下回った。
「キンドルの日本上陸はいつ?」。アマゾンジャパンの渡部一文バイスプレジデントは出版関係者から毎日のように尋ねられる。「キンドル」は全米で展開している電子書籍端末サービス。新聞や雑誌などがこぞって記事を提供している。
日本では約5年前、ソニーやパナソニックが読書用端末を投入したが、コンテンツ不足と通信環境の不備でいずれも撤退。今回は「黒船襲来ととらえるか、歓迎するかは出版社次第」(東京電機大学出版局の植村八潮局長)。デジタル化で販売機会は増えるが、アマゾンに手数料などを払う必要がある。出版社は従来のような高い利益率は望めない。
乗り越えるべき壁も多い。国内では出版、取次、印刷など各社の力関係が複雑で、原稿データが出版社にないこともある。国内外どこの端末でも書籍のデータをダウンロードできる互換性も不可欠。アマゾンの渡部氏は「日本での事業は未定。道のりは遠い」という。より多くの読者を取り込まなければ電子書籍市場は立ち上がらない。
デジタルとうまく付き合う例もある。
今年4月の新学期。ある国立大学の教授が数学の授業で学生に指定したのは「プリント・オン・デマンド(POD)」による教科書だった。請け負ったのは大日本印刷。通常の書籍の採算ラインは500部。この教授の依頼部数は70部で、普通なら絶版の対象だ。
電子データで製本するPODなら低コストで専門書などの少数部数を出版でき、10分の1の部数でも採算がとれる。
グーテンベルクが15世紀に発明した活版印刷術は書籍の大量流通時代をひらいた。デジタル技術は伝統的な流通の仕組みを揺さぶりつつ、本の可能性を広げていく。

(2009年9月29日 日本経済新聞朝刊より)

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13.出版が変わる(下)縮む書店 再編の波 提案力と「脱・返本」カギ

全国で900点超を運営する日本最大の中古書店ブックオフコーポレーションが11月中旬、名古屋市内に同社初の新刊書店を出す。「読者の選択肢を広げたい。中古と新刊は共存できる」。佐藤弘志社長は主張する。
「中古本は著作権料を払っていない」「新刊本が売れない」。出版業界はブックオフを長らく敵対視してきた。しかし今年5月に大日本印刷や講談社などが合計28.9%を出資し、風向きは一気に変わった。
丸善、ジュンク堂書店を子会社化した大日本は、ブックオフも自社陣営に引き入れて販路を拡大。本来、印刷会社は「黒子」だが、大日本は書店と資本・業務提携して国内出版物販売額の1割を占めるグループを形成した。今後は傘下企業と販売・在庫データの共有化や店舗開発、人材の研修で協力していく。
凸版印刷も紀伊国屋書店と提携した。こうした再編の背景には全国で2万店以上あった書店数が09年までに2割減る深刻な出版不況がある。
「クスッと笑う」「わたしにやさしくなる」――。JR東京駅前の丸善・丸の内本店には様々な書棚コーナーがある。いずれも店員が考えた「こんな時に読む本」だ。壱岐直也店長も一日の半分は店頭を回り、顧客観察に費やす。目指すのは「提案型書店」である。
「マーケティングは小売業の基本。書店にはそれがなかった」。経済産業省から産業再生機構や旧カネボウ社長を経て、丸善社長に転じた小城武彦社長は言う。
書店の力を弱めた一つが委託販売制度。取次が配本した本は売れなくても無償返品できる。売れた場合の利益率も書籍価格の22〜23%と低い。また取次が品ぞろえを決めて配本するため書店にはバイヤーがいない。
一日200点以上の新刊が発行され、その4割が出版社に返送される。「段ボール箱を開けずに返す場合もある」(書店幹部)。過去に機能していた仕組みも供給過剰状態では、消費者が読みたい本を店頭で手にし、書店も利益を享受できるシステムとは言い難い。
改革の動きはある。講談社は「責任販売制」「時限再販制」を導入する。当初の書店のマージンは35%。一定期間を過ぎたら自由に値付けができる。10月出版のCD付き「まんが日本昔ばなし(5巻セット)」が第1号となる。今後、他の出版社でも同様の取組みが増える可能性がある。
ドイツには2〜3年かけて書店の専門店員を育てる制度がある。本の品ぞろえには個性があり、価格も店が決める。米グーグルが数百万冊の書籍を電子化する構想を進めており、ネット通販の勢いも増す。出版、取次、書店に残された時間はそう多くない。

(2009年9月30日 日本経済新聞朝刊より)

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14.大日本印刷 丸善とTRC統合 ジュンク堂の合流も検討

大日本印刷は29日、書店大手の丸善と、図書館向け書籍販売の図書館流通センター(TRC、東京・文京)の子会社2社の経営統合を決議したと発表した。2010年2月1日付で大日本の傘下に中間持ち株会社「CHIグループ」を設立して丸善とTRCを経営統合する。大日本子会社のジュンク堂書店についても3年以内に統合会社に合流するかどうかを決める。
大日本はCHIグループに52.3%を出資し、ITを活用した書籍流通の効率化や大学・図書館向け商材の共同開発などを進める。丸善(09年1月期)とTRC(09年3月期)の売上高の単純合計は1293億円で、書店最大手の紀伊国屋書店(08年8月期、1198億円)を上回る。
大日本が3月に子会社化したジュンク堂書店も業務提携に加わるが、今回は経営統合への参加を見送った。
書店経営は厳しさを増している。丸善とジュンク堂は店舗経営などで協業するが、店舗の統廃合には踏み込まない考え。
丸善とTRCの経営統合は両社がそれぞれ11月25日に開く臨時株主総会に諮る。承認を得られれば、東証1部上場の丸善は10年1月末に上場を廃止し、新会社は2月の上場を目指す。新会社の社長には丸善の小城武彦社長が就任する予定。

(2009年9月30日 日本経済新聞朝刊より)

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15.大日本印刷 消費調査会社を傘下に NTTデータ系 販促物営業に活用

大日本印刷は1日、食品の消費動向調査を手掛けるNTTデータ・ライフスケープマーケティング(東京・千代田)を同日付で子会社化したと発表した。既に19%を出資しているが、60%を出資する親会社のNTTデータから株式を追加取得。出資比率を50.7%に高めて経営権を取得した。社名もライフスケープマーケティングに改めた。
大日本はライフスケープが集計する売れ行きデータを活用し、食品メーカーの販売促進や商品開発を支援する。売れ筋情報を基に、チラシの配布や店頭販促(POP)の設置をメーカーに提案。印刷やPOP制作の受注に結びつける。商品開発では調査データを提供してメーカーの商品企画に参画。新たな機能を備えた食品包装材などを提案していく。
ライフスケープは360世帯を対象に消費した食品や食材を調査している。調査協力者にバーコード読み取り機を配り、調理時に外箱のバーコードを読み取ってもらうことで消費動向をリアルタイムに把握する。

(2009年10月2日 日本経済新聞朝刊より)

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16.英有力夕刊紙が無料化 部数を2倍に 広告価値高める狙い

ロンドン唯一の有料夕刊紙「イブニング・スタンダード」が12日から無料紙に移行する。1部50ペンス(約70円)と低価格を売りにしてきたが、無料紙競争のあおりを受けていた。英国では景気低迷で広告市場が縮小、一部無料紙が廃刊に追い込まれるなど発行体制の見直しが相次いでいる。
「イブニング・スタンダード」は無料化に伴い、発行部数を現在の25万部から2倍強の60万部に引き上げる。部数増加で広告媒体としての魅力を高める。同紙は今年1月にロシアの富豪レベジェフ氏に買収されており、同氏は2日に「イブニング・スタンダードは無料になる初の高級紙であり、他紙も追随するだろう」と述べた。

(2009年10月3日 日本経済新聞朝刊より)

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17.富士ゼロックス 印刷業務の受託強化 営業要員3倍の150人に

富士ゼロックスは印刷関連アウトソーシング事業で、営業要員を約150人と従来の3倍に増員した。複写機などの管理・運用を受託して発注企業のコストを下げるもので、並行して社長や役員によるトップ営業も強化する。景気悪化で機器販売は伸び悩んでおり、顧客企業が印刷関連業務の外注で本業に集中できる利点も訴え、案件開拓を急ぐ。
同社では約50人のアウトソーシング事業の専門営業要員が企業の印刷関連環境の分析や設置機器の機種や台数の最適化、故障対応などに当たってきた。世界的な景気後退の影響で顧客の印刷関連コスト削減の要望が強まったことから、主に大企業に機器を販売する営業要員約100人を教育してアウトソーシングを提案できるようにした。
さらに同事業担当以外の役員や社長が顧客の経営陣に対して、アウトソーシングによるコスト削減や関連業務の労力低減による生産性向上といった利点を訴えるトップ営業にも力を注ぐ。
企業内で文書の印刷や機器の管理にかかるコストは売上高の1〜3%を占め、欧米を中心に外部委託に乗り出す企業が増えている。印刷関連のアウトソーシングサービスの世界市場規模は2008年に約50億ドルとされ、年15%程度の伸びが見込まれている。

(2009年10月3日 日本経済新聞朝刊より)

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華陽紙業株式会社
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