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日本製紙連合会が20日発表した10月の紙・板紙の国内出荷は、前年同月比5.1%減の229万8000トンとなった。13カ月連続で前年実績を割り込んだ。マイナス幅はこれまでの2ケタ台から12カ月ぶりに1ケタ台に縮小した。だが、1年前から需要が減退しており、出荷量は低調な状況が続いている。 |
日本製紙株式会社 専務取締役 洋紙営業本部長 野口文博様の
中部洋紙商連合会総会のご講演資料より |
出典:RISI、08と09年上半期の数値のみ各国統計より
- 世界同時不況で主要国生産は大幅に減少
- 中国のみ前年比増で08年で米国を抜いて世界一へ(79.8百万トン)。09年に入り更に差が開いている。
- 欧州の雄フィンランドは09年1−6月前年比▲27.5%の大幅減。
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PPI 2009年9月号より作成 ※APP生産量は会社概要より抜粋
- IPの事業買収を除けばAPPの生産量の伸びが際立って高い。次いでSCA。
- 利益は、上位10社の大半が赤字の中、SCAとMondiのみが黒字。
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急激な円高・ドル安を受け、国内の素材市場に需給緩和圧力が強まってきた。鉄鋼や石油化学製品は輸出採算が悪化し、輸出を手控える企業が増えそうだ。紙では割安な輸入品が国内需給をさらに緩和させる見通し。自動車や家電など需要家の輸出鈍化で国内出荷が減るリスクもあり、外需に依存した需給調整は難しくなってきた。
(中略)
印刷用紙は主力の塗工紙の9月の輸入量が前年同月の2.4倍。国内市場に占める輸入品のシェアは14〜15%に達した。「輸入紙は今後も国内市場で定着する」(代理店)。
(後略) |
王子製紙は昨年秋に中断した中国の紙パルプ一環工場の主要設備の建設を再開する。製紙原料のパルプの生産設備が対象で、中国の需要回復が鮮明になったことから計画の凍結を解除する。新工場の総投資額は20億ドル(約1730億円)で、日本企業が単独で中国につくる1つの工場向けで最大級。国内の需要が伸び悩むなか、現地の生産体制を整え、成長市場の中国でシェア拡大を狙う。
新工場は中国東部の江蘇省南通市に立地。パルプと紙の一貫生産によるコスト競争力が特長で、まず年産能力40万トンの製紙設備を開設し、その後同70万トンのパルプの生産設備をつくる。製紙設備は2007年11月に着工後、現在も工事を進めており、予定通り11年初めから営業運転を始める。
パルプ生産設備は木材のチップを化学処理で溶解してパルプを生産するラインで、中国の製紙業界では王子の設備が最大の規模となる。当初は09年初めに着工する予定だったが、リーマン・ショックで計画を一時凍結していた。需要回復を受け年内に設備を発注し、10年初めにも着工。当初予定から1年遅れの13年に稼動する。
製紙設備とパルプ設備を合わせた投資額は約14億ドル。さらに第3期工事として製紙設備の2号機をつくり、紙の年産能力を倍増する計画で、2号機を合わせた総投資額は約20億ドルに上る。製紙の2号機ができるまでは、パルプの余剰分を外販することも検討する。2号機の着工時期は未定。
同工場では主に高級印刷用紙を生産。すでに現地に販売会社を開設し、日本で生産した紙を輸出して試験販売を始めている。まずは中国でシェア1割の確保を目指す。
アジアや国内の需要回復を受け、製紙業界以外でも中断していた工場建設を再開する動きが出てきた。ただ国内需要を当て込んだ投資の場合、景気が二番底に陥る懸念も強く、計画通りに進むか不透明との見方もある。 |
製紙業界、海外進出が本格化 国内頭打ち、成長へ活路 |
内需中心だった製紙業界の海外進出が本格化している。王子の新工場は日本の製紙会社では中国で初となる大規模工場。国内需要の頭打ちを受け、成長機会を海外に求める。
紙と段ボール原料を合わせた国内の製紙需要は2000年をピークに減少し続けている。昨秋以降は企業のチラシ需要が激減。割安な輸入紙の流入も進み、製紙各社は販売数量減に苦しむ。
一方、中国の08年の紙と段ボール原料の生産量は前年比8.6%増の7980万トン。日本の2.6倍の規模だ。世界的な景気悪化で2ケタ成長は止まったが、08年に米国の7949万トンを抜き世界1位となった。特に出版物やチラシに使われる印刷用紙の需要が増えており、王子はここでのシェア奪取を目指す。
国内製紙2位の日本製紙グループ本社は6月に豪州の製紙大手オーストラリアンペーパーを買収。豪州でのシェア獲得とともに、アジア・オセアニア圏での将来的な輸出拡大を狙う。
各社とも国内で培った品質や生産管理の強みを生かし海外の顧客開拓を進める考え。ただ、中国などでは工場の増設も相次いでおり、将来的に供給過剰に陥る懸念もある。 |
5.製紙大手3社コスト削減 96億円積み増し 今期、国内需要底ばいで |
製紙大手3社の2010年3月期のコスト削減額は期初計画より計96億円増える見通しだ。3社そろって経常利益予想を期初計画から上方修正した。国内の紙の需要は底ばいが続いており、各社は一段のコスト削減を進める。
王子製紙は今期の経常利益予想を100億円上方修正。修繕費や労務費の圧縮によるコスト削減額は期初計画を64億円上回る234億円を見込む。販売数量や持ち分法投資損益は悪化するが、原燃料価格の低下も収益に寄与する。
日本製紙グループ本社も経常利益予想を60億円上方修正。修繕費や残業代の圧縮でコスト削減額を期初の185億円から12億円積み増した。原燃料価格の下落のほか、6月に買収したオーストラリアン・ペーパーも10億円程度の利益押し上げ要因になる。
大王製紙も期初に65億円だったコスト削減額を85億円に上積みした。今期の経常利益は期初予想を20億円上回る130億円を見込んでおり、削減額がそのまま寄与する格好だ。今期末に川之江工場(愛媛県四国中央市)の抄紙機2台を停止し、生産効率の良い三島工場(同)に移管、さらなるコスト削減を進める。 |
社名 |
経常利益 |
コスト削減額 |
期初時点 |
現時点 |
王子紙 |
500(74) |
170 |
234 |
日本紙 |
300(67) |
185 |
197 |
大王紙 |
130(20) |
65 |
85 |
6.素材、在庫再び減少 主要15品目10月末 セメントなど14品目 |
鋼材や合成樹脂など素材の在庫が再び減少に転じた。10月末の主要15品目のうち前年同月比で減少したのは14品目に上る。需要不振を背景にメーカーが減産に踏み込んでいるのが主因で、在庫の余剰感も薄れつつある。ただ、ポリエチレンなど一部品目を除いて需要に力強さが乏しいことからメーカーの在庫調整の手綱は当面ゆるめられそうにない。(後略) |
(注)単位%。小形棒鋼、薄鋼板、H形鋼、印刷用紙はメーカー・流通在庫の合計。ステンレス鋼板、古紙は流通在庫。その他はメーカー在庫。▲はマイナス。11月末は日経推定。 |
大手製紙各社が雑誌やチラシに使う印刷用紙の輸出を増やしている。昨秋以降、半減していたが、10月は主力のコート紙の輸出量が前年同月比28%増の6万7600トンと、単月で過去最高となった。中国需要の盛り上がりで香港や東南アジアで価格が上昇。国内需要の不振が続くなか、外需により操業を維持する狙い。
10月の各社の輸出量は日本製紙が前年同月比1割増の3万3500トン、王子製紙は2万トンと、今春の3倍に増えた。北越製紙は1万1000トンと前年同月の2倍に拡大した。
輸出先は香港や韓国、東南アジア、オーストラリアが中心。アジアでは印刷用紙の価格が一時、3割以上急落したが、春から上昇に転じている。指標となる香港市場の上質コート紙は1トン750〜800ドルと、春までの安値に比べ100ドル以上高い。
10月の国内出荷は印刷・情報用紙が前年同月比11%減と、15カ月連続で前年実績を割り込んだ。「国内での販売不振を補う意味でも輸出が重要になっている」(北越製紙)という。ただ、現在の輸出価格は「採算的に非常に厳しい」(日本製紙)といい、円高の進行で輸出量が減る可能性もある。 |
8.【株式往来】環境関連の上昇目立つ 紙・パルプは売られる |
(前略)
半面、パルプ・紙は業種別日経平均で2%下げ、下落率は最大だった。日本紙は一時3%、王子紙は2%それぞれ下落。原燃料を輸入しているため円安への反転は調達コストの増加につながる。「政府・日銀の円高対策が進めば、株価の下げが鮮明になる」(立花証券の平野憲一執行役員)との警戒感も出ていた。 |
王子製紙は10日、段ボール原紙の中堅メーカー岡山製紙の筆頭株主になったと発表した。岡山製紙の発行済み株式の32.4%を糖質原料製造の林原(岡山市)などから同日付で譲り受けた。取得金額は計13億6100万円。王子製紙はグループの工場がない中国地域で段ボール事業の基盤強化を狙う。
王子製紙は、林原が保有する岡山製紙株19.7%のすべてと、林原グループの不動産管理会社、太陽殖産(岡山市)が持つ16.7%のうち12.7%を取得した。
岡山製紙は段ボール原紙の生産能力シェアで国内14位。本社工場の年産能力は9万7000トンで、09年5月期の売上高は89億円。
王子製紙は段ボール原紙のシェアで国内首位の王子板紙(東京・中央)を傘下に持っているが、中国地域には工場がなかった。
段ボール原紙2位のレンゴーや同3位の日本大昭和板紙(東京・千代田)との競争が激化するなか、岡山製紙との連携で製造・販売の効率化を進める。 |
2.【人こと】自動車や電機、需要回復目立つ レンゴー・大坪社長 |
「自動車や電機関連の需要回復が目立つ」。レンゴーの大坪清社長は段ボールの国内需要についてこう語る。「エコ減税」が効いたほか、米ゼネラル・モーターズの業績好転などで「自動車部品の輸出が動きだした」。「多少の浮き沈みはあるが、今後も回復基調が続く」と話し、景気の二番底リスクには否定的だ。
今期の連結営業利益は過去最高の予想だが、「さらに上振れしそうだ」と自信をのぞかせる。派遣社員の正社員化などで生産性が向上し、コスト削減が想定より進んでいるからだ。ただ国内の段ボール市場に大きな成長は期待できない。今後は「海外展開や樹脂製包材などに力を入れる」と気を引き締める。 |
1.丸紅 インドにパルプ輸出 来夏から、年4〜5万トン |
丸紅は2010年7月からインドへのパルプ輸出を始める。インドネシアの自社工場で1割増産し、同国に年4万〜5万トンの出荷を目指す。同社は既に中国などに輸出しているが、所得水準が向上し紙の消費量が伸びるインドでも需要を掘り起こし、新興国市場の開拓に弾みをつける。
インドの製紙企業に出荷する。インドネシア工場の生産能力は現在の年約50万トンから55万トン体制に拡大する。「原料を調達できれば新たな設備投資がなくても増産できる」(桑原道夫副社長)といい、5万トンで2500万ドル(約22億円)程度の売り上げを見込む。
08年度のインドの紙・板紙の生産量は前年比3.6%増の651万トン。同国の現在の1人当たりの紙の消費量は年8キログラムで中国の15%にすぎない。中国では5年で消費量が倍増した。インドでも個人消費の拡大とともに需要が急増するとの潜在性に着目、同国へのパルプ輸出を決めた。 |
1.古紙輸出価格が上昇 12月 新聞・雑誌は2カ月連続 |
製紙原料となる古紙の輸出価格は新聞古紙、雑誌古紙が2カ月連続で上昇した。指標となる関東製紙原料直納商工組合(東京・台東)の12月積み価格は、中国で白板紙などに使われる新聞古紙が前月積みに比べ0.33円高の1キロ13.13円。雑誌古紙が0.3円高の12.13円となった。中国で国内需要の白板紙の原料として、引き合いが強かった。 |
イムラ封筒が4日発表した2009年2〜10月期連結決算は、最終損益が3億3700万円の黒字(前年同期は2億7000万円の赤字)だった。人件費抑制や物流効率化などによるコスト削減が利益水準を押し上げた。定額給付金や衆議院選挙に伴う夏場までの特需も追い風となった。 |
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