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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 63 新入社員様向け紙の基礎知識⑤

「新入社員の皆様、こんにちは。お仕事には慣れましたか?」
「若手社員の皆様、お疲れ様です。そろそろ後輩社員様も独り立ちの時期でしょうか?」
「でも慣れた時が一番ミスが出やすいんですよね。」
「というわけで、今回は新入社員の時にありがちなミスを見返してみました。」

1.紙の名前を間違える

「よくあるミスをいくつか挙げると、

①『OKコートNエコグリーン』と『OKコートLエコグリーン』を間違える。
②『OKトップコート+』と『OKトップコートマットN』を間違える。
③『OKトップコート+』と『OKコートL』を間違える。
④『ユトリトグロスマット』と『ユトリログロスマットナチュラル(ユトリログロスマットN)』を間違える。

などがあります。」
「①はともかく、②③④は『そんなの間違えるの?』という感じですよね。でも・・・」
「②③④は『うっかり省略しちゃったら違う商品が届いた』という実例です。実際のやり取りとしては

という風に、全部何かしら数文字、あるいはたった一文字を省略してしまったために、欲しいのとは違う商品が届いてしまったミスです。」
「『N』は要注意ですよね。いろいろな紙の名前に慣れてくると、『N』を省略しても大丈夫な紙の名前がいくつもあるのに気が付きます。でもその感覚で省略しちゃうと、④のように全く違う紙が届くこともあるので、『紙の名前は正確に』が基本です。」
「まさに『慣れてきた時が怖い』の一つかもしれませんね。」

2.連量を間違える

「基礎知識②で、覚えておくと便利な連量表を掲載しましたが、ここにお気づきになった方、いらっしゃいますか?

このように、一つの商品の中に、寸法も厚さも違うのに連量は一緒、というものがある場合があります。」
「例えばこの上質コートで『57.5kg』と言ったらA判のことなんだな、と分かりますが、『43.5kg』の場合は、菊判なのかA判なのかを正しく伝えないと希望の商品が届かない場合があります。新入社員の時にうっかりしやすいポイントの一つとしてご記憶下さい。」

3.寸法を間違える

「例えばA4の冊子を作る時、表紙はどんな寸法で作るでしょうか?」
「『A3』と答えたあなたは、半分正解。ある程度厚みがある冊子の場合は、背の寸法を考慮する必要があります。例えば冊子自体の厚さが10ミリだとすると、必要となる表紙の長さは背表紙分の10ミリ+αを加えた長さが必要になります。」
「本文自体のサイズにも注意が必要です。JISA4の印刷物を作るのにJISA4の紙を手配した場合、仕上げの断ち落としができなかったり、印刷内容によっては印刷自体ができなかったりする場合があるので、JISA4(210㎜X297㎜)より一回り大きいA判8切(219㎜X311㎜等)で手配する場合が多いです。」
「もっともお使いのプリンターやお仕事内容によってはJISA4で手配する場合もありますので、お仕事や機械に合った用紙サイズでお考え下さいね。」

4.厚さを間違える

「厚さについて勘違いしやすい話をもう一つ。例えば、1枚が0.1㎜の紙を100枚重ねた厚さは何㎜でしょうか?」
「0.1X100だから10㎜?実は正解は『紙によって違う』です。」
「紙には(どんなに平滑に見えても)凹凸があります。この凹凸が重ねた時に相殺されてしまうため、1枚の紙厚を100倍したものより、100枚重ねた時の方が束の厚さは薄くなってしまうのです。」
「出来上がった本の厚さが売れ行きに影響を与えてしまうような場合、厳密な数字が要求されることもあります。1枚あたりの紙厚を計ってそれをページ数分掛けて、といった計算では実際と合わない場合がありますので御注意下さい。」

5.色を間違える

「色の間違いも良くあるミスの一つです。」
「そうですね。よく聞くものとしては、

・『うすクリーム』と『クリーム』が違う色だと知らず、『うすクリーム』が必要なのに『クリーム』を注文してしまった。
・『色上質のピンク』と注文したら、ピンク系の色が4色あって、どれかと聞き返された。
・『橙色』と注文したら『サーモン』が届けられたが、欲しいのは『オレンジ』だった。

などでしょうか。」
「ただ品種によっては、正式名称は『うすクリーム』なのに普通は『クリーム』で通じる、というものもあります。」
「分からなくなっちゃったら、気軽に紙屋さんに相談して下さいね!」

「ほかにも間違えやすい点はいくつかありますので御注意下さい。例えば、新人時代のシートくんが間違えた目なりとか、同じくシートくんが間違えた取り都合とか・・・」
「先輩しつこいです。でも、間違いのいくつかは『知らなかった』せいでもありますから、これから知識を増やしていけば防げるものもありますよね。」
「そうですね。というわけで、次回は紙の品種についてもう少し詳しくお話しさせて頂ければと思います。・・・知らなかったと言えばね。」
「はい?」
「昔、新人の頃に、本州製紙の『マルエスカラーオー』っていう商品があったんだけど、その商品名を知らなくて。『カラーオー』の部分が『カラーアオ』って聞こえて『色上質の青ですか?』って質問して爆笑されたことがあるよ。」
「先輩、それ前にも聞きました。先輩の失敗ネタの鉄板ですよね。・・・そして、僕、その話を聞くたびに、本州製紙さんが合併して『本州製紙』って名前が無くなったのって確か○○年前だよなーって思うんですよね・・・・・・」
「今回もお読み頂き有難うございました!ではまた次回!!」

(初掲載:2017年6月10日、加筆修正:2019年12月11日)

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