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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 64 新入社員様基礎編⑥上質紙

「新入社員の皆様、こんにちは。次第に夏めいてきましたが、体調はいかがですか?」
「若手社員の皆様、こんにちは。後輩さんに気を配るだけじゃなく、ご自分の身体のことも気をつけて下さいね。」
「夏と言えば素麺ですよね、先輩。」
「唐突な上に偏ってるね・・・」
「でも日本人ならやっぱり白いご飯!」
「人の言うこと聞いてない!その上さらに強い決めつけ!良いの、これ?どっかからクレーム来ない?」
「今日はそんな白いご飯みたいな紙のお話です。」
「あ、そこにつなげたかったんだ・・・・・・」

1.紙の分類

「新入社員様向け紙の基礎知識①で紙の種類の表を御紹介しました。」


「うわ!印刷・情報用紙だけでこんなにあるの?!ってうんざりしないで下さいね。」
「まずは基本的な分類についてのご説明からです。」

2.非塗工紙と塗工紙

「『印刷・情報用紙』は主に印刷用途に使われる『印刷用紙』と、主に情報機器の出力やプリンターに使われる『情報用紙』に分かれています。この『印刷用紙』がさらに『非塗工印刷用紙』『微塗工印刷用紙』『塗工印刷用紙』『特殊印刷用紙』に分かれているんですが、その違いはざっくり言うと『すっぴんかお化粧しているか』です。」
「シートくんの説明はざっくりし過ぎなのでちょっと補足です。紙がパルプから出来あがっているのは皆さんもうご存知だと思いますが、このパルプから抄き上げただけの紙に、印刷効果を上げたり用途の適性を高めたりするためのさまざまな加工が施されます。『塗工』もその一つ。紙の表面の平滑性を高めると同時に印刷インキの定着を高める効果もある素材を塗る加工で、塗られているものを『塗工印刷用紙』、塗られていないものを『非塗工印刷用紙』と分類しています。」
「『微塗工印刷用紙』はちょっとだけ塗ってあるもの、だから『薄化粧』ってことですよね。で、『すっぴん』の非塗工印刷用紙は白色度、つまり『肌の白さの違い』で上級、中級、下級、と分かれていて、その上級印刷紙の『印刷用紙A』に属しているのが、『上質紙』、というわけです。」

3.上質紙

「紙の品目分類の定義によると、印刷用紙Aはこんな風に説明されています。」

印刷用紙A 白色度75%程度以上。汎用性に富み、書籍、教科書、ポスター、商業印刷、一般印刷などに使用されるもの。

(経済産業省「パルプ、紙、板紙月報記入要領」紙月報品目分類表より)

「ちょっと前までは『晒化学パルプ100%』って定義されていましたけど、変わったんですよね。」
「一般に、原料に古紙が含まれていないものを『上質紙』、古紙が含まれているものを『再生上質紙』と呼んでいます。」
「白くて、なめらかで、使い勝手が良くて、いろいろな用途に対応できる。まさに『印刷用紙業界の白いご飯』という称号にふさわしい!と僕は思うんですけど。」
「シートくんの感想はさておき、高品質で汎用性が高い上質紙は、さまざまな品種が増えた今でも、印刷用紙の代表的な品種の一つとされています。」

4.各メーカーの上質紙

「そんな上質紙ですから、各主要メーカーがそれぞれ独自に上質紙の銘柄を生産しています。」

「一見どこの上質紙も似通っているようですが、蛍光染料の使用の有無や色の違い、規格の違い、つかやコシの違いなどそれぞれに特徴がありますので、お仕事や機械に合ったものを選んで使うのも良いかもしれません。」

「『上質紙みたいな人』ってほめ言葉ですよね?」
「高品質でいろいろな用途に使えて・・・確かにほめ言葉かもしれないね。」
「この前パレット先輩に言われたんです。頼まれたお使いして帰ったら、『有難う。シートくんは本当に上質紙みたいな人ね。』って。」
「ああ、うん、それ多分ニュアンスが違う・・・そして、ちょっと上質紙に失礼・・・・・・」
「え?」

(初掲載:2017年7月10日、加筆修正:2019年12月11日)

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