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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 65 新入社員様基礎編⑦書籍用紙

「新入社員の皆様、こんにちは。毎日かき氷、食べてますか?」
「若手社員の皆様、こんにちは。シートくんの言葉に深い意味はありませんから、気にしないで下さいね。」
「先輩はイチゴ派ですか?ブルーハワイ派ですか?」
「その二つしか選択肢がない時点で間違ってるよね。」
「ちなみに僕は抹茶・小倉・練乳・ソフト派です。」
「ああ、うん、そうなんだ・・・」
「僕、書籍用紙を見るといつも、練乳食べたくなるんですよね。」
「だから話題のつなげ方が強引なんだってば!」

1.書籍用紙は「その他」のひとつ

「『書籍用紙』は非塗工紙。上級印刷紙の中の『その他印刷用紙』のひとつに分類されています。」

「上質紙の時と同じように、紙の品目分類の定義から抜粋すると、

その他印刷用紙 書籍用紙、辞典用紙、地図用紙、クリーム書籍用紙などいずれもその目的に応じて製造された印刷用紙。

(経済産業省「パルプ、紙、板紙月報記入要領」紙月報品目分類表より)

 定義上は、白色度が高い非塗工の上級印刷用紙のうち、汎用性が高いのが『印刷用紙A』、用途に応じて作られたものが『その他印刷用紙』ということになります。」
「ただ、現在の生産量から考えると、『印刷用紙A』はほぼ『上質紙』のことですし、『その他印刷用紙』も大部分が『書籍用紙』となりますね。」

2.書籍用紙の特徴

「書籍用紙はそのものズバリ、書籍、つまり本とか参考書なんかの本文に使われる用紙ですから、

・長時間読んでいても疲れにくい、目に優しい色合い
・ページがめくりやすく、開きやすいしなやかさ、柔らかさ
・持ち運びやすく、扱いやすい軽さ

といった特徴が必要とされます。また、書籍という商品の原材料として考えると、

・色、連量や厚さ、寸法といった規格の安定性(ロット内でブレが無い。ロット間のブレも極力少ない方が好ましい。)
・不透明度が高い(裏の印刷が透けない)
・インキの乾きが早い
・印刷再現性が高い

という特性も必要とされていますね。この『目に優しい』『裏移りしにくい』などの理由から、書籍用紙はクリームがかった色をしていることが多いです。勿論、メーカーや銘柄によって、白みを追求したものから濃いクリーム色のもの、オレンジがかったものなど、色合いはさまざまですが。」
「白いものからキャラメル色のものまで。やっぱり練乳ですね。」
「・・・・・・」

3.書籍用紙は非塗工?塗工?

「『そう言えば、以前に比べて、本ってずいぶん軽くなったよね』とお感じの皆様。その理由の一つは、紙にあります。」
「最近の書籍用の紙のトレンドは『嵩高』。従来の紙より軽いのに、従来の紙と同じ厚さ、嵩が出る紙が各メーカーから発売されています。軽くて持ち運びしやすく、厚さがあるから高級感が維持されているのに、軽量化でコストダウンできるというメリットがアピールされています。」
「もう一つのトレンドは『微塗工』ですよね。書籍の本文にある写真などの印刷再現性を高めると同時に作業適性が向上するというので、書籍用途の紙の新製品の多くが『嵩高微塗工』となっています。」
「こうなってくると、『書籍用紙は塗工してあるの?塗工してないの?』と混乱される方もあるかと思います。紙の統計上の分類としての『書籍用紙』は『非塗工印刷用紙』の中に入っていますが、実際に書籍用途として販売されている紙、あるいは書籍に使われている紙には、非塗工のものもあれば塗工されているものもありますので、用途や印刷内容などによって使い分けて頂ければと思います。」

「考えてみると、書籍用紙って随分変化してるんですね。嵩高になったり、微塗工が多くなったり。」
「色味もね。より読みやすく、より印刷が綺麗に、より持ち運びしやすく。デジタル化で需要は減っても、その時代のニーズをつかんで進化していってる部分も確かにあるってことだよね。」
「僕も進化しないと!とりあえず今年はピーチティー味に挑戦してみます。」
「いや、かき氷の話じゃなくて。」
「じゃあハツシモだけじゃなくて飛騨コシヒカリにも挑戦・・・」
「コメの話でもない!」

(初掲載:2017年8月10日、加筆修正:2019年12月11日)

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