Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 85 まずは新聞から

【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 85 まずは新聞から

 春、4月。シートくんとロール先輩にも新しい後輩ができました。
 新入社員研修が始まって間もないある日。新入社員の一人、コマキさんが、難しい顔をしてスマホの画面をにらんでいます。
「どうしたの?」
「あ、シート先輩。・・・紙のことを知りたいと思ってブック部長にお尋ねしたら、『まずは新聞を読みなさい』って言われたんです。でも、上手な検索の方法が分からなくて。『紙』で検索すると、紙屋さんとか業界団体?のサイトが出てくるし、『紙 ニュース』だと逆に、新旧取り混ぜていろいろヒットしてしまって・・・」
「情報が多すぎて、どう読んでいいか分からないってこと?」
「それもあります。それから、書いてある内容がよく分からなくて、とにかく読んだだけで終わってしまっている部分もあります。」
 身についた気がしない、と肩を落とすコマキさんを、シートくんが励まします。
「読み続ければ分かってくることもあるけど、基礎知識があった方が早く理解できるよね。じゃあ、ニュースを読むための紙関連の基礎知識をまとめておこうか。」

1.紙業界の仕組み

「まずは国内の紙業界の仕組みというか、紙という製品がどういう流れで流通しているか、かな。」
「メーカーさんが造って印刷会社さんに届く、じゃないんですか?」
「そのルートもあるし、間に問屋さんが絡むこともある。図で説明すると

こんな感じ。印刷用紙だと問屋さんを経由する場合が一番多いけど、直接販売もあるし、事務機屋さんや文具屋さんが絡む場合、輸入紙の場合、ネット通販の場合、とか、また別のルートもある。」
「じゃあ、『紙』で検索すると出てくるいろいろな会社は、この図のどこかに所属している、ということですか?」
「そうとは言い切れないけど、例えば、王子ホールディングスや日本製紙は『製紙メーカー』で、日本紙パルプ商事は『代理店』、それから、『日本製紙連合会』は主に製紙メーカーが所属する業界団体で、『日本洋紙板紙卸商業組合』は二次卸の府県商が所属する業界団体だね。」
「『代理店』と『府県商』はどちらも紙問屋さんですよね?」
「大きい問屋の『代理店』がメーカーから紙を仕入れて『府県商』に卸し、それを地域密着型の『府県商』が小ロットに分けたり加工したりして印刷会社やユーザーに届けるイメージだね。でも、府県商でも代理店と変わらない規模や範囲で取引されている会社もあるし、ネット通販も含めてルートも固定じゃないから、あくまで原則は、と考えると良いと思うよ。」

2.紙関連の用語

「それから、ニュースに出てくる用語で紙に関係しているものはこんな感じ。」

原燃料関連
パルプ 紙の原料となる繊維。針葉樹が原料の『N‐BKP』、広葉樹が原料の『L‐BKP』などがある。北米産N‐BKPの輸入価格が、紙の原料パルプの価格指標として用いられる。
C重油 原油の一種で、製紙メーカーではボイラー燃料として用いられる。
カセイソーダ 木材チップの蒸解(チップを煮て繊維をバラバラにする)や紙おむつの吸水性樹脂の製造などに使われる薬品。
古紙 使用済みの印刷物や段ボール箱など紙製品を回収したもの。洗浄・分解されてパルプに戻り、再び紙の原料として用いられる。
紙の種類など
印刷用紙 書籍やカタログ、チラシなど、印刷用途に用いられる紙。
情報用紙 コピー用紙や伝票用紙など。
包装資材 包装紙や段ボール、化粧品や医薬品の箱となる白板紙など、包装用途に使われるもの。但し、分類上は、包装紙は「紙」、段ボールや白板紙は「板紙」に分類される。
家庭紙 ティッシュペーパーやトイレットペーパー、キッチンタオルなど、一般家庭などで主に「ぬぐう」用途として用いられる紙。
CNF セルロースナノファイバーの略語。パルプを構成するセルロース繊維をさらに細かくしたもの。軽量で強度が高く、抗菌性を付与できるなど高機能で、様々な分野で採用される期待の新素材として、製紙各社などが開発を競っている。
その他
需要と供給 「需要」はその製品を買おうとする意欲や購買行動。「供給」はその製品を売ろうとする意欲や生産活動。「需給が逼迫する」と言えば、需要に対し供給が少なすぎる状況を指し、逆に需要に対し供給が多すぎて在庫が多くなったり価格が下落したりすることを「需給が緩む」「需給バランスが崩れる」と表現したりする。
市況 モノの価格、あるいはその推移。
年産能力 あるメーカーや工場、施設が1年間に生産できる紙製品の量。市場に出回る紙製品の量が多すぎて生産や供給を絞ることを「減産」、設備の能力を増強したり新設備や新工場を設置したりして生産・供給できる製品量を増やすことを「増産」という。
電子化・デジタル化 紙関連では、漫画や書籍、雑誌やチラシなど、従来は紙媒体の印刷物であったものがデジタルメディアに置き換わって紙の需要が減少する文脈で用いられる用語。
脱プラ 使い捨てプラスチックによる海洋汚染が世界で問題となっていることを背景にした、使い捨てプラスチックの使用を止めたり、他の素材に置き換えたりしようとする動き。

「あとはこのキーワードの組み合わせで読んでいけばいいと思うよ。例えば、『デジタル化で印刷用紙の需要が減少』とか『ネット通販が好調で段ボールの需給が逼迫』とかね。」

3.新聞からも情報

「それから、ブック部長は多分、ネットニュースじゃなくて、本当の新聞を読んでご覧、っていう意味で言ったんだと思うよ」とシートくん。日本経済新聞をコマキさんに示します。
「例えば日本経済新聞だと、ものの値段が上がった、下がった、っていうような記事は、『マーケット商品』のページに記載されていることが多い。さっきのキーワードを手掛かりにこのページだけでも読んでおけば、今、紙の業界でどんな動きが起こっているか、とか、原燃料の価格と紙の価格がどう連動しているか、とかが分かってくるよ、っていうアドバイスだったんじゃないかな。」

「紙の細かい種類とか性質とかは順番に勉強していくとして、まずは日々のニュースで全体像をつかむ、っていうことで、少しは手助けになったかな?」
 シートくんの言葉に満面の笑みで応えるコマキさん。
 満足そうなシートくんに「私からも有難う」と背後から声が掛けられ、振り向くと、笑いをこらえた表情でロール先輩が立っています。
「今の説明、とっても簡単で分かりやすかったと思う。妹に親切に教えてくれて有難うね。」
「え・・・ロール先輩の妹さんだったんですか・・・・・・」
 うららかな春。『令和』と一緒にシートくんにも新しい季節が訪れようとしています。

(初掲載:2019年4月10日、加筆修正:2019年12月12日)

関連記事