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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 ⑲ 流れに潜む罠~用紙に関わる計算~

「ロール先輩。紙の見積が取りたいんですけど、御願いできますか?」
 いつものようにシートくん、見積依頼書を渡します。受け取って目を通し、依頼書の内容を確認するロール先輩。
「A4、カタログ、本文80ページ、40,000部。本文用紙が・・・アルティマグロスWX?」
「だめですか?」
「いや、だめじゃないけど、この紙は・・・」
「メーカーさんの印刷見本を見せたら、お客様が気に入られて、指定になっちゃったんです。・・・実はもう一つ候補があるんですけど。」
「何?」
「カサディアグロスAです。」
「なるほど・・・まあ、いいか。とりあえず紙屋さんに見積もりお願いしてみるね。厚さは?」
「あ、ごめんなさい、忘れてました。95g/㎡です。えっと、連量で言うと、52kgですね。」
シートくんの言葉を聞いたロール先輩、一瞬目を見開くと、唇の端を吊り上げます。
「米坪から連量の計算、出来るようになったんだ、シートくん。」
「当たり前じゃないですか。僕、もう、2年目ですよ。・・・と言いたいところなんですけど、実は、その印刷見本に書いてあったんです。」
「ああ、なるほど。」
「でも、ちゃんと計算方法は分かってますよ!」

「まず、一般の紙の場合、

米坪 1平方メートル当たりの紙の重量
連量 規格寸法で1000枚当たりの紙の重量
です。だから、二つの関係を式にすると、
連量(kg)=米坪(g/㎡)X紙の面積(㎡)X1000/1000
になります。

今回はA4のカタログだから、基本、A判の連量が必要です。A判の寸法は625㎜X880㎜、米坪が95g/㎡だから、式に当てはめると

95g/㎡X(0.625X0.88)X1000/1000=52.25kg、

連量の場合、計算結果の小数点第一位を2捨3入、7捨8入する決まりだから、連量は52kgになる訳です。」

ぱちぱちぱち・・・ロール先輩の拍手に気を良くしたシートくん、更に講義を続けます。
「次は、紙がどれだけ必要か、計算しますね。今回の条件は、A4、80ページ、40,000部です。だから

A4=A判8切。裏表あるから⇒A判1枚で16ページ分になる。
1部80ページだから80/16で⇒1部作るのにでA判が5枚必要。
40,000部作成するから5X40,000=200,000枚

要するに、予備紙を考えなければ、本文用紙が200R必要な計算になります。」

今度も拍手を期待したシートくん。でも、先輩は猫のような眼をしてシートくんを見ているだけで、拍手はしてくれません。
「間違ってますか・・・?」恐る恐る尋ねると、
「間違ってはいないよ。・・・紙がアルティマグロスWXじゃなければね。」
きょとんとするシートくんに、ロール先輩、笑みを深めます。
「規格を良く見てなかったみたいだね、シートくん。・・・アルティマグロスWXは、基本、平判が規格に無いんだよね。」

慌てて規格に目をやると、確かに巻取の表示があるだけで、平判規格は載っていません。
「オフリンしかだめってことですか・・・だから、先輩、反応が微妙だったんですね。」
シートくんの言葉に、ロール先輩、肩を竦めます。
「まあ、部数も多いし、生産性を考えるならオフリンかなって思うけど、カタログってところがちょっと気になるよね。メーカーさんがアルティマグロスWX使用の現物見本を貸してくれるか教えてくれるかして下さると早いけど・・・まあ、ちょっと当ってみるよ。ところでシートくん。」
「?」
「平判計算では200R必要、なんだよね?じゃあ、巻だったら?何本必要?」
先輩の問いに、再度規格に目をやるシートくん。
「A巻の52kgは・・・15R巻なんですね。じゃあ、

200R必要 ⇒ 紙は1本当たり15R ⇒ 200/15=13.3333…だから

14本必要なことになります。」

「大正解・・・なんだけどね。」
正解とは言いながら、苦笑交じりに話すロール先輩。
「じゃあ、もう一つ質問。これが、アルティマグロスWXじゃなくてカサディアグロスAだったら、何本必要?」
「え?同じ規格なんだから、同じ14本なんじゃ?」
「うん、不正解。まあ、そう来るんじゃないかと思ったけど。」
そう言いながら、先輩、規格表を指差します。

A/Y巻 流れ 巻R数
アルティマ
グロスWX
880㎜ 625㎜ 15R
カサディア
グロスA
880㎜ 1100㎜ 7R
「仕上がりがA4だからA/Y巻の規格を確認するのは
正解。ただ、アルティマグロスWXと
カサディアグロスAでは流れの設定が違うでしょ?
そうすると自ずと必要本数も違ってくるの。」
「先輩、この場合の流れって、何ですか?」
「巻の長さを連数で表示するために決められた
単位、って言えばいいかな?」

「元々、巻は平判とは違うから、長さは10,000メートル、とかって表示するのが正しいんだろうけど、それだと必要枚数を計算するのが面倒でしょ?さっき、シートくんがやったみたいに、A全判が200R分必要で、1本当たりが15R分だから200/15で14本、って計算した方が早いし分かりやすい。それができるように、巻の長さを連数で表示するための便宜上の区切りが『流れ』なの。アルティマグロスWXのAY巻の場合は、880X(625)X15R、っていう書き方をする。『880幅の625流れ15R巻』って読むんだけどね。意味はどっちも同じ、880X625の大きさのものが15R分つながって1本になってますよ、っていう意味なの。」
「じゃあ、カサディアグロスAは880X1100の大きさのものが7R分で1本、ってことなんですね。」
「そういう事。」
「つまり、

今回は880X625の大きさのものが200R必要
 ⇒0.88X0.625X200,000=110,000㎡
カサディアグロスA1本分から取れる面積は 0.88X1.1X7,000=6,776㎡
つまり、必要な本数は 110,000/6,776=16.23・・・で17本

ってことですか?」
「そういう事だね。まあ、飽くまでもA全からA/Y巻への移行だから成り立つ計算だけど。B巻の場合も同じだけど、A全平判の枚数からA/Y巻の必要本数を計算する場合、880の部分は同じだから省略できる。

(0.88X0.625X200,000)/(0.88X1.1X7,000)
=(0.625X200,000)/(1.1X7,000) 即ち
=(本来必要な流れ)X(必要数量)÷(使おうとする紙の流れ)÷(使おうとする紙の連数)

で、オフリンの場合に必要な本数が求められるってことになるの。」

「そうか。だから、アルティマグロスWXとカサディアグロスAって、同じ米坪なのに連量が違うんだ。」
「あ、それ重要。つまり、

連   量 1本当たり重量
アルティマグロスWX 95g/㎡X0.88X0.625=52kg 52kgX15R=780kg
カサディアグロスA 95g/㎡X0.88X1.1=92kg 92kgX7R=644kg

1本当たりの重量計算を間違えると、当然原価計算も違ってきちゃうから、注意してね。」

「うーん。紙に関する計算なんて卒業したと思ってたんですけど、まだ奥があったんですね。」
「今のは予備紙を考えに入れてないから、まだ単純な方だよ。これに、印刷で7%、製本で2%、とかって、予備枚数を計算に入れて、初めて本当に必要な枚数が出てくるわけだし。」
「印刷内容だったり、紙の特性によっても変わってきますもんね。」
「用途によってもね。・・・そう言えば。」
ロール先輩、思いついたように規格表を指差します。
「カサディアグロスAだと、他に976幅の規格の巻取があるでしょ?これは何に使われるものでしょうか?」
「え・・・?何ですか?」
「すぐに答えちゃったら勉強にならないじゃない。考えてみて?」
にこにこしながら答えを待つロール先輩に、あれ?僕、見積依頼に来ただけじゃなかったっけ?と思いながらも、必死で答えを模索するシートくんなのでした。

(初掲載:2013年10月10日、文中2銘柄の規格は当時のものです。現在の規格についてはお問合せ下さい。加筆修正:2019年11月19日。)

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