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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 ⑱ 懐かしくて新しい?~フォーム用紙~

「ロール先輩。この仕事の手配、お願いします。」
 ある日の昼下がり、シートくんが依頼書と一緒にロール先輩のところに持ってきた仕事のサンプルは、複写伝票。一目見て、ロール先輩、ちょっと微笑みます。
「ああ、このお客様、まだこの伝票使ってらっしゃるんだねえ・・・」
 懐かしそうなロール先輩の表情の意味が分からず、きょとんとした顔をするシートくんに、ロール先輩、伝票のふちを指差します。
「シートくん、この穴、何のためについているか分かる?」
「伝票のファイリングのためなんじゃ?」
「だったら伝票の両端についているのはおかしくない?これはマージナルパンチっていうの。」
「マージナルパンチ?」
「そう。これはプリンターが紙を送るための穴なんだよね。つまり、これがあれば、この伝票が連続伝票だってことが分かるの。」
「連続伝票?」
「名前の通り、つながってる伝票だね。例えばこのサンプルだと、請求書と請求書控がセットになった複写伝票だけど、1セットがそれぞれ切り離されてるわけじゃなくて、2000セットがつながった状態でプリンターにセットされる。そういう伝票を連続伝票って言うの。ビジネスフォームとか、略してBFとか呼ばれたりもする。で、その原紙に使われるのがフォーム用紙。」
「フォーム用紙は分かります。オフリン用より小さめの巻取の用紙ですよね。でも、連続伝票って言うのは・・・どんな風にプリンターにセットされて印刷されるのか、見たことがないのでちょっと想像できないです。」
「まあ、うちの会社にも、もう無いからねえ・・・」

「まず、フォーム用紙って何か、ってことなんだけど、紙の品目分類表だと、情報用紙の一種に分類されている。」

印刷・情報用紙
情報用紙 情報機器を使用し、情報の伝達や記録に用いられる紙
フォーム用紙 コンピュータのアウトプットに使用されるもの。NIPを含む。

「コンピュータのアウトプット?でも、パソコンのデータの印刷って、普通、PPCを使いませんか?」
「ここで言うコンピュータは、パソコンじゃなくて、業務用の大型のもののこと。企業の基幹業務の管理に使われていて、1970~80年代には、この、汎用機とかオフコンとか呼ばれるものが、企業が使用するコンピュータの主流だったの。で、このコンピュータ用のプリンターとして一般的だったのが、ドットインパクトプリンター。」

「印字ヘッドについているピンが、必要に応じて出たり引っ込んだりする構造なの。ピンが出てる状態で上から打ち付けられれば、インクリボンのインクが紙に転写されて点が打たれる。」
「その点々の集合で文字や画像が形成される、と。オフセット印刷の網点みたいな感じですね。」
「ちょっと違うけど、まあ、似てるかな。で、この、コンピュータ用の初期のプリンターが連続帳票を使用するようにできていたってわけ。」


「連続帳票のイメージはこんな感じ。」
「どうやってこの形にするんですか?」
「まず巻取のフォーム用紙をフォーム印刷機にセットして、請求書だったら請求書の枠組みの部分を連続で印刷する。で、その後、マージナルパンチを空けて、1ページごとにミシン目を入れて、そのミシン目のところで蛇腹に折っていくとこの形になるの。」
「で、お客様のプリンターにセットして、請求書とかの中身の部分を、ドットインパクトプリンターで印刷していくわけですか。でも僕、このドットインパクトプリンターって見たこと無いです。」
「金属のピンを打ち付けて印刷する方式だから、音が結構大きいんだよね。それに、文字や画像の解像度にも限界があった。で、色々新しい技術が開発されて、レーザープリンターやインクジェットプリンターに切り替わっていったの。打ち付ける必要が無いプリンターだからノンインパクトプリンターとも言われるんだけど、これを略してNIP、で、このプリンターに使われる用紙をNIP用紙って言う訳。」

「あれ?じゃあ、最初はレーザープリンターも連続用紙を使用するものだったんですか?」
「初期の業務用の機種はそういうのが多いかな。でも、より小型・高速・低価格なプリンターの開発が進む中で、用紙もカット紙対応が求められるようになって、どんどん進化していった結果、今みたいに普通のPPC用紙で全て印刷できるようなレーザープリンターやインクジェットプリンターが普及するようになったって流れ。印刷会社さんや紙屋さんに勤めてる人でも、連続伝票の受注はするけど、自分で使ったことはないっていう人が、最近は増えてきてるみたいだね。」
「なるほど・・・」
「でも、このサンプルみたいに複写用紙の場合は別かな。」
「え?」
「複写の伝票って言うのは、当然だけど圧力が掛からないと2枚目以降が発色しないわけでしょ?だから、複写伝票を使っておられる御客様では、昔のドットインパクトプリンターを使ってらっしゃるところが多いみたい。まあ、新しい機種のドットインパクトプリンターは連続じゃない複写伝票にも対応しているし、連続伝票が減っているのは確かなんだけどね。」

「じゃあ、フォーム用紙って、今ではあんまり使われないってことですか?」
「連続帳票用にはね。ただ、加工や枚数の関係で、フォーム用紙を使って単票の伝票を作成することもある。それに、今のフォーム用紙って伝票用だけじゃないんだよね。」

かつてのフォーム用紙 連続伝票用途がメイン。原紙は上質紙や色上質紙、ノーカーボンなど。

現在のフォーム用紙 帳票用の他、チラシカタログダイレクトメールなど用途も多様化。ダイレクトメールの場合、カラー印刷して圧着ハガキに加工される例も多く、原紙も上質やノーカーボン以外に、塗工紙ベースのものや、高速フルカラーインクジェット対応のものなども発売されている。

「かつては帳票印刷専門だった印刷会社さんが、ダイレクトメールの印刷やデータ印字から封入封緘・発送まで請け負われることも多くなって、業務が多様化している分、フォーム用紙に必要な適性も多様化しているみたいだね。」

「そう言えば先輩、このサンプル、何だか変な寸法なんですけど・・・」
「そうか、連続伝票の手配をするのが初めてなんだもんね。連続伝票の寸法はインチ単位で設定されているのが普通なの。このサンプルなら、横が15インチ、縦が11インチ。で、2枚複写だから2P、注文数が2,000セット、っていう言い方をする。」
「何故連続伝票はインチなんですか?」
「もともとコンピュータがアメリカ生まれでしょ?そのコンピュータ用のプリンターもアメリカ生まれ。だから寸法は、アメリカで標準的なインチで設定されているの。当然伝票もインチ単位になる。伝票で良くある寸法が、この、15X11インチとか、10X11インチとか。で、原紙はそれより0.5インチ大きい幅のものを手配するから、15.5インチとか、10.5インチ、11.5インチ幅の4000メートル、っていう規格のものを手配することになるの。」
「インチかあ。覚えた方が良いですか?」
「まあ、知ってるに越したことは無いと思うけど。寸法って、実は色々面倒だからね。大分前になるけど、お客様から注文FAXを頂いてね。寸法が1.3X0.75って書いてあったの。単位が分からなくてお電話したら、実は・・・・・・・だったってことがあったよ。」
 他にも、B4って言われるからB4のつもりで話してたら、何だか話がおかしくて、よくよく聞いてみたらそのB4は・・・・・・だったってこともあって・・・・・・・。
 楽しげに昔話を続けるロール先輩を見ながら、『先輩、本当はお幾つなんですか?』とか聞いたら怒られるだろうなあ・・・と、失礼な感想を胸にしまうシートくんなのでした。

(初掲載:2013年9月10日、加筆修正:2019年11月19日。)

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