新入社員シートくんとロール先輩の紙修行 ②A判?菊判?
紙を前にうんうん悩んでいます。
「どうしたの、シートくん?」
「あ、ロール先輩・・・実はブック部長から練習問題を頂いて・・・
一度は答えを出して提出したんですけど、間違ってるって、再提出になっちゃったんです・・・」
シートくんが持っている紙には、ブック部長からの問題が。
「えーっと・・・『A4、400ページの冊子を100冊作るのに必要な紙の寸法と枚数を出しなさい。但し、本文は上質の70kg、表紙はレザック66のレモン、215kg、予備紙は考えないものとする。』か・・・あはは、ブック部長らしい問題ねえ。」
「笑ってないで助けて下さい、ロール先輩。どこが間違っているのか、さっぱり分からないんです・・・」
「うーん・・・じゃあ、まず、シートくんは、どんな順番で考えて、答えを出していったの?」
「えーっとですね・・・」
シートくん、おもむろに計算式を書き始めます。
①「まず、紙の全紙、つまり、工場から出来上がってきた寸法を確認しました。」
「代表的な4つの寸法は覚えてる?」「完璧です!」
A判 | 625㎜X880㎜ | A全判、A本判という言い方もします。 |
菊判 | 636㎜X939㎜ | 菊全判とも言います。 |
B判 | 765㎜X1085㎜ | B全判、B本判という言い方もします。 |
4/6判 | 788㎜X1091㎜ | 「しろくばん」と読みます。 4/6全判(しろくぜんばん)とも言います。 |
②「次にA4、これは、A判から8個取れる寸法ですよね?」「うん、そうだね。」
③「つまり、A判1枚から、A4が片面で8枚、両面で16枚、16ページ分が取れるってことで・・・
A4で必要な枚数は 400ページX100冊 で40,000枚分、
全紙1枚から16ページ分取れるわけだから、
40,000/16で、2,500枚。
本文に必要な紙の枚数はA全判で2,500枚、て出しました。」
「合ってる、合ってる。すごいよ、シートくん。」
ほめられて嬉しそうなシートくん。「次に表紙なんですけど・・・」
④「A4の冊子の表紙だから、A3ですよね」
「100冊分だから、必要なのはA3で100枚。
A3はA判から4つ取れるから、100/4で、必要なのはA判で25枚、て出したんですけど・・・」ロール先輩を見るシートくん。でも、今度は「合ってる」とは言ってもらえません。
⑤「間違ってますか・・・?」「考え方は、大丈夫、合ってるよ。惜しい、てとこかな。」「・・・?」「シートくん、冊子の厚みは考えた?」「・・・あ!」
⑥「そうか!A4の短辺は210㎜だから、210+210+20で440㎜必要なんですね。・・あれ?でも、A判の長辺は880㎜だから、ぎりぎり入るんじゃあ・・・」
「残念。くわえとか、見当合わせとか、化粧断ちの分が必要でしょ?最低でも15㎜四方くらいは欲しいから・・・」
「じゃあ、440X2に15X4を足して940㎜・・・そうか、菊判になっちゃうんだ!」
納得しかけたシートくん。でも、ロール先輩は首を振ります。
⑦「本当なら、それで正解!って言いたいけど・・・。今回は表紙がレザック66のレモンってことになってるでしょう?」
「はい。それが・・・?」
「レザック66は、色によって、菊判の規格が有るものと無いものがあるの。レモンは無い色。だから、この場合は4/6判で計算する、が正解。」
「そうか・・・」
「うっかり菊判で見積もっちゃった後で、実は4/6判しか規格がありませんでした、っていうことになったら、紙代が変わってきちゃうでしょう?規格があるか、在庫があるか。自信が無い時は、必ず、見積もる前に、私たち工務や、紙屋さんに確認してね。」
⑧「分かりました!つまり
紙や、仕上がりの、代表的な寸法を覚えておく。 |
最終的な厚みや、印刷内容によって、仕上がりの寸法よりどれだけ大きく計算しておく必要があるか考える。 |
くわえや見当合わせなどの分も忘れずに。 |
原紙にその規格や在庫があるかどうかも、忘れずに確認! |
が大切ってことですね!有難うございます、先輩。ブック部長に再提出してきます!」
「あ、ちょっと待って、シートくん。まだ目なりの話が・・・って、行っちゃったか。・・・まあ、いいか。今度は目なりの勉強をしようね、シートくん。」
ちょっと苦笑い気味のロール先輩。シートくんの紙修行は、まだまだこれからです。