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新入社員シートくんとロール先輩の紙修行 ③目を無視すると、とっても怖い?

新緑眩しいある日のこと。
「先輩、先輩、僕、思いついたんですけど。」
シートくんがロール先輩のところに走ってきました。
「どうしたの、シートくん?」
「この前、4/6判からA3の表紙を取るって話をしてたじゃないですか?」
「ああ、ブック部長の練習問題の話?」
「はい、あれなんですけど、
こんな風に取れば、A3って4/6判から5個取れるんじゃないでしょうか?」

「冊子の厚みとかにもよりますけど、ただのA3なら、5個取れますよね?
例えば、A3で小数(こかず)2,000枚必要な場合、4個取りなら全紙500枚必要ですけど、5個取れば全紙400枚で済みます。100枚の差って、大きくないですか?」
「確かに大きいよね。この5つ取りの取り方って、自分で考えたの、シートくん?すごいね。」
「えへへ」
「確かにこういう風に5つ取りで紙の手配をすることもあるよ。シートくんの言う通り、全紙枚数が4/5で済むのは大きいしね。・・・でもね。」
「?」
きょとんとするシートくんに、声を低めてロール先輩、
「この取り方だと、目なりが混ざってしまうでしょ?・・・目を無視すると、とーっても怖いことが起こるんだよ・・・」

①「じゃあ、まず問題ね。目なりって何かは説明できる?シートくん」
 「はい!紙の繊維が並んでいる方向のことですよね?」
 「正解!」
②「じゃあ、次の問題ね。T目(縦目、たてめ)とY目(横目、よこめ)って、どう違う?」
「えっと・・・長辺に沿って目が流れてる方がT目短辺に沿って目が流れてる方がY目、です。」「正解!」

③「つまり、シートくんが提案してくれた取り方をすると、仕上がったA3は目なりが混ざってしまうというわけ。」

④「なるほど・・・ロール先輩、目なりの違いによって、出来上がった紙の性質にも違いって出てくるんですか?」「その通り!紙は繊維の集まりだから、繊維に沿った方向には折れやすいし、破れやすいけど、繊維と垂直の方向だと折れにくし、破れにくくなるの。だから・・・」

「こんな風にね、目なりと平行には綺麗に折れるし破れるけど、目なりと垂直だと折り目はでこぼこ、まっすぐ破けない、ひどいと折り目が割れたりもするの。」
「これも面白いかな。1枚の紙から、同じ大きさで、T目方向とY目方向になるように紙を切って、机の端から垂らしてみると、垂れ下がる角度が全然違ってくるの。目に平行に曲がりやすいから、Y目に切った方が、よりだらんとなってしまうんだね。」
「同じように、1枚の紙からT目・Y目に切り出した同じ紙を水につけると・・・ほら、それぞれ目なりと平行にくるんと丸くなるでしょう?」

「水を吸って伸びた裏面が、伸びてない表面を覆うように丸くなるんだけど、紙の伸び方がね、繊維の長さ方向と巾方向では違うの。正確に言うと、繊維の結合の緩み方が、長さ方向より巾方向の方が大きいから、ってことになるんだけど、要するに湿気を吸うと、紙は流れ目とは垂直に膨張しやすくて、それによってカールとかしわとか、色々な不都合が起こることを覚えておいてね、ってところかな。」

④「で、肝心な冊子とか表紙とかの話に戻ると」「はい」「書籍っていうのは、本になった時の上下方向、つまり、背と平行になるように目なりを合わせるのが基本なの。」

「さっき紙をテーブルの端から垂らした時に見たみたいに、この方向だと曲がりやすいでしょ?本になった時にめくりやすいから、この方向になるように目を合わせるのが基本。」
「表紙はね、背のところで折らなきゃいけないでしょ?折り目と目なりが平行にならないといけないから、普通はY目にしないといけないってわけ。」

⑤「それ以外にも、製本の時の糊付けのためとか、印刷機が紙をくわえやすい方向とか、紙の目なりって色々なことに関わってくるの。後加工がない刷りっぱなしのお仕事で目なりにこだわらないとか、敢えて逆目を使うとか、無くはないけど・・・」
「やっぱり目なりは重要、ってことですね!」
「そういうことかな。」

シートくんの結論に肯いたロール先輩、ちょっと遠い目をして「そう言えば・・・」と切り出します。
「何かあったんですか?」
「随分前のことになるけど・・・『目なり混じり色上質事件』っていうのがあって・・・」
「事件!」
「A判4切が必要だったんだけど、A全の在庫が足りなくて・・・担当がよく考えもせずに不足分を四六判5切で手配しちゃったんだよね。それが、折り加工のある仕事で・・・印刷は何とか出来たんだけど、折り機がまともに動かなくて、すぐ詰まっちゃうんだよ。調べて、目なり混じりのせいだって分かって・・・」
「・・・」
「納期の迫った仕事だったんで、入れ換えもできなくて・・・現場の課長はかんかんだし、担当者の女の子は泣いちゃうし・・・そんな修羅場の隣で、手の空いてる社員全員でひたすら紙を折り続けたんだよね・・・」
「・・・・・・」
今となっては懐かしいかも、と呟くロール先輩の隣で、目なり指定だけは絶対間違わないようにしようと心に誓うシートくんでした。

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