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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 26 初めての先生役~基礎知識復習①~

「先輩!僕、先生になるんです!」
会議室から戻ってきたシートくん。興奮してロール先輩の机に押しかけ、面食らわせます。よくよく聞くと、今年の新入社員向けの勉強会が開かれることになり、何人かの営業で講師を担当するに当たって、シートくんが紙に関する先生役を指名されたとのこと。
「ブック部長が、そろそろお前も先生デビューだなって!」
浮かれるシートくんを微笑ましく思いながら、ロール先輩が応えます。
「すごいじゃない。良かったね、シートくん。でも、準備とか大丈夫なの?」
「はい!そこはロール先輩に相談して色々準備しなさいって、ブック部長が!」
「・・・ああ、そういうこと。」
ひそかに溜息を吐きながらも気を取り直し、ロール先輩、笑顔を向けます。
「それで、シートくん。どんな段取りで内容を組むつもりなの?」
「基礎知識ですから、まずは・・・

①紙の原料と作り方
②紙の寸法とは
③紙の目なりとは
④紙の種類について
・・・って感じでどうでしょう?」
「うん。じゃあ、その順番でまとめていこうか。」

「まず、①紙の原料と作り方について だけど、シートくん、って何か、って言われたら、どう説明するの?」
木材から取り出した植物繊維が、絡み合って、くっついて、シート状になっているもの、で、どうですか?で、その植物繊維のことを、パルプって言うんだよ、ってことで。」
「うん、じゃあ、パルプの種類は?」
「紙に関するものだと、大体三つに分けられるんですよね。えっと・・・」

木材パルプ 木材から繊維細胞=パルプを取り出したもの。繊維どうしをくっつけている接着剤の『リグニン』を薬品で除去することによって取り出されたものが『化学パルプ』、
木材を機械の力で削ってすり潰し、パルプ化したものが『機械パルプ』と呼ばれる。
非木材パルプ 草や竹、わらなど、木材以外の植物繊維で構成されるパルプ。和紙のほか、バガスやケナフ、竹パルプなど洋紙に使われるものもある。
古紙パルプ 古新聞・古雑誌・古段ボールなど、使用済みの紙=古紙から再度取り出されたパルプ。
印刷インキを取り除かない古紙パルプは板紙や段ボールなどの原料として、
印刷インキを取り除いた『脱墨パルプ』(DIP)は印刷用紙やトイレットペーパーなど白さが必要な紙の原料として再利用される。

「あと、木材パルプは、どんな木材を使うかで二つに分けられます。」
「それは?」
「針葉樹パルプと広葉樹パルプ、ですね。」

針葉樹パルプ 針葉樹(N材と呼ばれる)を原料とするパルプ。繊維が長く、しっかり絡み合っているため、丈夫で強い紙ができる。新聞用紙や包装紙など、強度が必要とされる紙に使われることが多い。
広葉樹パルプ 広葉樹(L材と呼ばれる)を原料とするパルプ。針葉樹に比べ
①成長が早い
②(化学)パルプの取れる割合が高い(=収率が高い)
③繊維が細く、紙の表面がきめ細かくなるため、写真印刷などに適している
④漂白しやすく、漂白薬品が少なくて済む
などの利点があり、印刷用紙などに使用されることが多い。

「で、今は、機械パルプよりも化学パルプ、化学パルプの中でも、強度の高いパルプが得られるクラフト法によるパルプ、クラフトパルプが主流ってことですよね。」

機械パルプ 木材チップをまるごとすり潰してパルプ化するため、パルプ収率は90~92%と非常に高い。但し、繊維が短く、紙が弱くなるという欠点があり、リグニンが含まれているため変色もしやすい。
化学パルプ 薬品(蒸解液)によりリグニンが除去されているため、変色・退色しにくく、また、繊維の長い、丈夫な紙を作ることができる。パルプ収率は50%程度だが、廃液中のリグニンを利用して発電を行うなど、廃液の大半が有効活用されている。
クラフトパルプ 従来、蒸解液には亜硫酸化合物が用いられていたが、苛性ソーダと硫化ソーダを約7対3で混合した液を用いることで強いパルプが得られることが分かり、この方法に切り替わった。ドイツ語で「力」を意味する単語「クラフト」から、「クラフトパルプ」と名付けられている。

「木材チップを蒸解、つまり加熱した薬品で煮て洗ってパルプを取り出した段階では、まだ、パルプは茶色っぽい。これが未ざらしパルプ。そのまま包装紙とか段ボールの原料に使われるけど、白い紙の原料としては不適切だから、この未ざらしパルプを漂白する。で、得られるのがさらしパルプってわけですよね。」
「そう。それからね、クラフトパルプのことをKPって言うの。それに、未ざらし(unbleaced)・さらし(bleached)って要素とか、針葉樹(N)・広葉樹(L)っていう要素を追加すると・・・

N-BKP=針葉樹さらしクラフトパルプ
L-BKP=広葉樹さらしクラフトパルプ
N-UKB=針葉樹未ざらしクラフトパルプ
L-UKB=広葉樹未ざらしクラフトパルプ

・・・っていう略語になるの。」
「そうか。N-BKPって、パルプの市況の新聞記事やサイトの記事なんかで良く出てくる略語ですよね。」
「そう。パルプの価格の動向は紙の価格の動向に反映されるからね。新聞記事をチェックしてもらうためにも、新入社員さんたちに覚えておいてほしい略語だね。」

「先輩。紙の原料に関しては、パルプだけ説明すれば良いですか?」
「良いと思うけど、もし付け加えるなら、予備知識程度ってことで、薬品のこともさらっと説明したら?例えば・・・」

サイズ剤 筆記用のインキがにじまないようにしたり、表面の塗料が紙の内部に浸み込まないようにするための薬品。紙の表面強度を上げて印刷中に紙の表面がはがれないようにしたり、腰のある紙にしたりする効果もある。
紙力増強剤 紙を破れにくくするための薬品。水素結合をつくる手助けをする。
填料 紙の白さ、不透明度、表面平滑性、柔軟性などを上げるための薬品。

「他にも、着色剤とか、嵩高剤とか。名前まで覚えておく必要はないかもしれないけど、お客様の業種や用途によっては使っちゃいけない薬品もあるし、MSDSの提出が必要な場合もあるしね。薬品をいろいろ使ってるんだ、っていうことくらいは、覚えておいてほしいかな。」

新入社員さんに覚えておいてほしいことは・・・と話し続ける二人のところへやって来たパレットちゃん、小首を傾げてシートくんに話しかけます。
「あれ、シートくん?ブック部長が探してたよ?次の会議が始まるのに、あいつ、どこ行ったんだーって。」
「うわ!そうだ!会議の途中だったんだ!!」
また来ます!と叫んで、慌てて会議室に戻るシートくん。背中を見送った先輩二人は、苦笑するばかりです。
「会議の途中で戻ってきちゃうなんて、本当に先生役が嬉しかったんだろうね。」
「とにかくロールちゃんに報告して手伝ってもらわなきゃってことしか、考えられなくなっちゃったんじゃない?・・・シートくんもねぇ、いつも頑張ってるんだけどねぇ・・・ポリアクリルアミドとか添加したら?って感じ?」
「・・・シートくんには厳しいよね、パレットちゃん・・・・・・」
「え?どこが?」
にこにこと可愛い笑顔で見つめてくるパレットちゃんに、自分もポリアクリルアミドを添加されたような気分になるロール先輩なのでした。

(初掲載:2014年5月10日、加筆修正:2019年12月5日)

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