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【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 69 新入社員様基礎編⑪特殊印刷用紙

「新入社員の皆様、こんにちは。いきなり寒くなりましたね。」
「若手社員の皆様、こんにちは。お風邪なんかひかれてませんか?」
「12月って普段と違う仕事とか行事とかが多くて、それでなくてもバランス崩しやすいですよね。」
「スケジュール管理が大事だよね。シートくんは大丈夫?」
「仕事は何とか。でも、いつも、大掃除とか年賀状書きとかは、年末ぎりぎりにばたばたするんですけど。」
「年賀状といえば、はがきは今回のテーマの『特殊印刷用紙』に属しているんだよ。」
「え?今月は先輩が強引?!」
「毎月話運びが強引だっていう自覚はあるんだね・・・・・・」

1.特殊印刷用紙

「色上質紙やファンシーペーパーなど、紙自体に色や柄がついているような特殊な印刷用紙は『特殊印刷用紙』に分類されています。」

「ちなみに定義は、

色上質紙 染色した印刷用紙で、表紙、目次、見返し、プログラム、カタログなどに使用されるもの。
その他特殊
印刷用紙
郵便はがき用紙 通常はがき、年賀はがき、往復はがきなどに使用されるもの。
その他特殊印刷用紙 小切手、手形、証券、グリーティングカード、地図、製図用紙、ファンシーペーパーなどの特殊な用途に使われるもの。

(経済産業省「パルプ、紙、板紙月報記入要領」紙月報品目分類表より抜粋)

「色上質紙は上質紙とよく似た成分に染料を加えたもので、基本的に非塗工紙。ファンシーペーパーなどは用途や仕様に応じて塗工・非塗工両方のものがあります。」
「用途はほぼ定義の中に明記されていますね。」
「普段よく見かけるのは冊子物の表紙や見返し、カード類でしょうか。箱の外装に貼られたり、背景に使われたり、ランチョンマットに使われる場合もありますね。あと、色上質紙の白は蛍光白色なので、上質紙よりも白い紙が必要な場合に使用されたりします。」

2.色格差、厚薄格差

「特殊印刷用紙の色はパルプに染料などを混ぜて着色されます。濃い色の場合、染料自体のコストや、他の色に変える時のパルプ槽の洗浄コストが薄い色の場合より高いといった理由で、出来あがった用紙も薄い色より高く販売されます。この価格差を『色格差』と呼んでいます。」
「色上質の場合、連量の厚薄でも格差があります。北越紀州製紙(注:2019年現在『北越コーポレーション』様)の色上質紙の場合は、以下の格差が設定されています。」

「他のメーカーや輸入紙の場合には、同じ色上質紙でも色格差が設定されていない場合もありますので御注意下さい。」

3.ファンシーペーパーの注意点

「ファンシーペーパーにも色格差がありますよね。」
「A色、B色と呼ばれるものですね。一概には言えませんが、一般的には、濃い色のもの、他の色にはない特殊な加工が施されている場合などには、格差が設定されている場合がありますから、ファンシーペーパーの価格を確認する場合は必ず色を指定して御確認下さい。」
「他にも注意すべきことってありますか?」
「色数が多いファンシーペーパーだと、ちょっとした違いで違う色を指すことになる場合があります。例えば、『うすクリーム』と『クリーム』が違う色、とかですね。色上質紙の場合は『オレンジ』でも『だいだい』でも同じ色なのにファンシーペーパーの場合は違う、といったこともありますから、ファンシーペーパーを手配する場合、お客様と色を確認する場合などは、省略しないで必ず正確な色名を使うようにしましょう。」

「もともと色上質紙が開発されていない時代は、白い紙に全面ベタで下地の色を印刷するのが普通だったんだって。で、色がついた紙が最初からあれば便利だし差別化できる、っていうことから作られたのが色上質紙だって話だよ。」
「今だと逆の場合もありますよね。お客様から見本をもらって、てっきり色上質紙だと思って色々なメーカーの見本帳と見比べてもぴったりの色がない。よくよく見ると色上じゃなくてベタ印刷でした、ってこと。」
「ファンシーペーパーでもあるよね。この柄が良い、と思っても良い色がなくて、白地に印刷で再現するとか。」
「ファンシーペーパーの柄か・・・今ならTS‐9とかでしょうか?」
「クリスマスは早すぎない?それならあららぎとかことぶきとか・・・」
「お正月の方が早すぎますよ?!」

(初掲載:2017年12月10日、加筆修正:2019年12月11日)

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