【紙のソムリエ】シートくんとロール先輩の紙修行 81 新入社員様基礎編㉒はがき
「新入社員の皆様、こんにちは。いつの間にか12月です!」
「若手社員の皆様、こんにちは。お忙しいとは思いますが、体調に気をつけて下さいね。」
「12月って、何もなくても焦ったりしますよね。」
「仕事も忙しい時期だし、個人的にも大掃除とか年賀状とかやること多いもんね。」
「年賀状って、元旦に届くようにするには25日ぐらいまでに出さなきゃいけないでしたっけ。まだ時間があると思うと、どうしても後回しにしがちですよね・・・というわけで、今回は、ついつい後回しにしがちな『はがき』のお話しです。」
「後回しにしがちなのは、シートくん個人の責任だと思うけど・・・」
1.はがきのサイズ
「『はがき』の現在の送料は通常はがきで1通62円(2018年12月1日現在)。ただし、この料金内で送れるサイズ・重量には制限があり、その規格を超えると第一種郵便物(手紙)の扱いになります。」
「日本郵便さんが発売されている通常はがきは短辺100ミリ、長辺148ミリになっていますので、通常『はがきサイズ』というとこの大きさを指すことが多くなりますが、お客様とずれが生じるといけないので、事前にお打合せ下さい。」
2.はがきの用紙
「日本郵便さんが決められている『内国郵便約款』によると、私製はがきの紙質などに関して以下のように規定されています。」
「特に『上質が良い』とか『コート紙はダメ』とかの規定はないんですね。」
「そうですね。別の項には『宛名の記載や切手の消印に支障がない程度の透かし、浮き出しの文字や図、紋章は大丈夫ですよ』という記載があるので、ファンシーペーパーでも使えるものがありそうです。とはいえ、日本郵便さんの判定でダメとなったら『はがき』としては送れなくなってしまうので、お客様のご希望などで特殊な紙を使いたいときには事前に必ずご確認下さい。」
「普通はやっぱり上質紙ですか?」
「お客様からご相談があった場合、特に紙質にご希望がなければ上質紙やケント紙をお勧めしています。ご使用になるプリンターがインクジェットかレーザーかにもよりますが、どちらでも綺麗に刷れる用紙もありますし、厚さも四六判換算で135kgか180kg辺りが、重量も規定内になるし取り扱いも楽でお勧めなんですよね。ただ・・・」
「ただ?」
「四六判からだとはがき大の紙が50枚取れる計算になります。お仕事で何千枚何万枚と必要な場合は良いんですが、個人のお客様ではがきが100枚必要、といった場合だと、紙代より、はがきサイズにカットする断裁料の方がかなり高くなってしまったりします。」
「なるほど。」
「そういう場合、A4でお買い上げ頂いて、4面付けで印刷した後、ご自分でカットして頂くといった方法もご提案しています。その方が安くなる場合もありますので、紙屋さんに相談してみて下さいね。」
3.圧着はがき
「この季節ははがきと言えば年賀状ですけど、普段見かけるのは圧着はがきが多いですよね。」
「はがきの料金でより多くの情報が送れるということで、DMとして使っておられる例をよく見かけるようになりましたね。でも、製紙メーカーが発売している圧着はがき用紙は圧着面に糊の層が設けられているもので、機密保持の機能がより高いものが多いようです。」
「いろいろな種類がありますよね。」
「製造メーカーさんは北越コーポレーションさんや特種東海製紙さん、大王製紙さんなど。色々な印刷方式に対応していて、耐水性があったり、印刷汚れが少なかったりと、いろいろな機能を有しています。」
「そう言えば、知らなかったことがあって。」
「何ですか?」
「私製はがきで、『郵便はがき』って手書きしてあるのをもらったことがあって。マメだなあと思ってたんだけど、そういうことじゃなくて、あれ、書いてないとはがき扱いじゃなくて手紙扱いになっちゃうんだって。」
「へえ、そうなんですね。」
「ほかにも知らない規定とかあるんだろうなって。私製はがき作るならよくよく調べないとダメだね。」
「まあ、僕は来年の年賀状、もう書き終えて出しちゃったんで、私製はがきを作ることはないですけどね。」
「え、もう出しちゃったの?」
「ええ、まあ。」
「いや、ドヤ顔してる場合じゃないって。年賀状は早すぎてもダメなんだよ。今年の場合、引受開始日は12月15日だから、その前に出した年賀状は一般郵便扱いで、年内に届いちゃうよ。」
「え?」
(初掲載:2018年12月10日、加筆修正:2019年12月12日)